映画「A2-B-C」 アメリカ人監督が見た福島
東日本大震災から今日で3年。
約26万7千人の方が、今なお避難生活を強いられています。
先日、福島に住む子ども達に密着した映画「A2-B-C」がチューリヒで上映されました。
会場は満席。スイスの人々の原発に対する関心の高さがうかがえました。
映画のタイトル「A2-B-C」は、子供たちの甲状腺検査の結果を表す記号。
「A2」と診断された子ども達はのう胞(液体が入っている袋のようなもの)があり、
中には数えきれない程ののう胞が見つかる子どももいます。
「A2判定は異常とみなされない」とされていますが、甲状腺癌の発症を危惧する声は少なくありません。
photo by PFF
毎日近所の放射線量を測るお母さん、除染活動をする若者、放射線の強い地域で子ども達を遊ばせる先生...。
ニュースだけでは知り得なかった福島の「今」が、この映画では伝えられています。
監督は、滞日歴10年になるイアン・トーマス・アッシュさん。
福島の現状を追った映画「A2-B-C」は、
ドイツで行われた日本映画祭「ニッポンコ・ネクション」で「ニッポン・ビジョン賞」を受賞。
アッシュ監督は現在、世界各地で映画を上映をされています。
ヨーロッパでの上映の後は、アメリカへ。
世界中で、福島の現状が伝えられています。
映画上映後には、パネルディスカッションが行われました。
様々な質問に的確に答え、事実を伝えるアッシュ監督。
映画の中で、小中学生のお子さんを持つお母さん方が心境を語っています。
子ども達の被爆を回避しようと気をつけることで「変わり者だ」と陰口を叩かれてしまう状況の中、
不安な気持ちや怒りを声に出す事はどれだけ勇気のいることでしょうか。
震災から3年が経った今でも、見えない放射能との戦いは続いています。
パネルディスカッションの後、アッシュ監督と直接お話しする機会がありました。
なぜ映画のタイトルを「A2-B-C」としたのか、お聞きしました。
「例えばタイトルを分かりやすくFUKUSHIMAとした場合、
福島の現状や原発に関心のある方は興味を持って映画をご覧になるでしょう。
でも、そうでない人はどうでしょうか?
自分には関係のないことだと、心のどこかで安心してしまう。
A2-B-Cという一見変わったタイトルをつけることで、より多くの人にこの映画の内容を伝えたいと思ったのです。」
福島の人々の声を世界に届ける。
アッシュ監督の力強い言葉が印象的でした。
福島の現状を伝える映画「A2-B-C」。
日本では、今春の一般公開を目指し準備を進めているそうです。
詳しい上映情報はアッシュ監督のホームページでご確認ください。
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