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ボスニア洪水被害 空っぽになってしまいました。。。

カテゴリー:お知らせ / 自然・風景 投稿日:2014年5月29日

先日「家が浸水してしまいました...バルカン半島 過去最悪の洪水被害に 」でもお伝えさせていただきましたが、今回ボスニア・ヘルツェゴヴィナやセルビア、クロアチアのスラヴォニア地方で大きな被害がでている洪水被害で、うちの家も浸水してしまいました。。。
やっと水が引いたとボスニアに住む親戚から連絡があったので、週末からボスニアの家に後処理をしに行ってきました。


いつも故郷に帰るために通る道はまだ洪水の影響で通行止めとなっていたため、普段とは違う少し遠回りのルートで車を走らせること約4時間。

クロアチアの国境を越え、ボスニア・ヘルツェゴヴィナに入ってしばらく走り故郷に近づくにつれ、

まだ水が引いていない土地の様子が所々目に付くように。

一見すっかりとのどかな風景を取り戻した町や村。

ですが、故郷の村に辿り着き思わず目を疑ってしまいました。

親戚がたくさん集まって暮らす通りには

たくさんのごみや瓦礫が。。。

どの家の前も

泥まみれのごみの山。。。

あまりにもの光景にしばらく言葉を失いながらのろのろと車を走らせていると、道端で手を振って出迎えてくれる親戚のセルビア人のおばあちゃんの姿が。


「よく来たねぇ・・・。酷いことになってしまったよ・・・このあたりは戦争の後よりもひどい・・・。何もかもまた無くなってしまった。」しばらく肩をさすりあいながらポロポロと涙をこぼしていたお母さんとおばあちゃん。

ですが「まだ家と命があるだけ有難い。なんとかなるさ。さぁさぁ!トラックが来る前に、早く大きなごみの処分に取り掛からないと。あんたたち4人じゃ人手が足りないだろうから、親戚を集めてくるよ!」とまた手を大きく振って立ち去るおばあちゃん。

(家がある通り。通りにはずっと泥まみれになった家具や瓦礫が積まれています)

家の前までついて、まずは皆ほっと一息。
家も、庭にある小屋や、彼の祖父母が暮らしていた家も無事に残っていました。

家のガラス戸も幸い一部破損しているだけで、家の中のものが流れ出てはいませんでした。

ところが、ほっと胸をなでおろしたのもつかの間。

家の中から水は引いていたものの、床板が盛り上がり、家の中のものすべてが泥まみれで濡れてしまっていました。

ショックを受けている暇も、悲しんでいる暇もなく、すぐに近くに住む親戚や友達がぞくぞくと集まり作業が始まりました。

子供の頃描いた絵も、亡くなったお父さんの書類も写真もすべて水と泥にまみれ。。。

子供の頃大好きだったミッキーのぬいぐるみ。

ドイツで難民として暮らしていた頃、駄々をこねる自分たちのためにお母さんがなけなしのお金で買ってくれたんだと、この家に来る毎にうれしそうに彼が話してくれたおもちゃたち。


3歳の誕生日にお父さんがプレゼントしてくれた、思い出いっぱいの車。

大切にしていたお母さんのキッチンも、食器も、落書きやシールだらけのテレビ台も、ソファーもベッドも全部泥水で台無しになってしまいました。。。

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救えるものがあれば少しでも。。。と思っていましたが「何十日も時間があるわけではないから、できるだけ早く片付けてしまわないといけない。今無料でトラックが来てくれる間に処分してしまわないと、後で処分代が払えなくなる。考えている暇はない。」と、家の中のもの、ほぼすべてをどんどんと運び出してトラックの荷台に投げ込んでゆきました。
おもちゃも子供時代の絵も勢いのまま荷台に投げ込まれてしまいました。。。

浸水して台無し担ったキッチンも床も、機械類も、すべてがすごい勢いで家の中から運び出されてゆきました。「本当に全部捨ててしまうの?洗えば救えるものもあるのに・・・。」と戸惑う私に「もういい」と、どんどん荷台に荷物を投げ込む家族。

一通り運び終わったら、親戚達は自分たちの家の後片付けのために戻ってゆき、あとは私を含め4人だけの作業。

床板を剥がし、ひとつひとつ拾い集め外に運び出し・・・また剥がし運び出し・・・

また剥がし運び出し・・・

だんだんと空っぽになっていく家の中を虚しく感じながら、もくもくと作業を続けました。

さっきトラックで運び出された「ごみ」。
あんなに思い出いっぱいの大切な子供時代の品まで、本当に捨ててしまってよかったのだろうかと、もやもやとした気持ちの私に「もういいんだ。あまりにものショックに思わず投げやりになってしまった。」とポロっとこぼし、苦笑いする家族。「もうなくなってしまったものはどうしようもないから、考えたくない。本当に空っぽになってしまったね・・・。」と、ようやくひと段落したと同時に、どっと疲れがみんなに襲い掛かってきました。

それでも、少しずつ休みながらもくもくと作業を続けました。
床や壁の泥を洗い落とすにも水がうちに通っていないので、近所の家までバケツを抱えて何往復も水を汲みに行かないといけません。(裏庭に井戸があるのですが、「万が一地雷が流れ出ていると危ないから ・・・」と、安全を第一に、水道が通っている少し離れた家まで水を汲みに行きました)
また電気もまだ通っていないので、夜になると作業を中断しなければならず、限られた日数の中で片づけをしないといけないので、みんなで全身泥まみれになりながら、必死に作業を続けました。


また、もうひとつ大変だったことが・・・。もともとこの村は川辺に位置するため、蚊がとてつもなく多いのですが、夕暮れが近づくにつれ尋常ではないくらいの蚊がそこら中に・・・。立ち止まると腕にも足にも蚊が10匹以上とまりにくる程。。。 蚊の大量発生は毎年の事で、いつもなら網戸のある家の中で過ごせるので、さほど問題にならないのですが、今回は状況が違います。そんな中作業を続けるのが本当に大変でした。今回の洪水の支援物資に「蚊対策グッズ」がリストアップされていますが、その理由が身に染みてわかりました。


今回の数日だけでは、すべて片付けきることができなかったので、また近々週末に続きの作業に行く予定です。

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ところで今回久しぶりに会った、村の親戚のおじいさんの言葉がとても印象的でした。
「戦争の時は殺し合ったセルビア人、クロアチア人、ボスニャク人だが、今回の洪水では民族も関係なく皆お互いが助け合っている。戦争中はお互いの民族があんなに血を流しあったのに・・・。この洪水はとても悲惨な事態だけど、憎しみが薄れていたことに気づかせてくれ、新たな絆となったような気がする。」
(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ政府やセルビア政府から支援の要請が届いた同日中にクロアチア政府は援助を行いました。)

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この村の周辺は昔からクロアチア人、セルビア人、ボスニャク人が共に暮らしていた地域で、内戦中は文字通り隣人同士が殺し合うような状況でしたが、今回はお互いに助け合う光景がたくさん見受けられているそうです。実際、自分たちの家の片付けの合間をぬって、うちの家の片付けの手伝いや(ザグレブから用意してきたものがあるのでいいと断っても)食べ物や水を惜しげもなく分けてくれたのは皆セルビア人の親戚や友達でした。


(片付けをしている最中も、霰や雷を伴うすごい勢いの雨が降ったり止んだり・・・)

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がらんとした家の中を見渡し、しばらく心の中が空っぽになったような気持ちに。
私がこの家で過ごした思い出なんかと比べものにならないくらい、この家でのかけがえのない思い出や思い入れがある彼や家族の気持ちを思うとやるせない気分に。。。

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そんな私の思いをよそに「あ~疲れた。もう考えるのも嘆くのも、体も疲れた!だからもう考えるのはやめ!家の中は空っぽになっても、心の中まで空っぽになっちゃダメ!物は無くなっても、ここで過ごした時間や思い出は無くならないもの。そんなにぼ~っとして、よっぽど疲れたんでしょう。写真はちゃんと撮った?カメラを忘れちゃダメよ!おいしいチェバペでも食べて帰りましょう!」と、私の背中をポンポンと叩いて笑うお母さん。

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ザグレブへの帰り道は、泥まみれのまま泥のように寝てしまいました。
ボスニアとクロアチアの国境検問所でもパスポートコントロールのために起こされることはなく、そのままスルー。
気がつけばザグレブでびっくりしてしまいました。

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ザグレブに戻ってきても、毎日ボスニアの家のことは話題に上がりますが、もう泣くわけでも嘆くわけでもなく普段通りの生活を送るお母さんの姿に脱帽です。

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まだまだ被災地の復興はこれからですが、1日でも早くたくさんの人たちに笑顔が戻ってくることを願います。

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小坂井 真美

クロアチア・ザグレブ特派員の小坂井 真美が現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

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名前:小坂井 真美

小坂井 真美

学生時代にクロアチアに魅せられ、4年間で10回以上の渡航・短期滞在を繰り返す。2012年秋にザグレブに移住、現地より様々な情報を発信中。 クロアチア旅行に参考になる情報からザグレブでの生活模様まで、「アドリア海の真珠」 と呼ばれる美しいこの国を少しでも身近に感じていただけるようなお話をお伝えしてゆければと思います。個人ブログでもザグレブより色々発信中。
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