【ソチ五輪】歴史的難コースを作ったクロアチア人

公開日 : 2014年03月02日
最終更新 :

先月世界の注目を集めたソチオリンピック。

2月の"お題"である「オリンピック」についての記事を、書こう書こうと思ってモタモタしているうちにオリンピックが終わってしまいました・・・。時が過ぎるのは本当に早いものですね!

さて、今回のソチ・オリンピックで注目を集めたトピックのひとつが22日に行われたアルペン男子回転の2本目のコース。このコースに臨んだ選手のうち、日本人選手2人を含めた半数近い選手がコースアウトしたという「歴史的難コース」。「あまりも難しすぎる」「大回転の金メダルリストを含めた選手の半数近くがコースアウトだなんて、コース設計に問題があるのではないか」と、コース設計を問題視する声も。(詳しくは日本経済新聞「アルペン回転、歴史的難コースは必要だったか 」で説明されています)

そんな難関のコースを作ったのが、アンテ・コステリッチというクロアチア人。彼はクロアチアの超有名・元女子アルペンスキー選手であるヤニツァ・コステリッチ(2006年に引退したものの、クロアチアでは知らない人はいないくらいの超有名な選手です)と、兄で同じく優秀な元アルペンスキー選手のイヴィツァ・コステリッチのお父さんなのです。

そんなクロアチアのアルペンスキー界では知らない人はいないアンテ・コステリッチが、今回ソチ・オリンピックのために作ったコースが「難しすぎる!」と、批判を浴びてしまいました。

特にご立腹なのはスウェーデン。優勝が見込まれていた選手が相次いで転倒、コースアウトし、スウェーデンの選手、トレーナ、そしてスキー連盟までもが、こぞってアンテを痛烈に批判しました。

今回コースアウトしたスウェーデンのアンドレ・ミュラーとマティアス・ハルギンは、アンテを「こんなコースを作ったアンテは大馬鹿者だ!」と怒りを露にしたとか。(下の参照記事のタイトルの一部にもなっているクロアチア語"'je*om idiotu'"は「大馬鹿者(英語で言うと"Fking idiot"というニュアンス)」一生懸命してきた努力が予想外の形で報われなかったため悔しいのは理解できますが、それでもやっぱり大人気ない。大変失礼ですね・・・(-"-;)!)

父親を大馬鹿者呼ばわりされた息子のイヴィツァは、もちろん黙っているはずもなく「今度ミュラーとハルギンと顔を合わす機会があろうものなら、自制できるかどうか・・・(カッと頭に血が上って手がでちゃうかも)。」と怒り心頭の様子。カッ頭に血が上りやすいクロアチア人にしては、冷静なコメントかも・・・^^;

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(気づけばソチオリンピックも終わり3月。。。町には春の気配が・・・♪)

一方、コースを作った当の本人であるアンテは、物議を醸すような難関コースを作った理由について次のようなことを語っています。

「これはオリンピック。ここで勝つということは真の世界一を証明するということ。近年のアルペンスキーは誰が勝つのかだいたい予想のつく、観ていても刺激のたりない退屈なものになっていたように思えました。スピードだけではなく、持てる知識やテクニックをすべて駆使できてこそ真の優秀なスキーヤー。"より早く(Citius)、より高く(Altius)、より強く(Fortius)"、あなた方はこの言葉が何を意味するのか知っていることでしょう。私はその言葉通りであるべきだと思っていますし、だからこそ今回のコースを作ったのです。誰もが滑りきれるようなコースは、全員が勝つポーカーと同じようなもの。そんなゲームはありえません。ポーカーでも、勝者がいて、敗者がいるでしょう。スキーでも同じこと。全員が勝つ(滑りきれる)のではなく、負ける(コースアウトする)者もいる中で、ベスト中のベストの者が勝者として選ばれるべきなのです。」

スウェーデンからボロカスに批判されたアンテですが、彼を賞賛する声がオーストリアから特にたくさん届いているようです。「中には彼のことを"大馬鹿者"呼ばわりする人もいますが、今回彼が作ったコースは大変興味深いものでした。スキーに関するすべての知識とスキルを駆使してこそ、最後まで滑り切れるコース。よりアルペンスキーを面白いものにしてくれました。」「このような難しいコース作りにあえて挑戦したアンテは勇敢です」などなど。

アンテの祖国、クロアチアの人たちの多くも、彼のことを大変誇りに思っているようです!

いずれにせよ、4年に一度のオリンピックを目指して日々人並みならぬ努力をされてきた選手の方々。

「より速く、より高く、より強く」。自分の限界を超えるため、新たな記録を打ち立てるために、私のような凡人には想像もつかないであろう努力を日々忍耐強くされ、お互いに切磋琢磨し合うアスリートのみなさん。多くの人々の感動を呼ぶ素晴らしい競技をされる選手たちの姿に、スポーツに疎い私でもたくさん学ばせて頂きました。

ちなみに「より速く、より高く、より強く」という言葉がひとり歩きすることを懸念したクーベルタンは次のような言葉も残しています。「人生で大切なことは成功することではなく、戦いに挑むこと、努力することである。勝利を手にすることではなく、如何に戦ったかということに意義があるのです。」

この言葉とアスリートのみなさんの姿を心の片隅に、今年もあと10ヶ月、精一杯頑張ろうと思います!

参考記事 : Sportski.net 

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