平穏なボスナ川に残された戦争の足跡
前回紹介したBosna(ボスナ)川。
彼の生まれ故郷の村の近くにも、このボスナ川が流れています。
この村に今も住む彼の従兄弟たちと一緒に、ボスナ川へ遊びに行ってきました。
とても穏やかに流れる静かなボスナ川。
私たちが訪れた場所は、ちょうどボスナ川がボスニアとクロアチアを隔てる国境ギリギリの地点で、
川のすぐ向こう側にはクロアチアが見えていました。
クロアチア川の対岸には釣りを楽しむ人が。
みんなで「お~い」と大きな声を出して手を振ると、気づいて手を振りかえしてくれました。
ゆったりとした流れの、のどかな光景が広がるボスナ川ですが、川岸にはこんなものが。
車や人の行く手を阻むバーが道のど真ん中に置かれ、その側の木には赤く目立つ表示が打ちつけられています。
そう、この一帯にはまだ撤去されていない地雷が埋まっているのです。
ここに限らず、このあたりの地域は今でもまだたくさんの地雷が埋まったままで
所々に「地雷 立ち入り禁止」の看板が立っています。
私はボスニアの家に来るたびに、家族に「家の裏庭の向こう側にある川に絶対に行っちゃだめよ!
地雷が埋まっているかもしれないから!!」と言われます。
こんなにのどかで美しい景色が広がるこのような場所に、このような看板は似つかわしくありません。
少し話がそれてしまいますが、上の写真はクロアチア人居住区にある家の残骸。
下はこの村の人たちの話。
「この家はあるクロアチア人家族のものだったが、戦争中にセルビア人に破壊された。
自分達の家の補修をするために材料が必要だったセルビア人たちが、中の家財道具はもちろん
壁などを壊しレンガなどを持ち去っていったんだ。その後家族は戻ってこず、今もそのままの姿で残っている。」
このあたりには、このような家がまだちらほら残っています。
この美しい土地で多くの人々が故郷を追われ、涙を流し、命を落し、大切な人を失ったのだと思うと
本当に悲しくやるせない思い出いっぱいになります。
ここに来てクロアチア人、セルビア人(あいにくボスニャク人の知り合いは私にはいませんが)の知り合いたちと
一緒にたわいもない話をして、この土地を眺めていると
「国とは何か、平和とは何か、人は何のために戦うのか、民族とは何か。。。」などなど、
ついたくさんのことを考えさせられます。
ところで、こんなことを読むと「ボスニアって、とても危ない国なんじゃないか」と思うかもしれませんが、
どうかご安心を!
地雷の撤去は少しずつ進められていますし、人口が多い所や国立公園などの観光地は
完全に地雷が撤去されているので安心して観光できます。
事実、観光客が地雷事故にも巻き込まれたこともありません。
むしろ、ボスニアはヨーロッパでも有数の安全な国と言われているくらい平和な国なのです!!
※とはいえ、写真のように「地雷危険」や「立ち入り禁止」の表示があるところはもちろん
草むらや廃墟、舗装されていない道路や畑などに現地事情に詳しいガイドなどを伴わずに
自己判断で立ち入ることは大変危険ですので絶対に避けてください!
(次回の記事ではボスニアの村の長閑な風景を紹介します)
【記載内容について】
「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。
掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。
本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。
※情報修正・更新依頼はこちら
【リンク先の情報について】
「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。
リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。
ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。
弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。