晩秋のコッツウォルズを訪ねて①「スノーズヒル・マナー&ガーデン」

公開日 : 2021年11月14日
最終更新 :
筆者 : June

Sut Mae!(シュマイ!こんにちは!)

わが家は毎年、この時期、年末までに消化しなければならない有給休暇を使うべく、晩秋旅行に出かけます。

ただ、イギリスもいまだ海外旅行は検査や手続きが必要で面倒だし、何よりわが家には生後4ヵ月になったばかりの仔犬がいるので、今年ものんびりイギリス国内を旅することにしました。

そこで今回は先日、訪ねたコッツウォルズ北部の人気観光スポット「スノーズヒル・マナー&ガーデン(Snowshill Manor and Garden)」を紹介します。

夏は多くの観光客でにぎわうコッツウォルズも冬支度が始まる今の時期はとても静かで落ち着いていて、また違った雰囲気です。

営業時間や見学ができる場所なども異なるので、この時期に訪れる際の参考になればと思います。

■ 収集家チャールズ・ウェイドの世界観が楽しめる「スノーズヒル・マナー&ガーデン」

コッツウォルズ北部の村スノーズヒル(Snowshill)の丘の上に建つスノーズヒル・マナー&ガーデンはコッツウォルズ丘陵を一望できる庭園が人気のマナーハウスです。

その歴史はとても古く、821~1539年まではウィンチカム修道院の所有でしたが、英国王ヘンリー8世が没収後、彼の6番目の妻キャサリン・パーに贈ったことで王室ゆかりの場所となった時期もありました。

現在の建物は1550年頃に建造されたものとされます。

そして、1919年に荒廃していた館を建築家で収集家としても知られたチャールズ・ウェイドが買取り、彼のコレクションで埋め尽くしました。

現在は景観保護団体ナショナル・トラストに譲渡され、彼が手がけた庭も含めて、一般公開されている人気の観光施設です。

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見学は駐車場に隣接するビジター・レセプション&ショップからスタート。

受付時にチケットとなる散策マップを受取ります。(表紙に入場日時と人数を記載)

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入口からマナーハウスまでは整備されたフットパスを片道10分ほど歩きます。

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フットパスは果樹園へと続き、左に庭園やマナーハウスが見えてきました。

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そして、庭園出口のゲート前を通過し、マナーハウスの入口へ。

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入口でスタッフさんにチケットを提示し、入場。

マナーハウスの最後のオーナー、チャールズ・ウェイドのポートレートも出迎えてくれました。

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西インド諸島のプランテーション事業で財を成した父親から莫大な遺産を相続したチャールズ・ウェイドは趣味の工芸品収集に没頭し、コレクションをマナーハウスに展示します。

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アジア諸国のお面や人形、中国の仏壇や家具、日本の甲冑、さまざまなデザインの時計や食器、楽器、自転車、昆虫の標本など、まったく統一感がない、何でもありのコレクションはその数、なんと2万点以上!!

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ただ部屋によっては演出なのか? 照明が暗く、怪奇の館のようなエキセントリックな雰囲気も漂い、コレクションのテイストについては好みが分かれそうです。

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展示物についての説明書きなどはほとんどなく、質問があれば、各部屋で案内をされているボランティアスタッフさんにうかがうことができます。

私が日本人だと気づいたスタッフさんが「日本の甲冑は17~19世紀のものが全部で26体。そのうち1体が1階、ほかはすべて2階に展示されていますが、いまはお見せできないんですよ」と申し訳なさそうに教えてくれました。

残念ながら、オフシーズン中(11月~3月)は1階のみ見学が可能で2階に上がることはできないようです。

それでも、チャールズ・ウェイドの幅広いコレクションは1階部分だけでも十分見応えがありました。

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1階の最後の部屋は中世のイギリスらしい造りがそのまま残るダイニングルームです。

すでに電気もあった時代でしたが、チャールズ・ウェイドは石油ランプやロウソクの灯を好んだらしく、マナーハウスには彼の独特の世界観が詰まってます。

ただ、チャールズ・ウェイドが実際に生活していたのはマナーハウスではなく、司祭の家(The Priest's House and the workshop)と呼ばれる隣のコテージだったようです。

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もちろん、コテージ内も彼のコレクションで装飾されていて、リビングやダイニング、寝室、バスルームなどがほぼ当時のまま残されています。

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コテージを見学後、いよいよガーデンへ。

まずはコッツウォルズ丘陵を一望できる中庭に出ます。

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ウェル・コート(Well Court)と呼ばれる納屋のような建物が中庭を囲うように建っていて、「ウェイド・ブルー」と呼ばれるチャールズ・ウェイドが好んだターコイズ・ブルーの装飾も各所で見られます。

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また広い敷地内にはチャールズ・ウェイドが造ったミニチュアの模型ビレッジもありました。

ただマナーハウス同様、オフシーズン中は一部にカバーがかけられているなど、全体を見ることはできません。

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そして、春から夏にかけて色鮮やかな花々が咲き誇る人気の庭園はいくつかの区画に分かれていますが、いずれも自然に溶け込むようさまざまな花や草木が植栽されています。

庭園の一画にはキッチンガーデンと名づけられた畑もありました。

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最後に果樹園を通り抜けて、庭園出口へ。

ウェイド・ブルーのゲートを通り抜けるとフットパスです。

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フットパスからは羊たちが草を食むのどかな田舎風景も楽しめました。

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復路はコッツウォルズ丘陵を見下ろす眺めのいいカフェの前を通るので見学後の休憩におすすめです。

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こうして、スノーズヒル・マナー&ガーデンの見学は終了。

コッツウォルズ北部には他にもヒドコート・マナー・ガーデン(Hidcote Manor Garden)やキフツゲート・コート・ガーデン(Kiftsgate Court Garden)など人気の庭園がありますが、異色のマナーハウスとして、スノーズヒル・マナー&ガーデンは興味深い場所です。

ただし、11月から3月までのオフシーズンは土日以外は閉園されていることが多いので、訪れる際には事前にウェブサイトで確認されることをおすすめします。

■ スノーズヒル・マナー・&ガーデンへの行き方

・ ロンドン・パディントン(London Paddington)駅から鉄道でモートン・イン・マーシュ(Moreton-in-Marsh)駅へ(約1時間30分)。

・ モートン・イン・マーシュから1番バス(Stratford-upon-Avon行き)でブロードウェイ(Broadway)へ(約25分)。

・ ブロードウェイ村からスノーズヒル・マナー&ガーデンまでは約4km。タクシーで5~6分、徒歩で約1時間。

■ Snowshill Manor and Garden

・ 住所: Snowshill, Broadway WR12 7JU

筆者

イギリス特派員

June

60カ国以上の渡航歴あり。2016年、結婚を機に英ウェールズへ移住。

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