ヨークシャー・デイルズ国立公園を訪ねて ② ブロンテ姉妹の故郷「ハワース」

公開日 : 2021年02月18日
最終更新 :
筆者 : June

Suet Mae!(シュマイ!こんにちは!)

今回もヨークシャー・デイルズ国立公園を訪ねた際に立ち寄った村を紹介します。

新型コロナウイルスがいまだ世界中で猛威をふるっていますが、事態が収束したら、訪れてほしいおすすめの場所です。

■ 小説家ブロンテ三姉妹の故郷「ハワース」

ヨークシャー・デイルズ国立公園から南へ約10kmに位置する田舎の村「ハワース(Haworth)」は『ジェーン・エア』、『嵐が丘』、『アグネス・グレイ』など、英国文学史に大きな影響を与えた小説家ブロンテ姉妹(シャーロット、エミリー、アン)の故郷として知られます。

姉妹が生まれたのはソーントン(Thornton)という少し離れた別の村ですが、1820年に牧師だった父親の転勤にともない、ブロンテ一家はハワースへと移り住みました。

村には彼女たちが暮らした家や通った教会など、ゆかりの地がいくつもあり、いまもなお世界中から多くのファンが訪れます。

また、村のはずれには小説『嵐が丘』の舞台となった、果てしなく広がるムーア(荒野)が当時のままの姿で残っていて、村から続くフットパスをたどりながらの散策も人気です。

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▲ 村の古書店に並ぶブロンテ姉妹の小説

ハワースの村は丘の上にあり、村の中心へは麓の鉄道駅から1kmほどの坂道を上がることになります。

勾配がきつい石畳のメインストリートにはアンティーク調の店や石造りの家が建ち並び、時間が遡ったような美しい景観は訪れた人々を楽しませてくれます。

村の中心となるメインストリートを上りきった場所に1792年から店を構える「ブラック・ブル(Black Bull)」はブロンテ姉妹の兄弟ブランウェルも足繁く通ったパブとして有名です。店内には彼がいつも座っていた椅子のレプリカも置かれ、地元の人や観光客でいつもにぎわっています。

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▲ ハワースのメインストリートと村の中心部。「Black Bull」は1792年創業の老舗パブ(写真中央右)

■ ブロンテ家ゆかりの地 ①「ハワース・パリッシュ教会」

ブラック・ブルの隣、ハワースの村の中心にはブロンテ三姉妹の父パトリック・ブロンテが牧師をしていた「ハワース・パリッシュ教会(Haworth Parish Church)」があります。

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▲ 村のシンボル「ハワース・パリッシュ教会」

現在の建物は1879年に改築されたもので、当時の面影が残るのは時計塔だけですが、礼拝堂内にはブロンテ家にまつわる資料や一家が埋葬されたことを印した石版があり、ブロンテ家と深い関わりがあったことを感じさせます。

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▲ 教会に展示されたシャーロットの結婚証明所や父パトリック直筆の手紙

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▲ 教会裏手からの景観

スカーボロー(Scaborough)の聖メアリー教会に埋葬されたアン以外の一家が眠っているのは教会近くの地下納骨堂です。教会裏手の墓地にはブロンテ家の墓についての案内板が設置されています。

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▲ 墓地に設置された案内板

■ ブロンテ家ゆかりの地 ②「ブロンテ博物館」

ハワース・パリッシュ教会近くにはブロンテ一家が1820年から1861年まで暮らしたかつての牧師館があり、現在は「ブロンテ博物館(Bronte Parsonage Museum)」として一般公開されています。

1779年に建てられたジョージ王朝様式の建物内部はブロンテ一家が生活していた当時の様子を再現していて、アンのお気に入りだったチェアーやエミリーがその上で亡くなったというソファなど、家族愛用の家具や生活道具が居間やキッチン、書斎に展示され、ブロンテ一家の暮らしぶりが想像できます。

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▲ ブロンテ姉妹が暮らしたかつての牧師館

ほかにも併設の展示室には彼女たちが描いたスケッチや原稿、遺品などが並んでいて、文学好きにはたまらない必見の場所です。

また隣接するミュージアムショップではブロンテ姉妹に関する書籍やグッズを販売。土産や旅の記念におすすめのブックマーカーや絵はがきなども充実しています。

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▲ 隣接のミュージアムショップ

■ Bronte Parsonage Museum

・住所: Church Street, Haworth, Keighley BD22 8DR

ほかにもブロンテ姉妹が教鞭をとった日曜学校「オールド・スクール・ルーム」(現在はコミュニティー・ホール)や『嵐が丘』の小説に登場するトップ・ウィセンズ農家(現在は廃墟)など、村にはゆかりの地がいくつも残っています。

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▲ 1832年、パトリック牧師によって建てられた「オールド・スクール・ルーム」。シャーロットが副牧師のアーサー・ニコルズと結婚した際にはレセプションとして使用

■ ハワースへの行き方

・ロンドン・キングス・クロス(London King's Cross)駅から列車で約3時間、リーズ(Leeds)駅で乗り換えて約30分、キースリー(Keighley)駅で下車。キースリー&ハワース・バレー鉄道(Keighley & Worth Valley Railway)に乗り換えて約20分、ハワース駅下車。時間帯によって蒸気機関車も運行。ただし、2021年2月現在はCOVID-19対策により運休中。

・キースリー駅前からはハワース行きのバスも運行。所要時間約15分。

■ Keighley & Worth Valley Railway

・URL: https://kwvr.co.uk/

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▲ 丘の麓にある1867年開業のハワース駅

ブロンテ姉妹の小説は何度も映画・舞台化され、日本でも昔から親しまれています。そんな彼女たちの作品の原点となった村「ハワース」は、昔ながらのイギリスの風景を楽しみたい人にもおすすめの場所です。

ヨークシャー・デイルズ国立公園に訪れる際は、ぜひ足を運んでみてください。

筆者

イギリス特派員

June

60カ国以上の渡航歴あり。2016年、結婚を機に英ウェールズへ移住。

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