伝統の紀州漆器と蒔絵体験

公開日 : 2018年01月19日
最終更新 :
筆者 : 麻巳子

海南市黒江に建つ紀州漆器伝統会館「うるわし館」では、作品の展示や漆器の即売コーナーもあり紀州漆器をお土産に買って帰ることができます。

また、蒔絵による絵付け体験もでき、伝統の技を体験することができます。

紀州漆器でうるわしスタイル

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うるわし館の1階には気軽に立ち寄れる紀州漆器の即売コーナーがありお土産選びができます。

伝統を守りながら時代の流れに沿った商品もあり、電子レンジ対応など実用性を兼ねた漆器も販売されています。

高級なイメージのある漆器なのだけれど、普段使いに使いやすそうですね。

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テーブルコーディネートの提案がされています。

現代風にアレンジされているので、素敵なアイデアを我が家の食卓も取り入れたいなと思いました!

ビッグでびっくりな漆塗り

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ビッグサイズのお雛様は「黒江夫婦雛」です。

うるわし館といえばこの夫婦雛を思い浮かべるほど私にとってはシンボル的であったりします。

海南市では毎年桃の節句の季節ごろには「紀州海南ひなめぐり」が開催され、町中の家や店舗にお雛様が展示されるイベントがあります。

今年も見に来たいなと思っています。

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珍しい漆塗りの原付スクーターが展示されています。

根来塗(ねごろぬり)の朱色がかわいいですね。

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こちらの黄色と黒色の虎の縞模様は虎ファンに人気がありそうなスクーターですね。

伝統ある紀州漆器

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紀州漆器の展示コーナーです。

説明によると紀州漆器の起源は、

室町~戦国時代に近江系木地師(きじし)の集団が、この地に住みついて紀州桧を木地に木椀(もくわん)の製造を始めたことが始まりです。

ついで椀木地に渋下地を施す髤漆(きゅうしつ)の技法が加わり、渋地椀(しぶじわん)の制作に発展しました。

※髤漆:うるしを塗る技術の総称

※渋地椀:柿渋に木炭の粉を混ぜたものを塗って下地とした椀

江戸時代になり、庶民の日曜品としての需要が高まるにつれいっそう漆工も盛んになり、ついには渋地椀の一大産地として全国的にその名が知られるようになりました。

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こちらは伝統的工芸品のコーナーで、ガラスケースの中に展示されています。

伝統のある紀州漆器を間近で見ることができます。

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「根来塗(ねごろぬり)」です。

和歌山県北部の岩出市に根来寺というお寺があるのですが、そのお寺で使用する膳や椀などを僧徒が自分たちで製造していました。

下塗りに黒、上塗りに朱を塗った、実用性に耐えられる朱塗りの漆器でしたが、長年にわたって使用を繰り返すうちに上塗りの朱が摩減して下塗りの黒地が朱塗りの中にうき出てきました。

この朱と黒の織り成す風合いが味わい深く、それが自然の「根来塗」などといわれるようになったそうです。

天正13年(1585)、根来寺は豊臣秀吉の焼き討ちにより僧徒は各地に四散しましたがその手法は黒江に伝わりました。

近代の根来塗はその風合いを活かし、朱の上塗りの一部を研ぎだして下塗りの黒地を出す手法が根来塗となっています。

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こちらは漆器の製造に関する道具が展示されています。

青貝細工や金銀粉、明治30年の積出帳など古い資料なども展示されています。

紀州漆器の技術紹介と伝統美

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お次は2階の展示室へ行きました。

2階にも展示されているなんて知らなくて、教えていただき今回初めて訪れました。

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懐かしい電話です。有りそうでなかったというか見たことが無かった漆の電話に驚きました。

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下地から上塗り、蒔絵といったお盆が並べられており、行程順に展示されているので出来上がるまでどのような作業をするのかよく分かります。

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こちらは根来塗の工程椀です。

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木地(曲物)です。

木材の材質には個々にクセがあるので、クセを見ぬいて曲げていくのは熟練者の技だそうです。

簡単に見えて難しいそうですよ。

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絵具です。

包の中まで見られないので色は分からないけれど、空色や牡丹色という色の名前が素敵でその色を想像できますね!

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工芸品だけでなく、紀州漆器の伝統技法なども紹介されているので興味深く見ることができました。

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隣奥にも展示室があり訪れました。

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中央に展示されていた祝膳です。

男性と女性によって膳の大きさが違うことに、夫とふたりで興味を持って見ていました。

他にも美しくて素晴らしい漆の工芸品が展示されていて楽しませていただきました。

蒔絵体験で華やかなオリジナル漆器

3階へ行くと広い研修室があり、中では蒔絵体験をされている方々がいられました。

予約をすれば、下絵に塗料を塗ってカラフルな粉を「蒔く」蒔絵の技を使った塗りもの体験ができます。

予約をしていなかったので、今回蒔絵体験はしませんでしたが、

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昔、蒔絵体験をした時の画像です。

種類は黒と赤の丸盆やお弁当箱があり、私は丸盆の蝶柄を選びました。

他の柄はテッセンや椿の柄がありました。

選ぶ種類によって料金が異なります。

(詳しくは、うるわし館さんのホームページをご覧くださいね)

あらかじめ描かれている蝶の下絵に、白色の塗料を色を付けたい箇所に塗り、そこへ色粉を付着させていただきます。

(色粉を付着さすのは講師役の職人さんが筆で色粉を蒔いて着色してくれます。)

白色に塗った部分を赤色にしたければ、塗った塗料の上に赤の粉を付着させていただくのです。

他を違う色にする場合はまた同じように下絵に塗料を塗り、他の色粉を付着していただきます。

色ごとにこの工程を繰り返し、最後にサインを入れてオリジナル漆器が出来上がりました。

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仕上がった作品は持ち帰りもできるのでお土産にぴったりです。

出来上がりを見るとキラキラしていて想像以上にきれいでした。

初心者でも簡単にでき楽しかったです。

ぜひ皆さんも記念に蒔絵体験に挑戦してみてくださいね!

<紀州漆器伝統産業会館 うるわし館>

・住所 和歌山県海南市船尾222

・電話番号 073-482-0322

・営業時間 10:00~16:30

・休日 お盆・年末・年始

・入館料 無料

・駐車場 有り (無料)

・うるわし館HP http://www.chuokai-wakayama.or.jp/sikki-k/index.html

・アクセス 

*JR黒江駅より徒歩約20分

*和歌山バス黒江バス停より徒歩5分

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