10月でも珍しくガチョウ料理の味わえるウィーンのホイリゲ

公開日 : 2017年10月25日
最終更新 :

毎年11月11日前後になると、伝統でガチョウ料理を食べる風習がオーストリアにはありますが、大抵のレストランがこのメニューを提供しだすのは主に11月に入ってから。

しかし10月中からガチョウ料理が食べられるお店がウィーンの19区、「グリンツイング」という有名なホイリゲ地帯にあります。

※ホイリゲ:ブドウを栽培している農家が経営する居酒屋で、美味しい自家製ワインと共にオーストリアの軽食を提供した簡易食堂的存在。

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こちらのいかにもホイリゲ的な佇まいのお店で、素朴ながらもちょっぴり瀟洒な通路や中庭には大小色とりどりのカボチャがごろごろと飾られているのですが、これがまた風情があって一興。

近郊のハイリゲンシュタットはかつてベートーヴェンが暮らし、作曲活動にも勤しんでいた地ですので、もしかするとこのホイリゲ付近まで彼が作曲がてらの散策に足を延ばしていた可能性は十分にあるでしょう。そんなことを考えだすと、普段のウィーンの景色もぐっと趣に満ちてくるから不思議です。

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さて本題のお食事です。

こちらは食前にいただいたホイリゲの自家製レモネード。

普通のレモネードにミントと自家栽培のニワトコがミックスされたさわやかな味わいなので、重めのガチョウ料理にぴったりマッチします。

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出ました、ガチョウ料理!

本当はガチョウのクリームスープやガチョウのお団子にピリ辛のガチョウロールなど、食指の動くメニュー満載だったのですが、ボリューム満点のガチョウ料理でお腹がはち切れそうになるのは過去の経験から骨身にしみていましたので、ぐっと我慢してメインだけ注文しました。

こちらのお鍋に入って2人前なのですが、それでも一人につき2切れずつ(つまり二人でガチョウ1羽分)行きわたるという、かなりのビッグポーションです。

これだけだと少々乾燥した食感ですので、一緒に供されるソース(ロースト時にでた肉汁と脂の混じったもの)をガチョウ肉と付け合わせのジャガイモのお団子にかけていただきます。

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ガチョウ料理の付け合わせ定番、紫キャベツ。

甘く炊かれており、塩の効いたガチョウ料理にうまく合います。

甘さを敬遠したければ、他のサイドディッシュに替えられるかケルナー(ウェイター)に尋ねて下さい。大抵のレストランではベーコンとキャベツのサラダや一般的なジャガイモ料理(フライドポテト、マッシュトポテト等)、ライスなどに交換可能です。

でもやっぱりガチョウともっとも相性が合っているのは紫キャベツかな・・・。

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こちらもガチョウの付け合わせで、紫キャベツよりも更に甘~いマロンのカラメルソース添えです。普通の料理に甘いものが混じっているのには最初驚かされましたが、そういえばおせち料理にだって栗きんとんが入っていますので、あれのオーストリア版だと思えば納得できそうです。

カラメルたっぷりという、もうデザートに域に入った付け合わせですので、私はいつも最後まで取っておいてデザート代わりにいただきます。というより、ガチョウで満腹どころかお腹12分目くらいになってしまうので、デザートを頼んでる余裕などないのですよね。そんなゲストの思惑を見越した、お店側の配慮に満ちた付け合わせなのかも知れません(恐らく違います)。

最後にちょっと甘いものを口にしたいときに非常に助かるので、個人的には気に入っている付け合わせのひとつです。

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こちらは最後にオーダーしたブドウジュース。

ワインを飲むと運転ができなくなる上、息子が欲しがって困るので、ジュースで我慢です。

最初にオーダーしたブドウジュースがまったりと甘めだったので、2回目は懲りてゲシュプリッツト(炭酸水で割ったもの)にしてみました。

ピュアなものよりも随分と口当たりが良く、すっきりするのでお勧めの飲み方です。

さすがブドウ栽培農家のものだけあり、ブドウ味の濃さや味わいはさすがと言えるでしょう。

今回ガチョウのローストを頂いたホイリゲでは、毎年10月20日あたりからひと月限定でガチョウ料理を振舞っているのですが、席の予約はもちろんのこと、テーブル予約の際にも「クラシックなガチョウ料理〇人分」とはっきりオーダーして置いた方が無難です。

というのも、私たちより後に来た予約客が、「ガチョウはもう売り切れです」と何組もすげなく返されているのを目にしたんですよね。これもガチョウの季節のお約束の光景だったりするのですが・・・(笑)改めて、オーストリア人のガチョウ料理の伝統に対する思い入れの強さを実感した瞬間でした。

日本人は西洋から輸入されるイベント(古くはクリスマスやバレンタイン、昨今ではハロウィンやオクトーバーフェスト等々・・・)を好む習性があるように感じられますが、オーストリア人は新しいイベントよりも、昔からの伝統的なお祭りや風習を大切に守っているように見受けられます。他方、日本では京都などの一部都市を除き、美しい伝統がどんどん西洋のイベントに挿げ替えられているような気がして、ちょっと残念な気もします。

少々話が逸れましたが、10月中にウィーン旅行を計画してるけれど、どうしても美味しいガチョウ料理に舌鼓を打ってみたい!という方には、こちらのホイリゲがもってこい。

ぜひ予約してから向かってくださいね!

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zum Martin Sepp/ツム・マルティン・セップ

住所:Cobenzlgasse 34, 1190 Wien - Grinzing

アクセス:地下鉄4番線の終着駅「ハイリゲンシュタット」駅からトラム38もしくはバス38Aで「グリンツィング」下車。

営業時間:毎日11時半~

Tel: +43 1 320 32 33

筆者

オーストリア特派員

ライジンガー真樹

オーストリアっておもしろそうな国だな、ウィーンって見どころのある街だな、と読者の皆さまに思っていただけるような記事を配信していければと思います!

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