No.566フランスの新型コロナウイルス対策変遷+日本から観賞できるフランス紹介
パリ市 © Kanmuri Yuki
新型コロナウイルス感染の広がりの推移
フランスで、最初に新型コロナウイルスによるフランス人死者が出たのは、2020年2月26日のことでした(それ以前に中国人観光客が1名死亡)。それからまだ1ヵ月もたたない今日3月20日。新型コロナウィルスによる犠牲者は372名、感染者合計は1万995名を数える感染拡大を見せています。
フランスでは、最初にクラスターの発生したオワーズ県や、モルビアン県で、集会を禁止たり、学校を休校にするなどの措置を取りましたが、他県への感染拡大を止めることができませんでした。
3月7日、屋内での5000人を超える集会禁止。
3月9日、屋内での1000人を超える集会禁止。
3月10日、屋内外を問わず1000人以上の集会禁止。
3月12日、全国の学校の3月16日からの休校を決定。必要でない外出を控えるように要請。
3月13日、100人以上の集会禁止。
こうしてみると、次々と迅速に手を打っているように見えますが、やはり、どの国もそうであるように、全世界的な感染の速さを鑑みれば、どの時点の決定も、後手後手に回った印象は否めません。
・
外出禁止令と国民の危機感のギャップ
何より問題なのは国民の危機感がまったく上がっていなかったことで、上の対策に続き、
3月16日、外出禁止令(3月17日正午から施行)
が発表されてからも、パリ脱出をはかる人々や、買い占めに走る人々で、駅やスーパーは大混雑。かえって感染が拡がるのでは、と危惧されるほどの騒ぎとなりました。
3月17日正午外出禁止令施行がはじまってからも、なぜそれが必要なのかという意味を解さない国民が多く、いつもと同じように遠くまでサイクリングへ行ったり、バカンスさながらビーチへ出かける人もいて、当初€38からとされていた罰金額は、早々に€135~375に引き上げられることに。とうとう昨日は、ビーチ立ち入り禁止令まで出てしまいました。
EUは遠くなりにけり
ご存じのように、外出禁止令と同時に、非EU国籍人のEU圏への入域も禁止されました。外出禁止令のほうは当面2週間(しかし、すでに必要延長期間についての議論が始まっています)、EU圏封鎖は30日間を目安としています。
もちろん、これは、ヨーロッパに限ったことではなく世界的な動きです。どの地域、どの国も、見事なまでに次々と扉を閉めていっており、新型コロナウイルスが及ぼす世界への影響が計り知れないものとなる予感は、世界中どこでもひしひしと感じられる状況です。
飛行機に乗りさえすれば世界中どこにでも足を運べる感覚だった、つい2ヵ月前を思うと、どなたも隔世の感があることでしょう。
日本から触れられるフランス
当面、外国自体が遠くなってしまった日本。
けれども幸いなことに現代では、その日本からもフランスを観賞する方法がいくつかあります。
【映画やドキュメンタリー】
INA(フランス国立視聴覚研究所)は、外出禁止令に合わせて、映画だけでも1万3000本という豊富なアーカイブの視聴を3ヵ月無料で提供しています。サイトはこちら
【音楽】
うれしいことに、パリ・フィルハーモニーはこれまでに公演したコンサートの動画を公式Webサイトで公開しています。
音楽家のなかにもそれぞれのTwitterやFBページで、ミニコンサート動画を公開している人が少なくありません。例えば、ヴァイオリニストのルノー・カピュソンや、イタリアのテノール歌手マウリツィオ・マルキーニらが、自宅で録音した音楽を披露しています。
また、パリのオペラ座は、週替わりで、『マノン』『ドン・ジョヴァンニ』『白鳥の湖』などのバレエ舞台を公開しています。実は、こちらはフランス国内からしか視聴できないのですが、在仏邦人の方のために書いておきます。視聴はこちらのWebサイト(日本からは見られません)
【美術館・博物館】
美術館をオンラインで、というとまずGoogle Art & Culture 。多くのモニュメントを訪れることができます。
そのほかにも、美術館のサイトから、オンライン・ヴィジットできるところもいくつかあります。おもな施設を下に挙げておきましょう。
ルーヴル美術館はこちらといった具合。
うれしいことに、しばらく前から作品のデジタル化を進めてきたパリでは、パリ・ミュゼ(Paris Musées)のWebサイトで、15万を超える作品のテーマ別観賞も可能です。Webサイトはこちら。
私も何度か紹介してきたフランス北部ルーベのラ・ピシーヌ工芸美術館も、ヴァーチャル・ヴィジットを提供しています。こちらのページ(英語)右下にある「Virtual Visit」をクリックしてみてください。
【図書館のアーカイブ】
フランス語ができる人限定ですが、フランス国立図書館も、多くの蔵書をデジタル化しており、こちらのページから600万点を超えるアーカイブを読むことができます。
国が内向きになり、組織が内向きになり、個人が内向きになりがちな今日この頃。こんな時こそ、外にも目を向けて、心の栄養を吸収したいものです。
上のWebサイトがその一助になれば幸いです。
(冠ゆき)
筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
【記載内容について】
「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。
掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。
本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。
※情報修正・更新依頼はこちら
【リンク先の情報について】
「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。
リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。
ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。
弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。