No.549フランス12/5開始のスト。1995年の再現か?

公開日 : 2019年11月22日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

No.548の続報 です。フランス政府の退職制度改正案に反発して、12月5日から決行される予定のストですが、業種を越えて更に広範囲に拡がりつつあります。

まず、旅行者にとって最も影響のある交通機関について今現在分かるところは次の通り。

549.JPG

夜のパリ北駅ホーム ©Kanmuri Yuki

交通機関への影響

【RATP】

12/5スト表明の皮切りを果たしたのが、パリの交通網(メトロ、バス、トラム、一部のRER)の大半を運営するRATP社の複数の労働組合です。こちらは、12/5から始まる無期限ストへの参加を組合員に呼び掛けています。

そのため、地下鉄、RER、バスともに、ストの大きな影響を受けるとみられます。ただ、メトロの1番線と14番線は自動運転路線ですので、運行するものと考えられています。

【フランス国鉄】

フランス国鉄(SNCF)の労働組合のうち、No.548 を書いた時点では、スト参加を表明していなかったCFDT-Cheminotsですが、昨日11/21スト参加を表明しました。

こちらもすでに三大労働組合が12/5からの無期限ストを呼び掛けていて、その影響は、TGV, TGV Lyria, Thalys(タリス)、Eurostar(ユーロスター)、TER、Intercités(インターシティ)、Transilien(トランシリアン)、Ouigo(ウイゴ)のほか、パリ近郊の郊外列車RERのA線、B線、C線、D線、E線、トラムT4線に及ぶ模様です。

SNCFは、12/5の運行列車について、12月3日午後発表するとしています。

その後は、前日の17時過ぎに翌日の運行予定が発表される見通しです。

【空の便】

エールフランス航空会社のパイロットと、キャビンアテンダントの労働組合は今のところスト参加を表明していません。

ただし、地上職員の3労働組合は、スト参加を呼び掛けています。

航空会社職員は、48時間前までにスト参加の意志を会社に知らせることになっています。

航空管制官の労働組合ナンバー1であるSNCTAはスト参加呼び掛けていませんが、第二の組合であるUSAC-CGTは、ストへの参加を表明しています。

交通機関以外への拡がり

交通機関以外でも、教員、電気会社EDF、弁護士、公務員、またなんと警察らの労働組合もスト参加を表明しています。先日最初のデモから1周年を数えたジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)運動も、12月5日ストを支持すると公言しています。

この日のフランスは、どこにいようとも、なんらかの不便さを感じる一日となりそうです。

ちょっとおさらい1995年12月5日

実は12月5日というのは、象徴的な日付でもあります。

今を遡ること24年。退職制度と健康保険制度の改革を図った「ジュペ案」(当時の首相アラン・ジュペの名を取る)への反発から、フランスにストの嵐が吹き荒れたことがありました。その始まりが12月5日だったのです。

組合側は、当然ながら1995年のストを意識し、フランス政府に圧力をかけているわけです。

この時のストは、交通機関をはじめ、郵便局、電気会社、ガス会社、フランステレコム、教育機関、医療機関など、あらゆる公共機関を巻き込み、実に3週もの間、フランスはすっかりすべてが凍結されたような状態になりました。

このストは、ウィキペディアに項目がたつほどに、今でもフランス人の記憶に残る出来事です。

私も当時フランスに暮らしていましたが、活気あるデモ隊が闊歩する一方、社会全般がだんだんにスローダウンしていくような妙な空気が支配していたのを覚えています。

この日フランスにいらっしゃる予定の方は、とりあえず5日の移動は避け、それ以降についても、できるだけ変更可能なプランを立てることをお勧めします。前稿にも載せた各交通機関の運行状況ページを下に再掲します。上にも書いたように、いずれもおそらく12月3日夕刻以降の掲載になるかと思います。

(冠ゆき)

主な参考記事

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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