No.526マティス美術館庭園を占拠する真っ赤な彫刻!

公開日 : 2019年08月07日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

画家アンリ・マティスといえば、鮮やかな色彩、シンプルな切り絵、迷いのない力強い線などが頭に浮かびます。南仏で過ごした晩年のせいか、つい南のイメージと重なりますが、実は、その生まれは、フランス北部のことでした。

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ル・カトー・カンブレジ©Kanmuri Yuki

ちょうど150年前にマティスが生まれたル・カトー・カンブレジ(Le Cateau Cambrésis)は、今でこそ人口7000人余りの小さな町ですが、一時はカンブレ(Cambrai)大司教の邸宅もおかれた重要な町でした。

そのフェヌロン邸(Fénelon)は、いま現在マティス美術館となっています。

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フェヌロン邸©Kanmuri Yuki

このル・カトーのマティス美術館は、なかなか面白い特別展を毎年企画していて、これまでも何度か取り上げて書いてきましたので、興味のある方は是非読んでみてください。

「頭が凝り固まってきたら、現代アートでブレイクスルー」

さて、先日久しぶりに夏の午後を過ごしにル・カトー・カンブレジへ赴いたところ、マティス美術館の庭園に、真っ赤な巨大な彫刻が出現していました。

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思わず二度見した庭園 ©Kanmuri Yuki

なんともどぎつい色で、一気に目が覚めるこの彫刻。作者はベルギー、オーステンデ生まれのウィリアム・スイートラヴ(William Sweetlove)。彼の狙いは、過剰生産、過剰消費への対抗策としてのアート。彼の彫刻を目にすることで、鑑賞者が、将来に不安を感じ、日常を見直すことを期待しています。

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赤いカラスの会合?©Kanmuri Yuki

確かに、これだけ大きく目立つ色の彫刻は、実際通りかかる人すべての注意を惹きつけますし、皆、いったいどういうことだろうと、考えずにはいられないことでしょう。

このあたりが、美術とアートとの違いなんだろうなぁ、と私も改めて納得した気分になりました。

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フェヌロン邸庭園をバックに©Kanmuri Yuki

この巨大彫刻の展示は、今年2019年12月30日まで続きます。

庭園の入場は無料です。ピクニックがてらいらっしゃるのもお勧めです。

住所:Palais Fénelon, Place du Commandant Richez, Le Cateau-Cambrésis

開館日と時間:火曜日以外の10時~18時

入場料:6ユーロ(26歳未満は無料)

(冠ゆき)

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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