No.517猛暑のヨーロッパ、涼しい場所はどこ?日本と異なる注意点も!
今週いっぱい猛暑に襲われる見込みのヨーロッパ。フランスでも、比較的北部に位置するパリでさえ、35度を軽く上回る気温が予想されています。
【フランスならではの注意点】
日本と比べれば湿気も少なく、過ごしやすいさ!とはよく言われることですが、実は、日本より暑さが身にしみる点もあるのです。特に忘れてはならないのが次の三点。
1)日が長い
緯度の高いヨーロッパは、夏冬の日照時間数の差が、日本とは比較にならないほど大きいのです。夏至の頃の日の入りは夜10時。したがって、夜の7時、8時はまだまだ日が高く、気温も高い時刻。日本のような「夕涼み」は期待できません。
2)冷房のある施設が少ない
日本だと、暑くても、電車に乗ったり、お店に入ったりすれば、冷房が効いていますが、ヨーロッパの場合、場所にもよりますが、冷房のないお店、交通機関は珍しくありません。いざという時、ほてった頭や体を急速に冷やすのは難しいので、できるだけ体温を上げないよう、気をつけましょう。
3)冷たい飲み物は簡単に手に入らない
言わずと知れたことですが、フランスにはコンビニも自動販売機もありません。また、飲食店の開店時間も、日本と比べると制限されています。冷たい飲み物どころか、飲み物自体、欲しい時にすぐに手に入るものではないことを意識して、最低ミネラルウォーターの小ボトルくらいは、常時携帯するようにしましょう。
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【基本の涼しい場所】
その上で、比較的涼しい場所を挙げるとすれば、
1)スーパーマーケット、ハイパーマーケット
食料品売り場のあるスーパーやハイパーマーケットには、さすがに冷房が備わっています。座って涼むような場所はありませんが、ゆっくり売り場を歩いて買い物をすれば、涼をとることはできます。
2)海辺
風の絶えない海辺は、日向さえ避ければ、意外と内陸部よりも過ごしやすいものです。後述しますが、パリから一番近いノルマンディの海が、昔からパリっ子たちの避暑地なのはそういう理由です。
3)教会
天井が高く、窓が小さく、陽光が入りづらい教会、中でもカテドラル(大聖堂)のような大きな教会は、外の気温の影響を受けにくいため、夏でもひんやりとした空気が残っています。教会はすべての町にありますから、暑さでたまらない時は、涼をとるつもりで中に入るのも一案です。
夏でも涼しい教会内 ©冠ゆき
【フランスの涼しい地方】
では、地理的に、フランスではどこが涼しいのか?
もちろん、時と場合によりますが、フランス内陸部と比べて、気温の低い確率が高い場所ナンバーワンは、ブルターニュ地方です。
今週の熱波も、ブルターニュだけは例外で、南部では39度の予報が出ている金曜土曜でも、最高気温が20度までしか上がりません。
同じく、ノルマンディ地方も、海に近い場所は、涼しめです。
パリから最も近いノルマンディの海辺、トゥルーヴィル(Trouville)・ドーヴィル(Deauville)については、こちらの記事をご覧ください。
ドーヴィルの海辺 ©冠ゆき
ノルマンディより北方のオパール海岸沿いも、暑さをしのぐのに最適な場所です。
たとえば、ル・トゥケ・パリ・プラージュ(Le Touquet Paris Plage)は、最近マクロン仏大統領が住んでいることで注目されていますが、それより前から、モナコ公に愛された海辺の町でした。ル・トゥケについては、こちらの記事をご覧ください。また、季節は異なりますが、こちらにも紹介しています。
ル・トゥケの海岸 © Olivier Caenen
更に北方、オパール海岸の絶景が望めるブラン・ネ岬(Cap Blanc-Nez)とグリ・ネ岬(Cap Gris-Nez)もまた、涼しい場所の代表です。猛暑の今週も、土曜日に28度が見込まれているほかは、最高気温20度前後と、涼しい予報です。ブラン・ネ岬、グリ・ネ岬の絶景は、こちらの記事をご覧ください。
ブラン・ネ岬©Eric Desaunois
【ヨーロッパの涼しい国々】
ではヨーロッパで涼しい国はどこか?
これはもう、みなさんのご想像通り。
北欧、バルト三国、スコットランド、アイルランド、アイスランドなどの島国が涼しい国の代表です。
例えば、こちらの記事で紹介したデンマーク・オーフス(Arhus)は、猛暑の今週でも最高気温は25前後。最低気温は11度まで下がる日もあるので、冷房がなくても十分しのげそうです。
こちらで紹介したヴァイキング遺跡の残るイェリング(Jelling)も同様で、一番暑い28度が予想される日曜日でも最低気温は13度まで下がりますし、そのほかは、25度以下の日が多く、それほど熱波の影響は強くなさそうです。
デンマークの海を見つめるMen at Sea,写真©冠ゆき
東欧は、西欧と比べれば涼しい地域ですが、北欧にはかないません。それでも、こちらで紹介したポーランドの首都ワルシャワでは、今週の30度越え予報は火曜水曜の2日のみ。あとは25度を下回る最高気温です。
ワルシャワのワジェンキ公園 ©冠ゆき
また、忘れられがちですが、西欧でも、北部は割と涼しめです。
フランス北部からなら、日帰りも簡単にできるオランダは、週末の避暑旅行にもお勧めです。例えば、こちらの記事で紹介したチーズの町エダム(Edam)ですと、今週も30度越えは今日火曜日のみ。あとは、最高気温は20度前後に下がり、土曜日に29度とまた少し上昇するものの、最低気温は18度なので、楽に過ごせる気候です。
オランダの町 ©冠ゆき
ご旅行中の方、また夏フランスへいらっしゃる予定の方、猛暑と重なる場合は、どうぞ無理をされず、少々予定を変更してでも涼を取ってください!元気にご帰国されるまでが旅行であることをお忘れなく!
(冠ゆき)
筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
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