No.516 フランス北部、黄金に輝く「エルドラド」イベントの数々

公開日 : 2019年06月21日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

2004年リル(リール)が欧州文化首都に選ばれたのをきっかけに生まれたLille3000は、以来さまざまな文化行事をリルで計画する文化組織です。

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Eldoradoポスター

Lille3000が提案する2019年版のテーマは、ずばり「エルドラド(Eldorado)」!

エルドラドとは、もともとは、大航海時代に中南米へ渡ったスペイン人たちが夢見た黄金郷を指す言葉です。けれども、ここではもっと広義に、現代の私たちが目指す世界を、環境問題や移民問題も視野に入れて問いかけます。

核となるのはメキシコ・アート。文学、食文化にまで及ぶさまざまな形のカルチャーイベントが、リルとその周辺の自治体で、今年いっぱいかわるがわる展開されているところです。

すべてを網羅しようとすれば、数十ページのレポートになってしまうので、ここでは、この夏休みリルにいらっしゃる方が目にしやすいものだけピックアップしてご紹介します。

町中のオブジェ

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Luke Jerram Museum of Moon 2018 installation Cathédrale de Liverpool ©Gareth Jones

まず、リル・フランドル駅に着いた方が最初に目にするであろう物は、駅の天井から私たちを見下ろす大きな月!本物の35万分の一、直径10メートルの大きさです。今年7月21日人類が月に足をおいて50年となる節目を記念する意味もこめた展示です。

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Métamorphose urbaine Simulation Alebrijes Rambla © Romain Greco

リル・フランドル駅を背にして町に向かう人が次に目にするのは、フェデルブ通り(rue Faidherbe)のアレブリヘス(Alebrijes)でしょう。アレブリヘというのは、メキシコのポピュラーな民芸で、木材やカートンで作った想像上の動物の像にカラフルな色彩を施したものです。駅から町へ続く真っすぐなフェデルブ通りの両側に、これがずらーっと並ぶ様子は、目を奪われるほどに非現実的です。

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Métamorphose urbaine Betsabeé Romero, Soles de Oro, simulation, 2018 © Betsabeé Romero

そうしてたどり着くグラン・プラスの旧証券取引所には、黄金の太陽がきらめいています。

いずれも展示は2019年12月1日まで。

リル市内の夏期エキスポ

また、夏休みの期間、リル市内の主な会場では下のようなエキスポが開かれています。

古代から現代にいたるまでのすべての「エルドラド」を紹介するエルドラマ(ELDORAMA)展。「ここでないどこか」「より良い場所」を求める人の性(さが)をも考えさせます。

期間:2019年9月1日まで

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Eldorama - Tripostal © Yayoi Kusama / Cnap / Photographe : Musée des Beaux-Arts - Métropole Rouen Normandie

メキシコ現代アート美術館から、48作品を紹介するアンテンソ/メキシカノ(Intenso/Mexicano)展と、ストリート・アートの展示。

期間:2019年8月30日まで

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Tlacolulokos - Musée de l'Hospice Comtesse Tlacolulokos Visualizing Oaxaca in LA

・黄金の部屋(Golden Room)

地下の古代から中世、またルネッサンスまでの美術展示室が、黄金の部屋に姿を変えています。これは、複数のアーティストが、常設展示に自由にプラスαすることで、黄金の物語を紡いだものです。

期間:2019年9月2日まで

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Golden Room 写真©Maxime Dufour

・マチアス・キス(Mathias Kiss)展

リル美術館の真ん中に空と空間を感じさせるスペースを作ります。

期間:2020年1月6日まで

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Mathias Kiss - Palais des Beaux Arts« Besoin d'Air ? », simulation de l'installation de Mathias Kiss dans l'atrium du Palais des Beaux-Arts de Lille, printemps 2019 © Mathias Kiss, « Besoin d'Air ? », ADAGP, Paris, 2019

・黄金の本(Golden Books)展

12~16世紀の貴重な装飾写本を展示します。

期間:2019年9月2日まで

旧サン・ソヴァー駅では、エコロジカルな面に目を向けたエルドラド関連のエキスポが複数開かれています。その中には、住人ともども都会の畑を作る試みなども含まれています。

期間:2019年11月3日まで

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La déesse verte - Gare Saint Sauveur Miguel Penha Arvore cambara amarelo acrílica 50 x 100 cm 2014 © Miguel Penha

他にも、近郊の町や公園などあちらこちらで、お祭りなどが計画されています。

詳しくは公式サイトをご覧ください。

それぞれの描くエルドラドを探してみたくなるイベントです。

(冠ゆき)

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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