No.507フランスの祝日「キリスト昇天の日」
フランスには、一年に約13の祝祭日があります。「約」と書いたのにはわけがあり、フランスでも、北東部にあるアルザス=モゼルと呼ばれる地方はいささか事情が異なるからです。
また、13のうち必ず日曜日にあたるのが「復活祭」と「聖霊降臨の日」です。こちらを数えないとすると、残る祝日数は11日ということになります。
そのうち、カトリックに関する祝祭日は、6つ。そのうち3つが、移動祝日です。つまり、何月何日と決まっているのではなく、毎年日程が変動する祝日です。
ちなみに2019年の祝日については、こちらの記事で紹介しましたので、どうぞ参考にしてください。
イエズス・キリストの処刑と復活
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明日5月30日は「キリスト昇天の日」で、これも移動祝日のひとつにあたります。
ちなみに、後ふたつの移動祝日は、「復活祭」と、「聖霊降臨の日」です。
簡単に説明すると、
「復活祭」は、毎年3月21日以降最初の満月につづく日曜日。
「キリスト昇天の日」は、復活祭から数えて40日目。そのため、毎年木曜日です。
「聖霊降臨の日」は、復活祭から数えて7つ目の日曜日。
政教分離の進んでいるフランスで、カトリックの祝日がいまだに祝われるのは、歴史的文化的理由によります。
大まかに説明すると、1789年のフランス革命により、フランスには、宗教的な慣習を一気に捨て去ろうする動きが高まりました。これを憂えた当時のローマ法王ピウス7世は、1801年、ナポレオン・ボナパルトとコンコルダートを結びます。その中で定められたのがカトリックの四つの祝日:クリスマス(12/25)、キリスト昇天、聖母被昇天(8/15)、全聖人の祝日(11/1)の復活でした。その後1905年にフランスでは政教分離法が成立しましたが、これらの祝日は今もってフランスでは祝日とされています。
実は、2003年、2012年と最近になって、「キリスト昇天の日」や、「聖霊降臨の日」を祝日でなくそうという動きもいくつかあったのですが、いまのところ、まだ祝日と捉えられています。
特に「キリスト昇天の日」は木曜日なので、金曜も休みにして四連休とする企業や学校も少なくありません。夏前の小旅行に出かける国民も多いので、旅行中の方は、交通機関の混雑にお気を付けください。
また、祝日とはいっても、クリスマスや復活祭ほどのインパクトはないため、パリの百貨店やショッピングセンターは、ほぼどこも開店していますし、博物館・美術館も開館していますのでご安心ください!
(冠ゆき)
筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
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