No.424アートとTVドラマの関係を探る!リール美術館オープンミュージアム
フランス北部の中心都市リールにあるリール美術館については、これまでも何度か紹介してきました。
リール美術館
このへんでもう一度おさらいしておくと、リール美術館のフランス語名はPalais des beaux-arts de Lille(パレ・デ・ボーザール・ドゥ・リル)。直訳すると、リール美術宮殿です。その名の通り、なかなか荘厳な外観の建物は、19世紀の終わりに完成したもので、1975年に国の歴史的建築物指定を受けました。
場所は、町の真ん中あたり、レピュブリック広場。長方形のこの広場を、県庁と挟むように建っています。レピュブリック広場の地下にはメトロの駅があります。リール駅からは二駅の距離。歩いても大したことはありません。
リール美術館は、その膨大な美術品所蔵で知られており、フランスでも有数の美術館のひとつです。コレクションは主に12世紀から20世紀のヨーロッパ美術品。絵画をはじめ、彫刻、陶器なども充実しています。
Open Museum séries TV - printemps-D'après Antoine Chintreuil,Les vapeurs du soir, 1865 ©PBA Lille 2018
さて、このリール美術館では、2014年から、毎年オープンミュージアムなるものを開催しています。
オープンミュージアムは、通常美術と結び付けて考えられにくい人物、キャラクター、分野を常設展示スペースに招待し、美術一般を別な視点から見てみようという試み。
これまで、ドナルド・ダック、漫画家のZepらを招いて、いずれも大きな成功を収めています。
Open Museum séries TV - printemps 2018 - ©PBALille-CMasset
今年5回目となるオープンミュージアムのテーマはテレビドラマ。
世界的に知られるテレビドラマを例にとり、アートがどんなふうに影響を与えているか、また、ドラマ内で何のシンボルとしてアートが使われているのかなどをピックアップするものです。
【Geme of Thrones】
Game of Thrones © HBO
リール美術館所蔵、聖ゲオルギオスの祭壇彫刻画
例えば、Game of Thrones (ゲーム・オブ・スローンズ) に登場するドラゴン。ドラゴンと言えば、大天使聖ミカエル(フランス語発音では聖ミシェル)のほか、聖ゲオルギオス(フランス語発音で聖ジョルジュ)の伝説が有名です。聖ゲオルギオスが竜を退治する様子を描いた絵画や彫刻は数知れぬほどありますが、リール美術館にも、教会の祭壇を飾っていた15世紀の彫刻が保存されています。
比較が可能なように、館内には20ほどの画面が、絵画のように壁に掛けられ、ドラマの該当部分を流しています。
【P'tit Quinquin】
PTit Quinquin ©3B Productions, Arte, Pictnovo et le Fresnoy
リール美術館所蔵、ルピック「干潮のベルク海岸」© PBALille
例えば、テレビドラマP'tit Quinquin(プティ・カンカン)に登場したオパール海岸の映像の横には、Ludovic Napoléon Lepic(リュドヴィック=ナポレオン・ルピック)の描いた『La plage de Berck à marée basse(干潮のベルク海岸)』(1876年)が並びます。
【Twin Peaks】
ツインピークスの一場面と、それを模した展示
ドラマTwin Peaks(ツイン・ピークス)からは、シーズン2、エピソード22の場面が選ばれ、美術館の一室が、場面の再現にあてられています。
【Versailles】
ヴェルサイユで用いられた衣装を飾る17世紀の絵画ギャラリー
また、ドラマVersailles(ヴェルサイユ)からは、ドラマで用いられたコスチュームが、17世紀の絵画をバックに、展示されます。
そのほか、館内のあらゆるギャラリーに設置されたテレビドラマの一場面と美術作品との比較をお楽しみください。いつもと違う視点から美術鑑賞できるヒント満載です。
リール美術館第五回オープンミュージアム
会期:2018年7月16日まで
URL:http://www.pba-lille.fr/
開館日と時間:月曜14時~18時、水曜~日曜10時~18時
会期中の休館日:毎週火曜と7月14日
入館料:大人7ユーロ
(冠ゆき)
筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
【記載内容について】
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