No.373フランスの美術館2017年度ランキング発表!

公開日 : 2017年06月19日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

『Le Journal des Arts(ル・ジュルナル・デ・ザール)』は1994年創刊のフランスの雑誌。その名(直訳すると「美術の雑誌」)が意味する通り、美術関係のニュースを扱っており、美術関係者にも一目置かれています。

2017年度フランス美術館ランキング発表

この美術誌が、先日発表したのが、2017年度フランス美術館ランキング!

フランス国内の美術館を、属する自治体の規模によって大都市、中規模都市、小規模自治体の3つに分け、それぞれのカテゴリーで順位付けしたものです。評価基準は、訪問者数、その年度に開いた展覧会の質、また美術館内外での活動内容など、多岐にわたります。

それによれば、

大都市の美術館ランキング第一位は、リヨン美術館(Musée des beaux-arts de Lyon)

中規模都市の美術館ランキング第一位は、ルアーブル、アンドレマルロー現代美術館(Musée d'Art Moderne André Malraux du Havre)

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小規模自治体の美術館ランキング第一位は、カトーカンブレジ、マティス美術館(Musée Matisse du Cateau-Cambrésis)

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ルアーブル、アンドレマルロー現代美術館へは、ちょうど先日行ってきたところで、そのうちここでも紹介したいと思っていましたが、今日特にここで取り上げたいのは、小規模自治体の美術館ランキングです。

ル・カトー・カンブレジ、マティス美術館については、これまでも何度か記事にしたことがありますが(フランスの北の橋と南の端に美術館を持つマティスの魅力マティスの生まれたフランス北部小さな町の大きな夢No.253マティスの生まれた町ル・カトー・カンブレジで見るマティスの版画展No.346アレシャンスキ展フランスではまだまだ続きますなど)、地方にある美術館とは思えない充実したコレクションと芸術鑑賞にぴったりの素晴らしいロケーションが魅力です。

2017年度は、テロの影響を受け、観光客が大幅に減ったフランスでしたが、同美術館は、安定した入館者数(約54000人)を得ています。訪問客の国籍もさまざまで、その数38か国。また、南アフリカのヨハネスブルグで展覧会を開いたことも大きく評価されました。実際、アフリカ大陸でマティス展が開かれたのは初めてのことで、本物の作品が見られるということで、現地の若いアーティストたちが多く足を運び、成功裡に終わったイベントでした。

オー・ド・フランスの美術館が上位3位を占める!

ここで、ちょっと復習したいのが、フランスの行政地区。No.59No.209でお知らせしたように、2016年からフランスの行政区は変更され、私の住むフランスの北端、ノール県は、パドカレー県、エーヌ県、オワーズ県、ソンム県とともにHauts de France(オー・ド・フランス)地方を構成しています。

そうして、上述の「小規模自治体の2017年美術館ランキング」では、一位のカトーカンブレジ、マティス美術館のみならず、二位、三位も、オー・ド・フランスの美術館が選ばれたのです!

二位は、ペロンヌの第一次世界大戦歴史センター(Historial de la grande guerre de Péronne)。ソンムの戦いからちょうど100周年となる時期にあたることもあり、さまざまなイベントが企画され、多くの人が訪れました。

三位は、ギーズのファミリステール(Familistère de Guise)。No.362ユートピアを形にした男で紹介した非常にユニークな歴史的社会的産物です。交通の便も良いとは言えない小さな町の博物館ながら、2017年度は、イル・ド・フランスの美術館と同等の6万6千人の訪問客を迎えました。

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健闘したその他の美術館

ところで、小規模自治体の美術館ランキング(総数87)では、上位三位以外にも、オー・ド・フランスの美術館が健闘しています。

例えば、7位は、カッセル(Cassel)のフランドル美術館(Musée départemental de Flandre)

14位は、サール・ポトゥリ(Sars-Poteries)のガラス美術館ミューズヴェール(Musverre)

新地方オー・ド・フランスには、文化施設が豊富にあることがよく分かるこのランキング。オー・ド・フランスは、フランスのマクロン大統領が生まれたアミアン(アミアンについてはこちらの記事)もあれば、夫妻が結婚式を挙げ、休暇や週末を過ごすル・トゥケ・パリ・プラージュ(トゥケについてはこちらの記事)もある地方です。そのため、ジュルナル・デ・ザール誌では、将来は、ル・トゥケに「エマニュエル・マクロン」の名を冠した美術館ができるのでは、との予測もしています。

文化面でも今後目が離せないオー・ド・フランス。フランス旅行の際は、ぜひ足を運んでみてください。

(冠ゆき)

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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