No.318リールのピアノ・フェスティヴァルとカザドゥシュの引退
悪天候だのEuro2016騒ぎだのに埋もれてしまった感がありますが、今週末は、多くのイヴェントがそこここで企画されています。
13回目を迎える今年は、バッハとモーツァルトに焦点が置かれているようですが、クラシックだけではなく、ジャズの演目もあります。3日間凝縮されたピアノ曲の数々。40人ほどのピアニストが参加します。
オープニングコンサートは、もちろん、Casadesus(カザドゥシュ)率いる Orchestre National de Lille(リール国立オーケストラ)によるもの。ホーム・ホールであるNouveau Siècle(ヌーヴォー・シエークル)にて、6月17日20時からを予定しています。
演目は、サティやモーツァルト。ピアニストはFazil Say。彼自身の作曲した曲も演奏する予定です。
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ここでビッグニュースです。No.103 に書いたように、リール・オーケストラとカザドゥシュは誕生から今までずっと歩みをともにしてきて、私を含め誰にとっても、切っても切れない関係のように思われてきました。けれども、どんな関係にも終わりがあるもの。実は来季から、リール国立オーケストラのディレクターが変わることが決まっています。
まだまだエネルギッシュに指揮棒を振るうカザドゥシュ。一気に引退するわけではないようですが、一抹の寂しさも感じます。新しく就任する若き指揮者についてはまた稿を改めて書けたらと思います。
さて、ピアノフェスティヴァルに話を戻すと、予定されているコンサートの中で、最もびっくり!というのが、なんと演奏するのに15時間かかるというサティのVexations。題して「マラソン・サティ」と名付けられたこのコンサートは、6月18日(土)9時から23時15分までを予定しています。同じフレーズを840回繰り返すというこの作品。真面目に聞くというより、そのばかばかしいほどの長さを楽しむ?のが、正しい聞き方なんでしょうかね。こちらのコンサートは入場無料。ヌーヴォーシエークルのEspace Valladolidで開催されます。
(左がオープニングコンサート、右がアレクサンドル・タローのコンサート)
けれども実は私が個人的に一番聞きたいと思っているのは、6/17(金)22時からAlexandre Tharaud (アレクサンドル・タロー)が弾くVariations Goldbergです。
アレクサンドル・タローには、あまり知られていない曲を録音したCDなどがあり、彼の演奏で発見した曲も少なくありません。カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した映画『Amour(邦題:愛、アムール)』(2012) に出演していたピアニストがアレクサンドル・タローです。
多くの演奏は、ヌーヴォー・シエークルで行われますが、サン・サヴァー駅(という名前の会場)や、リール美術館、音楽学校、また本屋のFuret du Nord(Furet du NordについてはNo.274 をご覧ください)、シャルルドゴール生家(シャルルドゴール生家についてはNo.104 をご覧ください)でも行われますので、上の公式サイトでしっかり確認してください。
入場料はいずれも安価で、予算が少なくても、複数の演奏を楽しめる良い機会です。
(冠ゆき)
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筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
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