No.213ルーマニアの貧しさと豊かさ

公開日 : 2015年08月11日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

 裏づけを取ったわけではありませんが、旅していると、ルーマニアは相当な農業国のように見えます。No.211 にも書いたように、野に畑に、馬牽き台車が活躍する国で、一日の作業量には限りがあると思うのに、丘の上の方までしっかり美しく耕された風景に感心したりしています。

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 また、話に聞くところによると、ルーマニアは持ち家の比率が非常に高く、誰もが庭に野菜を作ったり、果物のなる木を植えていたりするため、経済危機にもなんとか耐えていけているのだそうです。

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まるで果樹園のような庭

 確かに、どこも庭は比較的広く、りんごやプラムやミラベル、ブラックベリーなど実のなる木が何本も植わっていますし、ちょっとした家庭菜園どころか、かなり本格的な畑を作っている家すら目にします。

 鶏や山羊や七面鳥まで庭で飼っている家もあれば、中には、庭に養蜂箱が並んでいる家まで見かけました。

 また、どこの村でも健在に見えるのが井戸。公道にある町もあれば、各家の庭に立っている町もあります。

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公道にある井戸

 確かに、人間、雨と風を防げる住居と、口にするものがあれば、なんとか凌いでいけるものなのかもしれません。

 ルーマニアには、私たち日本人から見れば、「貧しい」と呼べる収入しか得ていない人が多いのでしょうが、住居の広さや、自給率の高さ(つまり自立性)を見れば、「貧しい」と言う言葉はそぐわないような気もします。

 外観を見るだけでも、彼らの住居は、よく手入れされていて、どこも美しく花が飾ってあり、非常な手間暇をかけているのが感じられます。

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どの家もお花を植えています

 ホテルや民宿、教会の内装の行き届いた手入れから推察しても、一般住居の内部もさぞかし手をかけていることでしょう。

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花に埋もれた修道院

 「豊かさ」とは何なのか。この言葉ひとつ取ってみても、内包する意味は、数限りないことが、よく分かります。

 日常から離れた旅路においては、いつもに増して、こうした思索に耽りやすくなりますが、それもまた、旅の贅沢のひとつなのかもしれません。

(冠ゆき)

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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