No.135フランス北部からイギリスへの道まとめ:ユーロスター・バス・トンネル・フェリー

公開日 : 2015年04月14日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

 フランスの北の端、ノール県の県庁所在地Lille(リール)はベルギーとの国境近くにあり、首都パリからは230キロメートルも北。フランス地図だけを見れば、「都から遠いはずれ」のようなイメージがありますが、もっと大きな目で見ると、決して「はずれ」ではありません。

 具体的に数字を並べてみましょう。

ベルギー首都ブリュッセルから110キロメートル。

イギリスの首都ロンドンから240キロメートル。

オランダ首都アムステルダムから300キロメートル。

ドイツのケルンからも300キロメートル。

ルクセンブルグからも約300キロメートルの距離。

 特に高速鉄道の発達により、パリとはTGVで約1時間、ブリュッセルとは40分。ユーロスターでロンドンとは80分で結ばれているという近さ。

【ユーロスター】

 というわけで、ビジネストリップはもちろんのこと、観光でも、行き先がロンドンならば、一番便利な移動手段はユーロスターとなります。

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ユーロスター

 ただし、ユーロスターの難はやはり値段。時間帯によりますが、片道100ユーロ以上はかかります。一人ならばまだしも、家族数人で移動となるとかなり痛い出費です。

【国際バス】

 時間に余裕がある方は、No.87でもご案内したiDBUS (イデビュス)を利用すれば、一人29ユーロの安さで、リールからロンドンへ運んでもらえます。所要時間は5時間40分。

 ヨーロッパを結ぶ国際バスの老舗Eurolines(ユーロライン) ももちろん通っています。

 ただ、目的地がロンドンでない場合は、ユーロスターやiDBUSが便利とも限りません。

 ロンドンより東のカンタベリーなどは、ドーヴァー港からもそれほど遠くないので、車のある方には、特にユーロトンネルやフェリーがお勧めです。

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印象的なドーヴァーの白い断崖

【ユーロトンネル】

 ユーロトンネルというのは、列車に車やバスごと乗って、海底トンネルを渡るというもの。列車は、空洞のワゴンが連なるようにしてできていて、列車に乗っている間、車を降りて、体を伸ばすこともできます。

 人数ではなく、車一台の値段ですが、イギリスに滞在する日数によって、利用料金が変わります。最安で、32ユーロ(1-2日の滞在)から。スタンダード(長期滞在可)だと、102ユーロから。トンネルの中を通る時間は35分ですが、その前後も走るので、1時間近く列車に乗っているような印象があります。

 ユーロトンネルは、自転車でも乗ることができます。時期によって値段が異なりますが、自転車は片道18イギリスポンドから。

 お天気が良ければ、イギリスの田舎を自転車で走るのはさぞかし気持ちがいいことでしょう。

 実は、前述のイデビュスもユーロラインもこのユーロトンネルを通ります。イデビュスは、ロンドン行きのみですが、ユーロラインは、リール⇔ロンドンだけでなく、リール⇔ドーヴァーの利用もできます。往復62ユーロから。

【フェリー】

 車で渡る話に戻ると、ユーロトンネルのあるカレからは、フェリーも多く出発しています。

 こちらのサイトでは、My Ferry Linkや、DFDS Seaways、P&O Ferriesといった船会社とユーロトンネルの時刻表と値段の比較ができるようになっています。

 フランス北部で一番大きな港はカレですが、リールから見ると、カレよりも近く、90キロメートル弱の距離にあるのが、ダンケルク。

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ダンケルク・カレ・ドーヴァー・リールの位置関係

 このダンケルクからも、ドーヴァー行きのカーフェリーが出ています。

 船会社は、DFDS Seaways 。ダンケルク⇔ドーヴァー以外に、カレ⇔ドーヴァーや、アムステルダム⇔ニューキャッスルなども運航しています。車一台+大人一人で、片道49ユーロから。

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DFDS社の船

 先日初めてこの便を利用しましたが、他の船がないためか、コントロールも混雑がなくスムーズで、快適な船旅でした。対岸のドーヴァーまで所要時間2時間10分。船の中には喫茶店やレストランが複数あり、のんびり過ごすことができます。

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船内の様子

 デッキはなく、外には出られないようになっているのが残念でしたが、小さなお子さん連れには、かえって安心できる作りだと思います。

 船内には、レートはあまりよくありませんが、両替施設もあります。

 ユーロスター、長距離バス、ユーロトンネル、フェリー。移動目的や目的地に合わせて、その都度、より良い移動方法を選んでみてください。

(冠ゆき)

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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