No.21 耳だけでなく目も喜ぶ、秋の無料オルガンコンサート:トゥルコアン
フランスのノール県で一番有名なのは県庁所在地であるリール市です。そのリール市と周囲の市町村を併せた行政地区は、リールメトロポルと呼ばれ、トゥルコアン市も含みます。世界的な知名度は今ひとつのトゥルコアンですが、町中にはなかなか美しくユニークな建築物が見られます。
もっとも中心となるPlace de la République(共和国広場)を見てみましょう。トラムでも、地下鉄でも、Tourcoing Centreで下車すると、この広場に着きます。見渡すと、片側には、旧商工会議所の壮麗な建物、もう片方には、崇高なサンクリストフ教会が見えるでしょう。
トゥルコアン・サンクリストフ教会
トゥルコアン旧商工会議所
旧商工会議所は、1903年から1906年の間に建てられたもので、ネオ・フランドル様式。17世紀のルネサンス様式を思い起こさせるレンガと石の造りの鐘楼が聳えています。フランス語でベフロワ(Beffroi)と呼ばれる鐘楼は、ベルギーとフランス北部に特徴的な建築物で、そのうち56の鐘楼は、2005年からUNESCOの世界遺産として登録されています。
UNESCOの世界遺産に登録されているリールの鐘楼
トゥルコアンの鐘楼は、残念ながらUNESCOのリストには入っていませんが、十分鑑賞に堪えうるものではないでしょうか。
さて、もう一方にあるサンクリストフ教会。古くは11世紀からこの場所に教会がありました。現在の外観は、リール出身の建築家シャルル・ルロワが1857-1865年に再建したネオゴティック様式のものですが、レンガの壁や柱は古いものがそのまま残っています。
全長60メートル、外陣の高さ22.6メートルの佇まいは、トゥルコアンの中心に降り立った人の目を文句なく惹きつけることでしょう。
この教会には、実はフランスで三番目の規模を誇るカリヨンがあり、見学することも可能です。カリヨンについては、稿を改めることにして、今日は今月ここで行われるオルガンコンサートのご案内をしたいと思います。
「秋のオルガン」と名づけられた今年で17回目になる催しで、トゥルコアン市内の教会で週末コンサートが行われます。
*10/19日曜日15:30 サンクリストフ教会
ドム・ミシェル・ボーメル演奏:バッハ、ベダール、ベリエ、ドミーニ他
*10/26日曜日 15:30 サンクリストフ教会
ジスラン・ルロワ演奏:バッハ、ドゥヴェルネ、ギヨー、メンデルスゾーン、ヴィヴァルディ他
*11/1土曜日 15:30 サンクリストフ教会
ユーグ・アラヴォワヌ指揮によるオルガンと男声コーラスコンサート
いずれも無料で、予約の必要もありません。
オルガンは、1751年に完成したもので、外から見えるビュッフェ(外装箱)は、バロック式の華麗なものです。
ステンドグラスや内装も見ていただきたいですが、中でも両脇に置かれた木造の告解室の彫刻は一見に値するものですので、忘れずにご覧ください。
オルガンコンサートに足を運ばれたら、耳だけでなく、目も喜ばせて帰ってくださいね。
筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
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