佐藤オオキ氏の展示会@ホロン・デザインミュージアム
テルアビブ近郊にあるホロン・デザインミュージアムにて佐藤オオキ氏率いるデザイン事務所nendoの展示会が開催されました。佐藤氏といえばロッテガムのパッケージやスターバックスのマグカップのデザインなど次々とヒット作を生み出し、今や世界からも注目を浴びているデザイナー。そんな佐藤氏の感性を紹介する大規模な個展がイスラエルで開催され、当地でも話題を呼びました。すでに閉展してしまったものの、展示会の様子を写真と共にレポートします (展示会会期は2016年6月7日から11月19日まで)。
展示会のタイトルは「nendo: the space in between」。展示会のコンセプトは「スキマ(隙間)」からアイディアを紡ぎ、創造していくこと。nendoホームページには下記の通り紹介されています。
"nendoのモノづくりは、まずは物事の既成概念の領域を探り当てていき、それらの領域を複数重ね合わせたときに存在するわずかな「スキマ」からアイデアを紡いでいく。そして、それによって受け手側の思考の幅が少しずつ広がっていくことを理想とする。この一連のプロセスを来場者に体感してもらうことを目的に、70にも及ぶ作品を6種類の「スキマ」に分類して展示した。" (nendoホームページ抜粋)
各作品はガラス張りの中ではなく、オープンペースに並べられ、訪問者は色々な角度から覗きこみ「スキマ」を確認したり体験しながら鑑賞を楽しむことができるようになっています。
イスラエルでは特に建築やインテリアデザインに対する関心が高い人が多く、この日はたくさんのイスラエル人訪問者が佐藤氏の世界に見入り、感嘆の声をあげていました。
こちらは佐藤氏がデザインを手がけた日用雑貨品などを展示していたスペース。日々使うものの使い勝手や機能性を見つめ直し、見た目にも楽しいことをコンセプトにデザインされた小物たち。佐藤氏のデザインに対する哲学の結晶といえるでしょう。
個人的に特に印象的だったのは、日本語での雨の表現20種類をガラスボトルの中で表現した展示です。
五月雨、時雨、夕立、雹など、四季折々の雨の名称とどのような特徴の雨であるのかを、言葉での解説と共に、その様子が非常にシンプルな形で、見事に表現されています。一年間のうち10ヶ月は雨が降らないイスラエルですから、イスラエル人にとっては日本語で雨の表現が20種類もあること自体驚きです。皆興味深そうにガラスボトルを一つ一つ丁寧に覗き込んでいました。日本人の私にとっては遠い故郷の哀愁を感じた一方、日本人の感性のきめ細かさ、素晴らしさを誇りに思う気持ちでいっぱいになりました。
ちなみに今回の展示の会場となったホロン・デザインミュージアム自体も非常に話題性のある建築となっています。2010年にデザイン専門の美術館としてオープンしたホロン・デザインミュージアムは、世界で活躍するイスラエル人建築家ロン・アラッド氏が設計したもの。同氏は2008年にはファッションブランドKENZOとコラボで香水瓶のデザインも手がけています。
何本ものリボンが滑らかにカーブしているようにも見える、とてもユニークかつ美しい建築となっています。美術館の中庭から空を見上げると、オレンジと青空のコントラストがとてもきれいです。
ホロン・デザインミュージアムはテルアビブから電車一本でアクセスが可能、所要時間も10分ほどです。(BatYam Yoseftal駅下車、徒歩15分) 今回ご紹介した佐藤オオキ氏の展示会は終了してしまいましたが、5ヶ月ごとに新しい展覧会を開催していますので、テルアビブ観光で半日空きが出来た際にはぜひ訪れてみることをお勧めします。
<ホロン・デザインミュージアム詳細>
ホームページ:http://www.dmh.org.il/
開館時間:日曜日は休館。開館時間は曜日により異なるので上記ホームページで要確認
料金:大人35シェケル(1000円程度)
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