【ジョージア】夏のヘヴスレティ④~アルドティ村の少女
ジョージア語の学習をするために、最近はYoutubeで現地のテレビ番組をよく観ます。
そのなかに、ある少女のインタヴューがありました。
その少女は、アルドティという山奥の村に住んでいます。
都会の情報からは断絶された山間に住んでいる、同年代の友人もいないたったひとりの少女。
「今、一番何がしたいか?」という質問に、「バナナが食べてみたい」と答えていました。
↑アルドティ村へのハイキング・コースからムツォ村方面を臨む。
こういうときに浮かび上がる感情を表すとき、日本語ではどの形容詞を使えばよいのでしょうか?
もちろん「悲しい」や「感動的だ」というのは違います。
「いたたまれない」も違うと感じます。
その少女が不幸な境遇というわけではありませんし、実際に不幸そうな表情はしていません。
むしろそういう生活をしてみたいと憧れる都会人もいるでしょう。
↑ムツォ村にて、山から下ってきた渓流がアルグニ川に注ぐ。
「切ない」というのが一番近い気がするのですが、「切ない」という形容詞を使うと、その立場が理解できるという傲慢な気持ちが生じている気がするのです。
そういう立場は経験から理解はできないが、想像を超えた素朴さに出合うときに感じる切ない気持ち。
そのアルドティという村はムツォ村の6km奥、ヘヴスレティ地区の最深部にあります。
↑ムツォ村~アルドティ村間のハイキング・コース。
できればその少女にいろいろと聞いてみたいという思いもあり、私はヘヴスレティ地区の最終目的地をその僻村アルドティに定めました。
ムツォ村を越えるとまず、渓流を渡る箇所があります。
靴が濡れてしまうので脱いで渡りました。
↑ムツォ村~アルドティ村間のハイキング・コース。
ムツォ村から500mほど行ったところに関所があり、兵士が待機しています。
単なる警備だと思い笑顔で挨拶しましたが、相手の表情は険しいまま。
いろいろと質問され、最終的にパスポートの確認をされました。
この先は行ってはいけないのかという不安が生まれましたが、あとで気づきました。
↑画像中央の小高い丘の辺りがアルドティ村。
アルドティが僻村であることに加え、この先にはアツンタ峠という山越えの難所があります。
またチェチェン国境から近いという理由もあるのかもしれません。
遭難者が出る可能性があるので、政府としてもこの場所での行き先と身元の確認が必要なのです。
↑ムツォ村~アルドティ村間の給水所。
ムツォ村からアルドティ村までのルートは、アップダウンがほとんどない簡単なハイキング・コースです。
途中、給水所が一ヵ所あります。
↑アルドティ村の高台から見下ろす。
できればアルドティ村で一泊してみたかったのですが、目当てのゲストハウスがどうしても見つかりませんでした。
あとで聞いたところによると、山を登った上にあるそうです。
いずれにしても宿も見つけなければならないので、この日はそのままムツォ村まで戻って宿を押さえました。
↑アルドティ村。
しかしアルドティ村が気に入った私は、翌日同じコースを戻りました。
例の関所でパスポートを見せて、再度訪れるアルドティ村。
↑山の中腹に位置するアルドティ要塞。
アルドティ村にも要塞があります。
山の中腹にあるその要塞を目指して登りました。
麓からその要塞にいたるルートは20分ほどの険しい上り坂となります。
西側に延びる上り坂を登っていくと、家畜小屋の裏側から要塞に続くルートがあります。
↑アルドティ要塞へ登るルート。
↑この家畜小屋の右側から裏に入っていきます。
アルドティ要塞は現在は住居となっているようで、住人がいます。
こちらの存在に気づくと、喜んで内部を案内してくれました。
この要塞は12世紀頃に建てられたという説明を受けます。
この地区には多数の要塞がありますが、建てられた年代は異なっているようです。
↑アルドティ要塞。
要塞からの眺めは絶景。
アルドティ村は、このヘヴスレティ地区のなかでも特に印象に刻まれる場所となりました。
↑アルドティ要塞からの眺め。
その住人の男性に例の少女のことを尋ねてみましたが、どうやらこの少女はムツォ村の出身だそう。
インタヴュー時はアルドティ村にいたそうですが、現在はいないとのこと。
↑アルドティ要塞近くの高台からの絶景。
↑絵葉書に使えそうな一枚。
その後ムツォ村のゲストハウスでこの少女の話を聞き、知り合いだという男性には出会えました。
しかしその少女にはついに出会えず。
しかし、その少女はアルドティ村というすてきな風景を私に与えてくれました。
↑アルドティ村。
【ジョージア語の表記と発音】
・ムツォ村(მუცო/mutso)
・アルドティ村(არდოტი/ardot'i)
・アツンタ峠(აწუნთის უღელტეხილი/ats'untis ughelt'ekhili)
【注意】
ムツォ村~アルドティ村のハイキング中、アブだと思しき昆虫に吸血されました。
その昆虫は体長1cm強、大型のハエのような見かけをしています。
ムツォ村より手前では、この昆虫にはいっさい遭遇しませんでした。
被害に遭ったのは手の甲に3ヵ所、そして川で水浴びをしたときに足の甲に1ヵ所、合計4ヵ所です。
刺されるときに小さな痛みがあり、2日後から腫れと痒みが生じました。
あらためて、ジョージアの自然のなかを歩く際の防虫対策の重要性を実感しました。
↑このときは至福のひとときだったのですが。
※そのYoutube動画ですが、直接リンクははばかられるので、以下の語句で検索すると出てきます。
ყველაზე პატარა ბავშვი მუცო-არდოტის ხეობაში
↑ムツォ村。
↑アルドティ村。
※地図には記されていませんが、ムツォ村~アルドティ村間はハイキング・コースでつながっています。
アルドティ村から西側への道を登っていくと、アルドティ要塞にたどり着きます。
筆者
ジョージア特派員
fujinee
ジョージアのトビリシに住んでいます。音楽や芸術が好きなので、そのような記事が多くなります。
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