【ジョージア】夏のヘヴスレティ②~シャティリ村の要塞ゲストハウス

公開日 : 2021年07月08日
最終更新 :
筆者 : fujinee

前回の続きです。

マルシュルートカ(乗り合いヴァン、マルシュ)は村の中心部に到着。

マルシュを降りるとまず目に飛び込んでくるのは、シャティリ村のシンボルでもある要塞。

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↑シャティリ要塞。

シャティリには多くのゲストハウスがあります。

サイトでの予約も可能ですが、空室があれば飛び込みでも宿泊できます。

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↑シャティリ村の風景(要塞内のゲストハウスより)。

そしてこのシャティリ要塞のなかにもゲストハウスがあります。

そこに飛び込みで宿泊してみようと思いました。

通りかかったツーリストに聞くと、要塞内には2軒のゲストハウスがあるとのこと。

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↑ゲストハウス・ツィナ・ツィヘ。

ツィナ・ツィヘ(フロント・キャッスル)という名のそのゲストハウスは、その要塞のまさに玄関の言える箇所にありました。

内部は民俗博物館のようになっており、すてきな雰囲気です。

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↑民俗博物館のようなツィナ・ツィヘ内部。

さっそく、要塞の内部を探検してみます。

シャティリ要塞は主に14世紀~18世紀に建てられたそう。

しかし、部分的にはそれ以前の時代の痕跡もあり、現在でも木材などで修復が続けられています。

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↑シャティリ要塞。

要塞としての目的は敵からの侵略を防ぐため。

現在でもチェチェン共和国からほど近いシャティリ村は、他民族からの侵略を受けやすい位置にありました。

上部からの眺めは断崖絶壁になっており、この建物が要塞であることを再認識させます。

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↑要塞上部からの眺め。

シャティリ要塞内には60もの住居があり、それぞれは迷路状に複雑に繋がっています。

金沢の妙立寺(忍者寺)などでもそうですが、内部構造の複雑さは、攻め入られたときに敵を迷わせる効果があるようです。

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↑複雑な構造。

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↑渡り廊下の多さはここが要塞であったことを示しているようです。

建材としては外壁に石材がおもに使われ、渡り廊下や階段、バルコニーなどには木材が使われています。

外壁に使われている平たい石は、この辺りの地層によく見られます。

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↑内部構造には木材が効果的に使われています。

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↑外壁の石材はヘヴスレティ地区の地層によく見られます。

この石材を組み合わせて積み上げ、部分的には粘土状の土で隙間を埋めている箇所もありました。

石材は基本的に切断などの加工をしていないようで、そのため正確な直線は作り出せません。

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↑外壁の積み方。

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↑粘土状の土で固められた箇所も。

しかし、壁にある隙間にも採光や見張り穴などの用途がある気がしますし、いろいろな計算がなされたうえで設計されていることがうかがえます。

この地域には神話や神秘主義に対する独自の信仰があるそうで、シンボルを掘った石も壁面に見られます。

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↑壁穴も計算されて作られたかのよう。

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↑シンボルが刻まれた石。

いずれにしても、山間部の民族の独創的な遺構として、深い興味をそそられる建築物です。

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↑シャティリ要塞。

シャティリにはもうひとつ、カチュ要塞という要塞があります。

こちらは、村の中心部から800m歩いた山の中腹にあります。

カチュ要塞は村道から見える位置にあり、一見容易にたどり着けそうですが、橋のないアルグニ川が行く手を阻みます。

入水して渡るルートは危険だと、宿のオーナーにも念を押されました。

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↑カチュ要塞(村道より)。

カチュ要塞にいたる登山道へは、手前の橋を渡った辺りから入山します。

目的地が見えているので油断しがちですが、ここはかなり過酷な登山道です。

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↑手前の橋で要塞の側に渡ります。

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↑矢印の辺りから入山します。

私は最終日に挑戦しましたが、時間が足りなくなってしまい、途中で引き返しました。

勾配が急で足場が悪いことに加え、とげのある植物があったり渓流があったりするので、それなりの装備が必要と言えるでしょう。

人が歩いた形跡があるので、それを見失わないようにルートを進みます。

随所に登山道の印があります。

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↑カチュ要塞(登山道より)。

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↑登山道から眺めたシャティリ村。

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↑登山道。

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↑登山道の印。

宿の宿泊料金は食事を付けて1泊125ラリ。

ジョージアの宿としては高価だと言えますが、十分にその価値はあると感じました。

実際に私は最終日に再度ここに戻ってきて泊まりました。

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↑ツィナ・ツィヘの朝食。

【宿で出たジョージア料理の簡単な解説】

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画像の左側はジョージア料理のなかでも知名度が高い小籠包状のヒンカリ。

このヒンカリは小ぶりで丸形の山ヒンカリです。

しかも中身の挽き肉は羊肉。

ジョージアの羊肉は、その独特の香りがないものが多いのですが、これは癖があります。

しかし、好きになると後を引く味だとも思いました。

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これはムフロヴァニと呼ばれる、この地方のパイだそうです。

フィリングは、左側が羊肉とタマネギ。

右側は、チーズにビーツの葉を加えたもの。

ビーツの葉は、ニラやネギのような食感ですが、独特の香りがあります。

【シャティリ村で宿泊した宿】

■ツィナ・ツィヘ~フロント・キャッスル

住所表記はありませんが、シャティリ要塞の下層部なので、すぐに見つかります。

料金は1泊、夕食と朝食込みで125ラリでしたが、部屋によって異なるかもしれません。

この宿はサイト登録がないので、基本は飛び込みの宿泊のみとなります。

シャティリ村にはほかにも多数のゲストハウスがあるので、行ってみてから宿を探すという手もあります。

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↑ツィナ・ツィヘ。

※1ラリ≒35.2円(2021年7月7日現在)

【ジョージア語の表記と発音】

・ツィナ・ツィヘ(წინა ციხე/ts'ina tsikhe)

・カチュ要塞(ქაჩუს ციხე/kachus tsikhe)

・ヒンカリ(ხინკალი/khink'ali)

・ムフロヴァニ(მხლოვანი/mkhlovani)

↑この辺りがシャティリ要塞。

↑カチュ要塞。

筆者

ジョージア特派員

fujinee

ジョージアのトビリシに住んでいます。音楽や芸術が好きなので、そのような記事が多くなります。

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