トビリシの傷跡~ルスタヴェリ旧ロープウェイ駅

公開日 : 2021年05月10日
最終更新 :
筆者 : fujinee

ルスタヴェリ通りはトビリシの町を貫くメインストリート。

そのルスタヴェリ通り沿いにあるメトロ・ルスタヴェリ駅を降りると目の前には、上部の塔が特徴的な建物がそびえています。

これはシネマ・パレスと国立科学アカデミーが入っている建物。

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↑シネマ・パレスと科学アカデミーが入った建物。

通り沿いでは青空マーケットが開かれており、トビリシを象徴する風景のひとつと言えるでしょう。

その青空マーケットの間を通り抜けて中庭に入っていくと現れるのが、廃墟となったロープウェイ駅です。

螺旋階段が特徴的なルスタヴェリ旧ロープウェイ駅は、これも建築ファンには人気の名所。

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↑ルスタヴェリ青空マーケット。

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↑ルスタヴェリ旧ロープウェイ駅。

トビリシの町を眼下に望むムタツミンダ公園はこの町の絶景スポット。

このムタツミンダ公園へは現在、100年以上の歴史を持つフニクラルというケーブルカーで登ることができます。

しかしかつてはこのルスタヴェリからも、ムタツミンダ公園に向けてロープウェイが延びていました。

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↑シネマ・パレス側からムタツミンダ公園を望む。

ルスタヴェリのロープウェイ駅は1953年から1958年にかけて建設されました。

この特徴的なデザインは執筆家コンスタンティン・チュヘイゼと建築家ミヘイル・チュヒクヴァゼの共作だそうです。

そしてこのロープウェイ駅は、過去の悲惨な事故の遺物でもあります。

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↑ルスタヴェリ旧ロープウェイ駅。

時はソ連時代の1990年7月1日。

当時ムタツミンダに向けて上昇していたゴンドラ2号機が、運搬ロープの原因不明の破損により落下。

ルスタヴェリ駅に向かって下降していた1号機とともにロープを伝って急降下したそうです。

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↑ルスタヴェリ旧ロープウェイ駅。

まず1号機がロープウェイ駅の壁に正面衝突。

上方から落下してきた2号機は高速で駅舎とロープに衝突したことによりふたつに大破。

2号機の乗客のなかにはそのまま20m下の地面に落下した者もいました。

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↑ルスタヴェリ旧ロープウェイ駅。

2機のゴンドラは双方とも満員だったため、この事故で20人が死亡、少なくとも15人が負傷したそうです。

犠牲者のほとんどは、トビリシへの観光ツアーに訪れていたアハルツィヘ第5学校の子供たちでした。

世界のロープウェイ事故のなかでも特に犠牲者を多く出したもののリストに必ず挙がってくる惨事です。

この事故以降、ロープウェイは修復されることなく、駅舎は廃墟となって現在にいたります。

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↑ルスタヴェリ旧ロープウェイ駅。

※現在、ルスタヴェリ旧ロープウェイ駅は立入り禁止となっていますので、外部からの撮影です。

【地名の英語/ジョージア(カルトリ)語表記と発音】

・ルスタヴェリ通り(Rustaveli Avenue/რუსთაველის გამზირი/rustavelis gamziri)

・シネマ・パレス(Cinema Palace/კინოს სახლი/k'inos sakhli)

・科学アカデミー(National Science Academy/მეცნიერებათა ეროვნული აკადემია/metsnierebita erovnuli ak'ademia)

↑ルスタヴェリ旧ロープウェイ駅。

筆者

ジョージア特派員

fujinee

ジョージアのトビリシに住んでいます。音楽や芸術が好きなので、そのような記事が多くなります。

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