めくるめく舞台芸術への誘い―タシケントの劇場

公開日 : 2015年09月11日
最終更新 :

 Assalom alaykum! みなさんこんにちは、タシケント特派員の齋藤です。

 突然ですが、みなさん、旅先では、どのように夜を過ごされますか?

 夕食後、お酒を楽しむ人、夜景を楽しむ人―――様々だと思いますが、タシケントでは劇場に足を運ぶのもおすすめです。

 というのも、タシケントではバレエやオペラなどの舞台芸術を、日本では考えられないくらいの値段で楽しめるのです(よっぽどいい席でもない限り、1000円以下)。ウズベキスタンは、第二次世界大戦中、モスクワなどからバレエ団やオーケストラなどが疎開してきたことから、それら舞台芸術のレベルもなかなか高いらしく、また、現在でもたまにロシアのバレエ団が公演に来たりするようです。

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 タシケントで一番のオペラ劇場は、第二次世界大戦後、日本人抑留者が建設したという、ナヴォイ・オペラ・バレエ劇場。これについては、『地球の歩き方』本誌に説明を譲りますが、残念ながら現在改装工事中です。ですので、バレエやオペラの公演を見る際には、独立広場(ムスタッキリク マイダニ)の北側にある、トルキスタンサロイ劇場で観ることになります。

 ちなみに、切符を買うときには、ナヴォイ劇場の窓口(カッサ)で購入することも可能です。

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 特派員にとっては、5年前の留学のときにウズベキスタンで観たオペラが、人生初オペラでした。

その時もトルキスタンサロイで観たのですが、3つほど観て、一番印象に残っていたのは、「カルメン」。ウズベク人(あるいは、タタール系?)の女優さんの、エキゾチックな容貌が、ロマのカルメンにぴったりでした。主人公の、カルメンに夢中になってしまう、押しに弱そうなドン・ホセ伍長を若いウズベク人の男優が、また、その上官で、カルメンとできちゃっていたことが後から判明した怖い将校の役を、禿げ頭のごついロシア人の男優が演じていたのですが、それぞれぴったりはまり役でした。

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 白鳥の湖も観ました。こちらはエカテリンブルグのバレエ団の遠征公演でした。

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 今回の留学では、なかなか時間と機会が得られず、劇場に足を運んでいないのですが、先日、友人に誘われて、市内にある「コンセルバトール」(音楽院)で開かれた「ジャズの夕べ」に足を運びました。

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 ニューオーリンズで研鑽を積んだというサックス奏者も登場しました。

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 しかし、ジャズとはいうものの、どことなくウズベク風味のような気がします。

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 このような「王道」の舞台芸術ばかりではありません。同じ友人に、また別の日、今度は前衛芸術の舞台に誘われました。

 場所はナヴォイ文学博物館の近くにある、「イリホム劇場」です。

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 この時の公演では、「ステージ」というものがなく、役者の控室のような小部屋、劇場のトイレ、屋上や、階段の踊り場―――といった、劇場のちょっとしたスペースそれぞれを「舞台」として役者がストーリーを展開していき、それを観客が移動しながら観る、というものです。

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 内容も、フェミニズムや性差などを題材としているなど、正直、保守的な社会のウズベキスタンで、こんな演劇を観ることができるとは思いませんでした(とある一幕では、男性の役者が服の上からブラジャーを付けながら、女子トイレを掃除していました...)。

 ちなみにこのイリホム劇場の劇団は、かつて全ソ連で高い評価を受けていたそうですが、聞くところによると、ソ連崩壊後は、役者がロシアに流出したりして維持が大変だそうです。たまに、劇団維持のための支援を募ったりするそうですので、公演に満足した時には、カンパをするのもいいかもしれません。

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 「ウズベキスタンはシルクロードの遺産に満ちた、オリエンタルな国」、

そんなステレオタイプを、観劇を通じて、ちょっと揺すってみませんか?

 では、Ko'shamiz! (またお会いしましょう!)

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