憧憬の島 キフヌの赤いスカートを巡る旅

公開日 : 2013年08月22日
最終更新 :
筆者 : ica

 エストニアの南西にある島、「生きた博物館」ことキフヌ島を訪ねました。

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写真:伝統衣装を着るMariaさん

 エストニアの夏のリゾート地といえばパルヌが有名ですが、キフヌ島まではパルヌからさらにフェリーに揺られて二時間半弱です。パルヌから路線バスを利用しムナライド港からキフヌ島行きのフェリーを利用することも可能です。(フェリー運行は夏期限定。運行日はこちらをご参照下さい)

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                 写真上下:夏の首都パルヌにあるビーチ

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 パルヌ・キフヌ間のフェリーは、ヘルシンキとタリンを結ぶような大型のクルーズ船ではなく、十数台の車両が収まる小型船です。船内に目を向けると、気になる絵やデザインがありました。キフヌの人々と手工芸(とその絵付け)の深い関係に鑑みると、これらもキフヌゆかりのものかもしれません。

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写真:フェリー(外)

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  写真:さらに近づいてみると・・

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写真:フェリー(内)に飾られている絵画

 そもそもキフヌ島が「生きた博物館」といわれる由縁は、600人ほどの島民がエストニア本土で失われた生活様式に今なお生きつづけているからです。2003年にユネスコの無形文化遺産に登録されたのも島の建造物や工芸品以上に、限られた空間でキフヌの人々が脈々と受け継いできたもの(文化や血統)に対する評価があったのではないでしょうか。

 さて、キフヌ島といえば女性たちが身につける赤いスカートが有名ですが、島の文化はなぜ女性たちが中心に担うようになったのでしょうか。それは、長期間にわたって海に出払ってしまう男たちに代わって女性が社会と家庭の役割を担うようになり、その過程で女性たちの文化が形づくられるようになったからです。女性たちは日々の仕事に勤しむ一方、赤いスカートで独自の文化を彩るようになりました。彼女たちはその日の気分や体調によって何十種類もあるスカートを履き分けるそうですが、人生の節目に自身の手でつくるスカートには折々の記憶や想いも織り込まれているに違いありません。(そういえば、年を重ねれば重ねるほどスカートの数も増えるので、年配の女性は衣装棚がスカートでいっぱいになってしまうという笑い話を聞きました)

 一方、女性中心のキフヌの歴史のなかでザ・レジェンドな男がKihnu JõnnことEnn Uuetoaです。Kihnu Jõnnは他の船乗りが物怖じして海に出たがらなかったときも船を出す勇敢な男で、エストニア人としてはじめて大西洋を航海した船長でした。なかなか癖になる顔立ちをされていた方のようで出自が気になります。Kihnu Jõnnやキフヌの文化について詳しく知りたい方はKihnu Museumまでどうぞ。

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写真:Kihnu Jõnnの船を復元したもの?だそうな

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写真:絵を描く素養のない船乗りの男が仕上げた道具箱。貴重品だそうです

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写真:キフヌ島のフェリー乗り場。スウェーデン、フィンランド、エストニアの国旗がみえます

 今回、Traditional Farm on Kihnu Islandにて、キフヌにまつわるお話を聞かせてもらいました。Kihnu Cultural Space主催の企画で、見て美味しい!食べて美味しい!イベントでした。伝統的な家屋の案内してもらい、美味しいパンと地ビールをご馳走になった上に、エストニア人監督制作のドキュメンタリーをみる、最高のキフヌ入門編でした。不定期開催のようなのでキフヌ島へ旅行される際は、是非コンタクトをとってみて下さい。

キフヌ島の文化空間 / The Kihnu Cultural Space : ユネスコオフィシャル動画のリンクはこちらまで

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