アンセット航空運行停止とその波紋

公開日 : 2001年09月20日
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前回のコラムでちらりとお知らせした通り、先週オーストラリアの主要航空会社のひとつであるアンセット航空が全便の運航停止を発表した。アンセット航空が1日あたり130万ドルの赤字を出している、という発表があったのが今月初めのこと。親会社のニュージーランド航空や、政府による救済がないことが続いて報道され、ライバルのカンタス航空による買収も合意にいたらず、管財人を任命。運航を続けるためのあらゆる可能性が模索され、関係団体や労働組合との交渉が重ねられたが、あまりにも多額の資金不足のため、9月14日早朝、管財人がアンセット航空とその関連子会社の全便の運航停止を発表した。日本人旅行者への影響が最も大きいと見られるのが、全日空とのコードシェア便(関西-ブリスベン-シドニー-関西線)だ。実際の運航はアンセットが担当しているため、全日空ではこの便の販売を停止するとともに、すでにこの区間の全日空航空券を購入済みの旅行者に対し、予約センターまたは購入元の旅行代理店に連絡を入れるように案内をしている。カンタス航空は、9月13日以前にアンセット航空を使って旅行を開始し航空券を一部使用済みの旅行者に対し、1週間以内の帰路便に限り、無料で座席を提供することを発表。その後さらに1週間延長となり9月27日までにアンセット航空の帰路便に搭乗予定だった人も対象となっている。また、一時的な措置として、アンセット航空系列しかなかった国内地方都市22ヶ所への路線にも、カンタスリンクが運航を始めた。航空券を購入済みで旅行をまだ開始していないなど、上記に当てはまらない場合、アンセット航空発行の航空券は無効となるので、再度買い直さなければならない。ただし、座席数も限られており、ほかの航空会社の予約もかなり難しくなっている。クレジットカードで購入した場合の扱いについてはカード会社へ、旅行保険でカバーされるかどうかの確認は保険会社への問い合わせが必要となる。国内線はカンタス航空とその系列会社、及び昨年運航を始めたばかりのヴァージンブルー航空のみの運行となり、非常に込み合っている。いずれも期間限定の特別措置として、未使用のアンセット航空券を持っている人を対象にスペシャル料金を発表。普段出ているディスカウント料金を考えると、そんなに安くもないのだが、あっという間にほとんどの区間が満席となっている。空港が閉鎖されたり、従業員の大規模なデモが行われたり、管財人が突然の辞任を発表したりするなど、一部売却や機体リースなどの交渉が続けられる中、今後もしばらく混乱が続きそうだ。アメリカのテロ事件の直後だったために、日本ではほとんど報道されなかったようだが、事実上の倒産と言えるこの運航停止によって、オーストラリアへの旅行者や旅行業界が受ける影響は多大である。

●アンセット系列航空会社アンセット・オーストラリア航空アンセット・インターナショナルハゼルトン航空ケンデル航空スカイウェスト航空エアロペリカン航空●カンタス航空スペシャル・アシスタンス・ライン 13-2223●ヴァージンブルー航空 13-6789

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