[パリ]パラスホテルの三ツ星レストラン「Le Cinq」

公開日 : 2018年07月04日
最終更新 :

Four Seasons Hotel George Vの三つ星のメインダイニング、Le Cinq。

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厨房を率いるのはChristian Le Squerシェフは、Ledoyenで2002年に三ツ星を獲得、2015年から、Le Cinqの指揮を取っています。

なんとお邪魔した時はシンガポール出張中でお目にかかれなかったのですが、そんなLe Cinqのランチにお邪魔してきました!

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パラスホテルならではの、フレンドリーかつ上品な、付かず離れずのサービスは、とても居心地の良いものでした。一人での訪問だったのですが、目の前の席には、たくさんのバラの花びらが飾られていました。こんなロマンティックな演出をさらりと行うあたりも、さすがです。

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スタートは、Jean-Marc Sélèqueのロゼのシャンパン。ロゼの色は、マセラシオンと、赤ワインのブレンド、両方から。かすかに、乳製品の香り、バニラ、ミルクチョコレートのニュアンスも感じました。

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Our "Mises en bouche"

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アミューズは可愛らしいプレゼンテーションの人参、薄いカカオバターのシェルの中には人参とオレンジジュースが入っていて、人参のパウダーがかけられています。葉はマージョラム。奥のさくらんぼにも、チェリーとアーモンドのジュースが。本物のチェリーの軸を使ってあるので、一瞬本当のチェリーと見間違えそうなほど。

真ん中はクリスピーなチップに海藻の粉とアボカド、黒にんにくのクリームを乗せて。

コンテチーズとヘーゼルナッツの、甘くないタルト。さっくりとしたタルト生地の中の、コンテチーズのクリームが熟したチーズのように感じられます。

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ボルディエのバター、バゲット。

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トマトのニョッキは、トマトウォーターと、なんと葛粉を使った、透明で柔らかい食感のもの。バジルオイル、トマトウォーターのフォーム、マージョラムの葉、ラズベリーの粉、下には黒オリーブのピュレが敷いてあります。

2本目のワインは、トロッケン、辛口のリースリング。

Peter Jakob Kühn Jacobus Riesling Trocken 2016

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Dublin bay prawn from Brittany warm mayonnaise, crunchy buckwheat pancake

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ふわふわの食感のブルターニュ産のラングスティーヌに、細かく刻んだイタリアンパセリ 、ドライトマトを乗せて。蕎麦のチュイルは、ブルターニュの郷土料理、蕎麦粉のクレープから。

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ヘーゼルナッツオイルと海老の頭から取った出汁を添え、上から泡状のマヨネーズを乗せて。皿のドットは、緑がディルとわかめのジェル、紫は赤い海藻のジェルでした。

3本目は、酸味は少ないけど桃のような香りがあるコンドリュー。

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はっきりとしたミネラルがあり、金木犀、フリージアのようなフローラルな香り。ピーチヨーグルトのような優しい味わいですが、後味の苦味がアスパラガスと合います。

Truffled green asparagus Chateau Chalon wine mousse

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アスパラガスは、黒トリュフのクリーム、グレープフルーツのジェル、アスパラガスのアイスクリーム、ジュラの黄ワインのソースを添えて。

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しっかり目に火を通したアスパラは、穂先のほっくりした旨味と甘さ、根元のジューシーさとほのかな苦味が楽しめ、クルトンが食感のアクセントに、ミルクスキンが自然な練乳のような濃厚さを加えます。

ジュラの黄ワインのソースの香りとクリーミーさが、コンドリューのワインとよく合っていました。

Gratinated onions contemporary "Parisian style"

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オニオングラタンの再構築。細かく刻んだ玉ねぎのソテーをパルメザンチーズで固めて丸いケーキ状にして、表面を焦がしたものの上に、小玉ねぎのような形のものは、玉ねぎのピュレを分子料理学の手法で表面をゼリー状にして、内側からプチっと液状のピュレが出てくるように工夫したもの。玉ねぎをキャラメリゼした、油脂をあまり加えないさっぱりとしたソース、サイドにはマージョラムのピュレが添えてあります。

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合わせたのは、ランシオの香りがキャラメリゼのニュアンスとよく合う、1985年のマディラ。ナッツやバニラの香りを皿の外から加えるような役割を果たします。「マディラ酒は素晴らしいワインというのが忘れられているのは残念なこと。こうして合わせると、料理にも合うんですよ。最近、このペアリングが流行し始めていて、嬉しいですね」とのこと。

シャンパングラスのような口の狭いグラスでサーブするのは、長い年月を経たワインだけに、香りを逃さないように。

そして、特に気に入ったのが

Line-fished sea bass caviar / buttermilk from my childhood

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約300度の高温のプランチャで、身から出る油だけで焼き上げたというフワフワのシーバスの身、皮目に甲殻類やヘーゼルナッツの香りがあり、それにバターミルクのフォームを合わせて。フランス・アキテーヌ地方のキャビア、季節の野菜、スティックブロッコリーをソテーしたものを添えて。

Morel mushrooms / ham truffle spaghetti

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スパゲッティの器の中にモリーユとトリュフの、ニンニクを効かせたクリーム煮を詰めて。上にもモリーユ、脂身の少ないハムをのせて。

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パスタは柔らかくなる手前まで茹でてから形を作り、パルメザンチーズで固め、中にクリーム煮を入れて上から蓋をするのだとか。

Domaine Jamet Cote Rotie

スミレ、ほのかに青ピーマンと鉄の香りを感じるローヌ地方のシラーズと合わせて。

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Cheese

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良い熟成具合のチーズに合わせたのは、中がしっとりとした、焼きたての杏とヘーゼルナッツのパン。

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Dairy iced yeast flavor

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デザートは、Maxime Frédéricペストリーシェフによるもの。

イーストのムースとアイスクリームという、面白いデザートです。ブルターニュ出身のLe Squerシェフだけに、ここまでもブルターニュの郷土の味がそこここに散りばめられていましたが、こちらも、地域特産のクリームの味を前面に押し出したもの。クリームとミルクの中に砂糖とパンに使う天然酵母を入れて、45度で45分間発酵させたものがベースになっています。少しもっちりとした印象で、香ばしいパンの香りがありました。

さらに上質なバニラを使ったムース、下はふわふわの柔らかい甘いメレンゲ。飴をごく薄くしたような板状のもの。とても印象的なデザートでした。

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Crunchy grapefruit preserved and raw

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一番下は、グレープフルーツの皮のコンポート、間には果汁のソルベ、そして果肉のコンポートの上には薄い飴。キャラメルとバジルのソースを添えて。

グレープフルーツの甘みと酸味だけでなく、すっきりとした苦味をしっかりと感じる組み合わせで、ソーテルヌに合うように作られた、ということで、一緒にいただきました。

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ソーテルヌのボリュームのある甘みを、グレープフルーツの苦味がさっぱりとさせる、デザートもワインもどちらも主役になるような、とても上質なコンビネーションでした。

小菓子はワゴンで。

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Ledoyen時代から4年以上Le Squerシェフと働いているという、古賀隆稚さんに、キッチンも見せていただきました。

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タマネギや、今回はいただきませんでしたが、ブーダンノワールなど、本来は「質素」と思われて来た食材をパラスのレベルにまで引き上げるのは、Le Cinqに就任するやいなや三つ星を獲得したというLe Squerシェフならでは。

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クラッシックな味わいを保ちながら、モダンな手法も取り入れ、高い技術で食感やプレゼンテーションを新しく変えて提供している料理の数々を楽しみました。

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■Le Cinq (ル・サンク)

営業時間:ランチ 12:30~14:30、ディナー 19:00〜22:00、無休

住所:31 Avenue George V, 75008 Paris, France

電話:+33 1 49 52 71 54

http://www.restaurant-lecinq.com/

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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