[バンコクWoman in Gastronomy]Celadonでトルコとタイの女性シェフの競演

公開日 : 2018年03月20日
最終更新 :

International Women's day に合わせて、世界から15ヶ国の女性シェフが集った、Women In Gastronomy。 そのイベントの会場にもなった、The Sukhothai Bangkokのタイ料理のメインダイニングが、Celadon(セラドン)です。

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Celadonの、Rossarin Sriprathumシェフと、ゲストシェフとして、トルコ・イスタンブールの人気レストラン、NicoleのAylin Yaziciogluシェフを招いての、一晩限りの4 Handsイベント「Thailand x Turkey, Two chefs, Four hands」が行われました。(料金は、料理のみでTHB3500、ワインペアリング込みでTHB5000)

Rossarinシェフは、両親から「女性だからといって、家庭に入る選択肢だけでなく、自立して働けるようにしておきなさい」という教育を受け、デザインを学んだ後、「タイ料理には、各家庭に伝わる伝統的なレシピがあり、母や祖母のレシピを、洗練された形で表現したい」

と、有名ホテルのタイ料理シェフだった叔父の元で働き始めたのだと言います。

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Prawns with bisque sauce and red lentils A

(料理名の横のAは Aylin Yaziciogluシェフ、Rは Rossarin Sriprathumシェフによるもの)

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まずは、Aylinシェフがトルコから持ってきたという赤レンズ豆のピュレに、コリアンダー、レモンやライムの皮を混ぜ込んだ、フルーティーさのあるピュレと、炭火で香ばしく焼いたエビ。パンには海老のビスクが染み込ませてあります。上には程よい苦味とフレッシュさを与えるルッコラが。

Spicy seafood in lemongrass broth and coconut sea shell R

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セランドンで3年前から働き出したという Rossarin シェフの、モダンなトムヤムクン。もともとインテリアデザイナーを目指していたというだけあって、プレゼンテーションの美しさとアイデアは特筆もの。貝殻の形のココナッツミルクは、型に入れて凍らせたものに、炭の粉をかけてあります。その下にはチリソースが隠れていて、カフィライムなどで香りをつけたトムヤムスープをかけるとココナッツミルクが溶けて、チリソースが現れるという楽しい演出。

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そして、具は、あらかじめ火を通したイカの他、生の帆立貝は、このスープでほんのりと火を通すようになっています。

Artichoke in olive oil, sour-bitter herbs, fish roe mayonnaise A

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その地域にあるもので、その土地らしさを表現したいというAylinシェフは、

本来はタラモを使うところを、トビコを使って表現。

オリーブオイルでコンフィにしたアーティチョーク、タイのaortorkor市場で見つけたというほうれん草の仲間は、サラダ仕立てに。柔らかく調理されたアーティーチョークのほのかな甘み、タイでは通常、炒めるなど加熱して食べるそうですが、ほうれん草独特の少し渋みのある中に、フレッシュな味わいが感じられ、その上に散らしてあるトルコから持ってきたという、亜麻の実ような食感で、コーンのような甘い香ばしさのあるcanabisという種がいいアクセントになっていました。

白ワインは、ミネラル感とほんのりとした甘みのあるもの。

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Alaskan king crab, bilimbi fruit, coconut and shrimp paste dressing R

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アラスカ産のキングクラブは、蒸してから、半分はそのまま、もう半分は身を取り出して、ココナッツミルクや小エビのペースト、シャロット、ライム、唐辛子などと混ぜて、タイ風サラダに仕上げてあります。

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酸味の強いスターフルーツのような、ビリンビフルーツを添えてあります。このビリンビフルーツは、通常は唐辛子、砂糖、塩などを加えていただくそうです。

ちなみに、Rossarinシェフのふるさと、Samutsongkarmという地域は、海に面した地域で、マングローブが生い茂る、汽水域ならではの程よい塩分の水で育った小エビのペーストが名産だとか。

「タイには77の地方がある、それぞれに特産の素晴らしい食材がある。その中でも選りすぐりの生産者から直接仕入れています」とRossarinシェフ。

Baby goat, pistachio, wild mountain leeks A

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続いては、Aylinシェフのシグネチャーの子山羊肉。クミンと共に蒸し煮にして、四角い型に詰めてから周りをカリカリに焼いてあります。

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子山羊の味わいは、子羊に近い印象で、より草の香りが穏やか。上には表面を焦がし、中に滑りと甘みのあるネギをのせてあります。

トルコから持ってきたというピスタチオのピュレは、他のナッツを混ぜず、100%ピスタチオでできています。濃厚な香りと甘みが、子山羊のあっさりとした味わいに深みを与えていました。

赤ワインは、枯葉の匂いと、陳皮のようなエイジングした柑橘の皮のような味わいがありました。

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Southern style braised pork belly,"rotten egg"of liquid five spices R

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そして、「肉骨茶のタイ版」と紹介されたのが、この豚バラ肉の煮込み。大量の胡椒、ハーブなどと共に煮込んだという豚バラ肉は、柔らかく茹で上げた卵とセットになっていました。Rotten eggとメニューにあったので、腐った卵?ピータンのこと?などと思っていましたが、温泉卵を作ってから卵の卵黄だけを抜き出して、豚骨スープのような豚バラ肉の茹で汁を閉じ込めたもの。

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ナイフを入れると黄身の代わりにベージュ色のスープが溢れ出てくることから、こんなユニークな名前を考え出したのだとか。

'Pismaniye' with mastic ice cream, yoghurt parfait, pomegranate molassess A

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Aylinシェフの、トルコのわたあめのようなお菓子、ピシュマニエ。日本のわたあめより少しスターチの印象が強く、ピーナツオイルのコクも感じます。

添えられていたのは、オレンジの香りのソース、甘くないヨーグルトに、オレンジと相性の良いカルダモンの香りをつけたパンナコッタ、ミルクソルベ、トルコ名産のざくろとモラセス、卵の味わいのあるクランブル。エキゾティックな、トルコらしいデザートです。

Warm glutinous rice balls, salted egg, in whole young coconut R

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見た目としても印象的だったのは、このナチュラルな形の器、と思いきや、なんとこちらは若いココナッツの実でできていました。

周りの硬い皮をナイフで剥き、実の部分を取り出して、形を保ったまま、中のココナッツウォーターを取り出し、代わりに温かく、ほのかに塩味の効いたココナッツミルクにもち米とでタピオカくらいのサイズの小さな餅を作って浮かべてあります。黄色はかぼちゃ、薄紫はタロイモが入っています。クラッシックなデザートですが、ココナッツの実の上に、塩漬けの卵黄で、濃厚さと塩気のアクセントを加えるのは Rossarin シェフのオリジナルのアイデア。まるで塩漬け卵黄がみかんで、その葉のようなものは、東洋のバニラと呼ばれるパンダンリーフ。

見た目のインパクトも楽しめる、伝統デザート。ホストシェフの Rossarinシェフのお皿からは、一つの料理を、さらに美味しくするにはどうすればいいか、を考え尽くした美しいバランスや練れた印象があり、まだ若いシェフなのに、と驚いたのですが、実はなんと50代なのだとか。

Aylinシェフのお皿からは、トルコの大地の温もりを感じる暖かさ、煙の香りなど、トルコの伝統の調理法や味わい、食材の組み合わせを考えつつ、ゲストシェフらしく遊び心溢れる形で表現している印象でした。

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毎晩19:30〜と20:30〜、伝統舞踊の披露も行われ、エキゾティックなムードも抜群。9皿と12皿のテイスティングコースもあり、また季節を変えて、是非訪れたいと感じたレストランです。

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■Celadon (セラドン)

営業時間:ランチ 12:00~15:00、ディナー 18:00~23:30 (無休)

住所:The Sukhothai Bangkok, 13/3 South Sathorn Road, Bangkok 10120, Thailand

TEL:+66 (0) 2344 8888

URL: https://www.sukhothai.com/bangkok/en

アクセス:MRTルンピニ駅から徒歩7分程

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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