[Art at Curate] NY二つ星、Aquavit がシンガポールに!
世界のミシュラン獲得シェフを招いてショーケースレストランを行なっているResort World Sentosa内のレストラン、Curate(キュレート)。
普段は、去年2月に就任した、ドイツ人シェフ、Benjamin Halat シェフによる料理を提供しています。
これまでは、訪れたシェフの料理を提供するスタイルだったのですが、今回は初めて、NYで二つ星を獲得した二人目の女性シェフ、アクアヴィットのEmma Bengtssonシェフを迎えて、Benjaminシェフとのコラボレーションイベントが行われました。
(メニューの横のEはEmmaシェフ、BはBenjaminシェフによるもの。)
まず、前菜はBenjaminシェフから。牛肉のタルタル。
刻んだ玉ねぎに、白玉ねぎのソース、その上にはチャイブのクランブルと海塩が乗っています。
小さな木のスプーンに乗ったジャガイモの下にはチャイブのエマルジョン、上にはチーズのエスプーマが乗っています。
自家製のサワードゥ。皮はクリスピーで、中は結構軽くふわふわ、香りも良かったです。
ワインは、Max Ferd. Richter Graacher Domprobst Riesling Kabinett 2015、ロバートパーカーポイント93点、りんごの香りのリースリング。
酸味があって、すこし甘目のタイプ。
GRAV LAX & SEA URCHIN(E)
サーモンとディルのタルタルの上に、さらにスライスしたサーモンを乗せて。生ウニと、ウニのエマルジョン、甘いコーヒーのチュイル。
そして、甘酸っぱいスウェーデンや中国の北部など、北に近い地域で取れるというSea buckthorn berryと呼ばれるオレンジ色のベリー。
Emmaシェフは、「そのまま食べると酸味が強いので、酢と砂糖でピクルスにしたの。料理やデザートなど、スウェーデンでは、酸味が必要な時に使う果物よ。北では、レモンが育たないから、その代わりのようなものね」と話します。ビタミンCが多く、中国では漢方薬としても使われているそうです。
脂ののったサーモンやウニ、クリームに、このワインの甘酸味があう気がしました。
SOUFFLATED FARM EGG(B)
続いては、Benjaminシェフが最初に入ったレストランで毎日200個作っていたという、ロシアンエッグの再解釈。大変だった思い出はあるけれど、大好きな味、とBenjaminシェフ。本来は固ゆで卵のところ、卵白で作ったメレンゲに、温泉卵状態の黄身を入れて。上には、キャビアではなく、トリュフオイルで作った「キャビア」。
スプーンを入れると、とろりと卵黄が流れ出して来ます。
下にはキャビアとも卵とも相性の良い、ジャガイモのピュレが敷かれています。
そして、ランチタイムながら、スペシャルで出してもらった、フォワグラのアイスクリーム。
FOIE GRAS ICE CREAM(E)
ブラックベリーのパート・ド・フリュイに、ライ麦のクランブル、凍らせたブラックベリーの小さな果肉の房、白樺のシロップを加えたもの。
フルーツと相性の良いフォワグラを、北欧・スウェーデンらしいブラックベリー、そしてその濃いベリーの味わいと相性の良いライ麦というこくのある組み合わせ。普通のフォワグラだと重く感じてしまうかもしれない部分も、アイスクリームになっているので、軽やかにいただけます。
ここでワインは赤に。Chateau Malescot Saint-Exupery Margaux 2012、ロバートパーカーポイント93点、マルゴーのChateau Malescot St.Exupery。星の王子さまで有名な、サン・テグジュペリの子孫が買い取ったことから、この名前がつけられています。カベルネ・ソービニョン独特の青ピーマンの香りがはっきりと感じられる、マルゴー地域らしいワイン。
MANGALISTA PORK COLLAR(E)
それに合わせたのは、低温調理した豚の肩肉に薄切りにしたラードをのせ、発酵した根セロリと通常の根セロリのピュレ、塩の生地に包んでオーブンでゆっくりと火を通した根セロリ、豚肉と相性抜群の、リンゴ酢で煮たりんご、モルトとりんごのバルサミコ酢のソース。とろとろの脂の乗った肩肉、そしてスモーキーなナッツの香りのするラード、バルサミコとモルトのコクを、赤ワインのしっかりしたタンニンの収斂性が持ち上げるような印象。
PEAR HELENE(B)
かの有名なエスコフィエが、当時の有名なオペレッタ、"La Belle Helene"にインスパイアされたというデザートがモチーフになっています。
本来は、シロップで煮た洋梨にチョコレートソースをかけ、バニラアイスクリームを添えたデザートですが、Benjaminシェフは、洋梨のソルベ、ビスキュイとチョコレートのムースを重ねたもの、べっこう飴のようなキャンディのチュイルで表現。
小菓子は2種類。ドイツの伝統的な蜂蜜を使ったケーキ、bee sting cakeをベースにしたものは、ふわふわでつめたいアーモンドクリームをキャンディチュイルで巻いてあります。
もう一つは、日本でも有名なヘーゼルナッツを詰め込んだチョコレート、Ferrero Rocherをイメージしたスナックで、カリカリのチョコレートクッキーの中にヘーゼルナッツたっぷりのチョコレートクリームが入っています。
去年の9月に、Resort World Sentosaのイベントに来て以来、2回目のシンガポールだというEmmaシェフは、スウェーデンの料理を、食べ物を長期保存する習慣から、発酵やピクルス、塩漬けやスモークなどの技法が発達した料理、と語ります。現在、NY(二つ星)ロンドン(一つ星)東京と海外展開していますが、いずれはシンガポールに出店するのも視野に考えているそう。「今回の食材は全てシンガポールで手配したもの。実際にこうしてイベントをやってみて、不便さは全くなかった」と語ります。
「それぞれの支店ごとに、ローカルな味わいを少しずつ取り入れている」とのことで、シンガポールらしい技法をどんな風に捉えているのかお聞きすると、「発酵などの技法は、アジアでも醤油や味噌づくりなどで親しまれているもの。そんな共通点を生かしていきたい」とのことでした。
これまでも京都のよねむらの米村昌泰シェフが、鉄板焼きの店をオープンするなど、このArt at Curateをきっかけに、著名なシェフの出店を果たしているだけに、Emmaシェフのコメントも、リップサービスだけとは受け取れない印象。
このイベントは18日まで、ワインペアリング込みのランチコースは$138(なしは$88)、ディナーは$275(同$155)で提供されています。
<DATA>
日時:2018年1月12日(金)〜18日(木)
営業時間:ランチ 12:00~、ディナー 18:30~、無休
住所:The Forum, Level1, Resort World Sentosa, 8 Sentosa Gateway, Sentosa Island Singapore 098269
電話:+65 6577 7288
アクセス:Sentosa Express Imbiah駅徒歩5分
筆者
シンガポール特派員
仲山今日子
趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。
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