アジア43位、台湾MUMEとPOLLENのコラボレーション

公開日 : 2017年09月04日
最終更新 :

Asia's 50 Best Restaurants 2017で43位に輝いた台湾のレストラン、MUMEがシンガポールにやってきました。

店名の名前は、中国語で「梅」と言う意味。店名の通り、花を使った目にも美しい料理を作っている印象がありました。

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今回、コラボレーションを行うのは、そんな印象にぴったり、Gardens By the BayのFlower Dome内にあるレストラン、Pollen。(過去記事はこちら)植物園の中ならではの、緑に囲まれたレストランで、ゴードン・ラムゼイのレストランなどで修業したイギリス人、Steve Allen シェフの料理が楽しめます。

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まずは、Pollenのスティームジュースカクテルでスタート。ルバーブのジュースに、ジンとバジルを加えてあり、ホッとする優しい味わいです。

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そして、Pollenが新たにスタートした、コースがチェリーで始まり、チェリーで終わる、というアイデア。

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カリカリのブリオッシュの生地の上に、チキンレバーパテにビートルートゼリーをかけ、ローズマリーを飾った、フルーツミート風の一品。

ルバーブのスティームジュースと赤い色素が重なるビートルート、コクのある一口サイズのレバーパテはローズマリーですっきりと頂けます。

続いては、MUMEからの一皿、

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台湾の店では、95%台湾産の食材を使っていると言うことですが、シンガポールで手に入れるのが難しいことから、スコットランド産のブラウンクラブを使っています。アルカリ処理したキヌアで作った、薄いクラッカーのようなトルティーヤの上に、トウモロコシのピュレ、そして丁寧にほぐしたカニの身は、金木犀の香りのビネグレットソースと胡椒で和えてあります。後味に金木犀の香りがふわっとほのかに残り、この甘い印象がカニの身の甘みとあっていました。

King Salmon

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PollenのStevenシェフが大好きな食材だと言うキングサーモンは、イクラと、ジンと甘酢に漬け込んだきゅうりの表面を焦がしたものと、ディルを添えて。液体窒素でパウダー状にした焦がしバターに鰹節や海苔、ゴマを使った日本のふりかけを混ぜて、甘みと旨みのアクセントに。

5年ものの天然酵母で作ったPollenの自慢のパン。

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ひまわりの種などが入ったマルチグレインと、全粒粉を使ったパンで、しっとりとした食感と、優しい香りが楽しめます。自家製バターに、長ネギのオイルをかけて。

そして、次の牛肉のタルタルに合わせたのが、イタリア・ヴェネト州、ソアべ。

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アメリカンオークの樽で9ヶ月間熟成したと言う、柔らかいテクスチャのガルガネガに、同じくまろやかな食感の和牛のタルタルと言う組み合わせ。

どこか湿ったウールを思わせる野性的な香りに、ミネラルを感じる辛口。牧草肥育のオーストラリア和牛の、旨みの乗った外もも肉、そして鉄分や草の香りとあっていました。

Wagyu Tartare

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タルタルには、ちょっと沢庵を思わせるような食感の大根の漬物、紫玉ねぎのピクルス、卵黄のピュレと白玉ねぎのマヨネーズ。上には薄くスライスしたレンコンを揚げたしっかりとした食感のチップを砕いたものが乗っています。上にはスパイシーな印象のナスターチウムが載っていますが、伝統的なタルタルよりも、刺激は抑えめの上品な味の仕上がり。チャービルが穏やかな甘い香りを添え、矢車草の花が鮮やかな色彩を添えています。

続いては、24時間マセラシオンをしてからステンレスタンクで作ったと言うグルナッシュのワイン。

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ナチュラルワインのような、少し藁のような発酵の香り、ほのかな発泡感。グルナッシュならではの、イチゴのような香りもあります。

Mume Salad

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そんなワインに合わせるのは、MUME のシグネチャーのサラダ。運んできたRichardシェフから、生やピクルス、乾燥して水分を飛ばすなど、一品ごとに違う調理法をしているので、ぜひ一つずつ味わって、とコメントが。野菜は季節ごとに変わるそうですが、変わらないのは、味付け。黒豆を発酵させた台湾の伝統的な調味料を乾燥させて作った旨みたっぷりのクランブル。

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さらに根セロリのピュレ、千切りにして揚げた牛蒡が、様々なレイヤーの大地の味を表現しています。いきいきとした生命力を感じる生のラディッシュ、甘いセミドライトマト、蕪の甘酢漬けなど。たっぷり野菜が取れると言うのも、今の時代にあった料理を提供していると感じます。

次のワインは、オーストラリアのシャルドネ。

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シュール・リー製法、20%フレンチオークの古樽を使って熟成させています。

イースト、バニラの香りがはっきりと感じられます。

Steamed Turbot

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それに合わせたのが、コラボレーションで作ったと言うヒラメ。

ヒラメは58度のオーブンで優しく火を入れ、その骨を焼かずに使った出汁は、とってもまろやか。昆布がしっかりと効いていて、日本料理の煮付けの魚の出汁から醤油を除いた感じの味、と思ったら、なんと水を使わず、日本の料理酒を使って出汁を取っているそう。

そして、味のアクセントは、台湾産のワイルドペッパー。カフィライムを思わせるシトラスに、生姜を効かせたような香りでとても印象的でした。

下には、生海苔のような海藻が昆布のヨードの味わいを後押ししますが、そのまろやかが重すぎると感じないように、小さなズッキーニと、軽く湯がいただけの枝豆がシャキシャキした食感を、パセリのオイルがすっきりとした清涼感を与えています。

このまろやかな印象に、シャルドネの丸いテクスチャがあっていました。

スーパータスカンとして知られるオルネッライア(Ornellaia)のサード・ラベル、当たり年の2015年のもの。

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5ヶ月をフレンチオークのオルネッライアの古樽で、さらに5ヶ月をセメントタンクで熟成したと言うワイン。メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン主体で、早飲みタイプ。

ダークフルーツの印象や、血の香りを感じる、とても鉄っぽさのあるワインですが、マロラクティック発酵を行なっているために、棘のないまろやかな味わいになっています。

Beef Short Rib

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MUMEの牧草肥育のオーストラリア和牛ショートリブは、乾燥米麹のパウダーをまぶして1日半漬けたもの。台湾のお店では5日間置いているそうです。58度で24時間火を入れたと言う牛肉は、麹の力で臭みもなくとても柔らか。

下にはエンダイブのフレッシュなサラダ、牛肉と相性抜群の小さなジャガイモ、しいたけ。セロリの葉とパセリを混ぜたような香りのラビッジのオイル、そして決め手は台湾産のコーヒー豆をフリーズドライにした粉。しっかり苦いのですが、コクがあります。そして、ほのかにブレンドされたカレー粉のようなスパイスの香り。

次のワインも赤、グルナッシュとシラーズが主体。

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樽を使わず、ステンレスタンクで醸造しているので、プラムやチェリー、フレッシュなベリーの味。マロラクティック発酵しているので、角がなくまろやかな味わいです。

Pekin Duck

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Pollenの一皿。北京ダックなのにアメリカ産?と一瞬思ってしまいましたが、これはアメリカ・アイダホで飼育されているペキン種の鴨。

塩やタイムなどに漬け込んでから、62度で12分ほど調理したと言う鴨は、胸肉はそのまま、もも肉はフライパンで焼き目をつけてから提供しています。

ソースは焼いた際に出た肉汁に、蜂蜜や醤油、オイスターソース、シェリービネガーなどを加えたもので、少しアジアな感じの甘みが鴨に合います。少し苦味を残した、あっさりとした漬け具合の蕪の甘酢漬けと柔らかい肉質を生かしたスモモのコンポート。下には大麦のリゾットが敷かれています。

Cucumber

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MUMEのデザートは、きゅうりのソルベとヨーグルト。皮を乾燥させ、粉にしてからカリカリのメレンゲの上にかけてあります。中にはセロリときゅうりをみじん切りにしたものを入れて、シャキシャキした食感のアクセントに。

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ジンのシロップとカフィライムを効かせて。

マスカットとプティ・ヴェルデを使った甘口ワイン。

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ライチやマスカットの香り、そして少しフレッシュなハーブ感と、後味にジンを思わせる苦味もあり、きゅうりを使ったプレデザートの緑の印象にぴったりでした。

Cherries

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そして、Pollenのデザートはシンガポールスリングをイメージしたチェリー。

チェリーのスティームジュースを使ったフレッシュチェリーの一皿。タイムやレモンの皮を使い、すっきりとした印象に。上にはチェリーのパルフェを液体窒素で固めたものを乗せ、割って楽しみます。

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小菓子もチェリーとパイナップルソルベを合わせたタルト。

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合わせるのは、先ほどの甘口ワインよりもさらに甘みがしっかりと乗ったソーテルヌ。

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こちらも、後味に苦味があり、切れ味のいい甘みを実現しています。

自然がたっぷりの植物園の中で味わう、目にも鮮やかな、軽やかな料理。野菜をしっかり使い、翌日も全くもたれないのも嬉しかったです。

お土産に、POLLENからチョコレートトリュフを、MUMEの契約している台湾の生産者による、無農薬の紅茶と烏龍茶、チョコレートをいただきました。台湾南部ではカカオが育つそうで、露地で豆から育てているまさにメイド・イン・台湾の「Fuwan」のチョコレート。2017年のInternational Chocolate Awardsでも受賞しているそうです。

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各地のシェフがコラボレーションすることで、それぞれの国の良いものが世界に知られていく、実直に物作りをしている生産者の方達に、こうしてスポットライトが当たるのは素敵だなと思いました。

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<DATA>

◾️Pollen x MUME an eight hands collaboration dinner

日時:2017年8月30日、31日 19:00〜(終了)

■Pollen(ポーレン)

営業時間:ランチ 12:00~15:00、ディナー 18:00~22:00、火曜休

住所:Flower Dome, Gardens by the Bay, 18 Marina Gardens Drive, #01-09, Singapore 018953

電話:+65 6604 9988

アクセス:MRTベイフロント駅から徒歩15分程度

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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