日本でLa Rochelleとコラボ開催!ミシュラン一ツ星Corner House

公開日 : 2017年07月31日
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去年に引き続き、ミシュランシンガポール2017で一ツ星を獲得したコーナーハウス。Asia's 50 Best Restaurantsで23位、シンガポールに習近平国家主席が訪れた際に、会食で使われるなど、シンガポールを代表するレストランとしての地位を確立しつつあります。

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シェフは、シンガポールの老舗フレンチ、Les Amisがかつてこの場所に持っていたレストランのヘッドシェフ、Sky on 57ではエグゼクティブシェフを務めるなどの経歴を誇る、シンガポール人のJason Tanシェフ。

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ランチは3コースで$58〜、ディナーは4コース$158〜。今回は、Jasonシェフの奥様のCaillieさんと一緒に、$268のディスカバリー・エクスペリエンスメニューを中心に、オススメをいただきました。

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ギイ・シャルルマーニュのロゼシャンパンで乾杯。

まずは、香りに豊かなミネラルを感じます。生産地のLe Mesnil-sur-Oger

(ル・メニル・シュール・オジェ)村は、サロンでも知られる有名な産地。

ピノ・ノワール100%、キリリと辛口ですが、香りには果実本来のフルーツの丸み、ドライフルーツのようなニュアンスも感じます。

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まずはアミューズ。器をコレクションするのも好きだというJasonシェフらしく、法螺貝のような形をしたお皿に乗って。

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自家製のフィッシュクラッカーにサワークリーム、トビコを乗せ、すだちを少し絞ったもの。フィッシュクラッカーは、シンガポールで、特に中華系を中心に楽しまれているスナック。

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続いては、鮮やかなピンク色のゼリー。甘酸っぱいローズの香りの液体に、アロエベラとチアシードを忍ばせて。食べるときに、ふるふるとしたゼリーの中で、液体が揺れ動くのが見えるのがとても涼しげ。

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ごく薄いフィロペストリーの上に乗ったアボカドと明太子のピュレ。

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そして、私がとても気に入ったのが、フォワグラのボンボンショコラ。

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冷たいフォワグラのパルフェを詰めて、その周りには、150年もののグランマニエ。上からホワイトチョコのコーティング。歳を経て丸くなったグランマニエの柔らかさと年月を経ても失われない香り高さが、とてもよくフォワグラに合います。

そして、スペインのタパスにインスパイアされたような品、鴨つながりのダックリエットとグリエットチーズを挟んだビキニサンドイッチ。

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そして、コーナーハウスの小さな缶に入ったキャビア。

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そして、スモーク鰻のパルフェに紫蘇を乗せたもの、スモークした鰻の身、塩気が強すぎず、純粋なコクがあると選んだというクリスタルキャビア、そしてゆずのジェル。

Carabinero prawn

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こちらもシグネチャーの海老とトマトの一皿。

地中海産のカノビアーノプラウンは蒸してからレモンオイルで仕上げ、ヒゲの部分は天ぷらに。

トマトウォーターで作ったソルベ、湯むきしてからミントと台湾の干し梅の粉に漬け込んだチェリートマト、タイバジルと蜂蜜に漬けたトマト、トマトウォーターを植物性ゼラチンと混ぜてあわ立てたフォームの上にはオリーブオイルキャビア。

ガストロボタニカ、という野菜が主役になる料理がテーマです。中でも代表的なものが、4種類の方法で玉ねぎを調理したこちら。

Interpretation of my favourite vegetable

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元々は玉ねぎが好きではなかったというJasonシェフですが、この玉ねぎに出会って大好きになった、というCevennes(セヴェンス)というフランス産の玉ねぎ。まず、玉ねぎの形をそのまま生かした器を開くと、オーストラリアで イタリア・アルバ産とほぼ変わらない品質のトリュフを生産していると人気の高い、Manjimup産ウィンタートリュフをかけた温泉卵。下には玉ねぎのピュレとクリーミーなフォーム。

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そして、もう一つは、薄いフィロペストリーの上にコンフィにしたタマネギを乗せ、パルメザンチーズをかけて軽くサラマンダーで焼いたもの。ほのかに感じられるスモークのような炙られた香りと、ごく薄いフィロの繊細なクリスピーさが合わさった、オニオンタルトです。

メニューに「My favolite vegetable(お気に入りの野菜)」と付けられているのも納得。「植物が主役」という、ガストロ・ボタニカの魅力を堪能できるメニューです。

そして、スライスしたタマネギをパリパリに乾かしたもの。キャラメルのようなほのかな苦みが感じられます。

4種類目がスープ。

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エスプーマでつくられたふわふわでクリーミーなタマネギの泡に、じっくりと甘みと旨味を引き出したキャラメル色のスープが注がれます。

Smoked stracciatella

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そして、新作がこちら。ブッラータチーズの中心の一番クリーミーな部分だけを集めた、stracciatella(ストラッチャテッラ)。そして、バジルオイル、バジルソルベ、イチゴとルバーブのクリーム、シロップに漬けてから凍らせたイチゴ、ピクルスにしたルバーブ。

鮮やかなピンク色の、エジプシャンスター(ペンタス)というアフリカ原産のエディブルフラワー。そして心地よい酸味のハイビスカスの葉を添えて。

Chef Jason's oyster omelette

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シンガポール人として、シンガポールらしいものも作っていきたい、ということで、ローカルフードのオイスターオムレツにインスピレーションを受けて作ったメニュー。こちらは、ラ・ロシェルとの8月のコラボレーションでも登場予定だそう。

フランス産の味が凝縮した雑味のないオイスターに衣をつけてカリッと揚げて、

ジャスミンライスクラッカー、オイスターリーフ、コリアンダーリーフ、焦がしたリーク(長ネギの一種)

Brittany monk fish

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フランス・ブルターニュ産のアンコウは、根セロリで作った卵黄たっぷりのマヨネーズのようなソース、Remoulade(レムーラード)ソース、脂の乗った豚の顎肉と合わせて、ナスターチウム、ジロール茸と合わせて。上から、ウィンタートリュフをたっぷりと削りかけています。

肉料理はサプライズでコースにプラスでもう一皿。

Organic lamb "Rhug estate"

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イギリスのオーガニックファーム、Rhug estateで育てられたオーガニックの子羊の首肉を、フライパンでゆっくり焼き上げて。子羊本来の野性味溢れる香りが、雑味にならない程度までしっかりと感じられ、首肉ならではの脂がしっかり乗った味わいと重なります。そこに、表面を炙ったキャベツ、イタリアの生ハム、クラテッロのラード、そして白味噌をオーブンで焼いて焦がしたものに、カシューナッツを加えてピュレにしたもの、上にはセヴェンスオニオンを薄い輪切りにして乾燥させたチップスを飾って。様々な旨味の要素を重ねて、濃厚な味わいを引き出した料理。

こちらには、ヴォーヌ・ロマネを合わせて。

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豊かで深いスミレやインクを思わせる香りで、ブルゴーニュのピノ・ノワールの中でも大好きな地区。2013年ということでしたが、低温で長めにマセラシオンしたというだけあって、香りも味も雑味のないボリューム感があり、程よい円熟味の始まりも感じます。

Japanese A4 Toriyama beef

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炭焼きにしたA4の鳥山和牛。

様々なビーツとともに。大地の香りのビーツと重なる味わいの黒にんにくと合わせて。ビーツは、種類によって調理方法を変えてあります。白にピンクのストライプのものは、スライスしただけの生、黄色はコンテチーズをのせて加熱、赤は茹でて。

黒にんにくのソースは、松の実を混ぜることで、濃厚なコクをプラスしています。

鳥山和牛のこだわりについて、生産者の鳥山真さんにお聞きしたところ、10年に渡って味を分析することで、「味の見える化」に取り組み、美味しくならないと思われる要素を徹底的に排除しているとのこと。飼育期間一つ取っても、環境や餌によってベストな長さが変わってくる、きめ細かくその部分を見ていくことで、品質を安定させているとのこと。

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赤身も脂も、旨味がしっかりとあり、ボリューム豊かな味わいの和牛。そこに、さらに自然な甘みのあるビーツや黒にんにくを寄り添わせることで、丸みで旨味を後押しするような、ふくよかな一皿。

ソムリエの Izzy さんは、イギーズ、レザミを経てコーナーハウスにやってきたJasonシェフの盟友。

特に何も言っていないのですが、セレクションがとてもツボでした。

シャトー・ラトゥール

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サードラベルですが、豊かなタンニンとフルボディの味わい。たっぷりの果実味、青ピーマンの香りがしっかりありつつ、調和が取れていて、何においても美しいバランス感というのが大切だと感じさせられるワイン。

コースの区切りとなるプレデザートは、素敵な演出とともに。

Nitro

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ジンジャーの辛味の刺激が心地いい、ジンジャーエールのグラニテとフレッシュなチェリー、エスプレッソのゼリーを添えて。

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その場でエスプーマからチェリーのムースを絞り、液体窒素を使って、それを凍らせたものをかけていただくデザート。テーブルサイドでの仕上げは、臨場感もあり、ファインダイニングで食事をしている気分を盛り上げてくれます。

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チェリーの味だけではなく、濃厚な苦味のあるエスプレッソや刺激のあるジンジャーを使って、味の幅を広くとり、コントラストをはっきりと出すのが、Jasonシェフのスタイル。

そして、新作のデザート二品。

Soya bean

アジアな食材をフレンチのデザートに仕立てた一皿。

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豆乳のソルベ、黒ごまのソース、コリアンダーグラニテ、ピーナツバターパウダーに求肥で作った柔らかな餅。シンガポールには、Muah cheeという餅にピーナッツパウダーをまぶした伝統菓子がありますが、ピーナッツと餅はそれを思い起こさせるコンビネーション。中華デザートによく使われる豆乳や黒ごまを使いつつ、コリアンダーの清涼感で全体を軽やかに。シンガポールらしい食材を詰め込んだデザートです。

The first gateau I learnt

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Jasonシェフが調理師学校を卒業してからすぐ働いていたというコンラッドホテルで、初めて習ったというデザート、キャロットケーキ。人参のジェル、人参とオレンジのソルベ、クリームチーズのアイスクリーム、くるみ、。Speculoos(スペキュロス)と呼ばれる、ブラウンシュガーやクローブ、シナモンを使ったクッキーのクランブルがかけられていて、キャロットケーキの全ての構成要素を分解して再構築したような一品。

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小菓子は、日本で買って来たという漆器の器に入って出て来ます。

シンガポールで人気のある塩漬け卵黄のフィリングを使ったマカロンや、Jasonシェフが大好きだという、冷たいミロの上に、ミロの粉をたっぷりのせたローカルドリンク、ミロ・ダイナソーをイメージした、アイスクリームの間にミロを挟んでチョコレート掛けしたものなど、シンガポールらしいものや、アーモンドチョコレートなど定番のものが。

Jasonシェフの料理を食べてみて、長く東南アジアを旅して、春先の日本に帰った時のこと、景色が織りなす色合いの柔らかさと優しさに驚いたことがあります。春霞の向こうの里山、山桜のほのかな紅がさした白さ。そんな日本の色合いは、東南アジアのそれとは大きく違うと感じたことを思い出しました。

Jasonシェフの料理は、ジャングルの中に咲く美しい花のよう。繊細で美しいだけでなく、凝縮された個性があって、強くて香り高くて。味わいとしては、甘酸味のボリュームが大きく、動物性の脂をしっかり使う、力強さと豊かな幅のある料理。

アジアの食材を使っていますし、シンガポールのローカルフードのオイスターオムレツの再解釈の料理も、シンガポールらしいですが、その他の皿を見ても、シンガポールらしさは自然と溢れ出して来ているように感じます。

最近では、Daniel Chavezシェフのモダンスペイン料理のレストラン、Olaで行われたイベントで、GagganやSuhringなど、シンガポール国外のレストランと一緒に料理を作るなど、コラボレーションを積極的に行なっています。

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Jason シェフは、8月24日、25日に、料理の鉄人で知られる坂井宏行シェフのレストラン、南青山のLa Rochelle(ラ・ロシェル)で、料理長の川島孝シェフとのコラボレーションイベントを行う予定です。

以前に川島シェフのお料理をいただいたことがあるのですが、繊細な隠し味を使って、日本人からすると、心にも体にもすっと溶け込む、しみじみと美味しい料理。

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(↑La Rochelle、川島シェフのお料理)

日本にフレンチ会席という考えを最初に取り入れたラ・ロシェル。日本の美意識とシンガポールの美意識がどのように融け合うのか、とても楽しみなイベントです!

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■Corner house(コーナーハウス)

営業時間:ランチ 12:00〜15:00(日曜は11:30〜) 、ディナー 18:30〜23:00、(月曜休) 

住所:1 Cluny Road, Nassim Gate, Singapore Botanic Gardens E J H Corner House Singapore 259569

TEL:+65 6469 1000

URL: http://www.cornerhouse.com.sg/

アクセス:MRTボタニック・ガーデンズ駅からタクシーで5分程

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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