ミシュラン三ツ星シェフがシンガポールにやって来る!
※Alvinシェフの来星は、諸事情により中止になりました。(6月19日付)
ミシュランの星を獲得したシェフが、毎月シンガポールのセレブリティーシェフとコラボレーションメニューを提供するイベント、$100Gourmet。このイベントだけの為に作られた6皿のコースメニューがなんと100シンガポールドル(Citibankカード利用時、通常180シンガポールドル)で食べられるというのも魅力のひとつ。
6月はなんと、香港のミシュラン三ツ星レストラン、"Bo Innovation" の、Alvin Leungシェフがやってきます!
以前にも食のイベントでお会いしたこともあるのですが、Alvinシェフはエンジニア出身という異色の経歴の持ち主。更に、料理は基本的に独学で学んだんだとか。
そんなAlvinシェフの独特の世界観をインタビューでご紹介して行きます!
Q:あなたの料理哲学とスタイルについて教えてください
A:私の料理哲学は、常に革新を追求すること、アプローチの仕方は現代的だけれども、伝統をふまえたものであること。自分の料理のスタイルを「X-treme(究極の)中華」と呼んでいるけれど、これは、伝統的な中華料理を高度な手法と現代的なテクニックを使って、今の時代にあった料理として提示し、来た人に新しい体験として提供することなんだ。
Q: 料理の世界でのメンターは誰ですか?
A:私は幸いなことにーと言うべきか、悲惨なことにーというべきかもしれないが、ひどい料理下手で全く料理をしない母親に恵まれた。だから自分で料理をすることを学ばざるをえなかったんだ。1970年代に育った1人として、「The Galloping Gourmet」や「Yan Can Cook」といった、当時人気のあった料理番組を見るのが大好きだった。こう言った番組は料理をする際の基本的な技術を教えてくれただけでなく、料理は楽しいものだということを教えてくれた。それが、今の私の料理が、刺激的で遊び心ある食の体験を提供するというスタイルをとっている理由でもあるんだ。
独学で料理を学んだから、自分にとってのメンターやヒーローはいないけれど、素晴らしいインスピレーションを与えてくれたシェフならいる。特に、アラン・デュカスの頭脳、ジョエル・ロブションの心、フェラン・アドリアには勇気にはインスパイアされたよ。
おなじみの担々麺も、Alvinシェフの手にかかるとこの通り
Q:いつ料理の道に進もうと決めたのですか?
A:プロの料理人になろうと決めた、というより、2003年にその機会が訪れた時に、宿命のように決まったというべきかもしれない。その時、ボリス、通称"Bo"という友人と、共同事業を始めることになったからなんだ。実際の所、そんな風にして"Bo Innovation" は生まれたんだよ。
香港 "Bo Innovation" 店内
Q: シェフにならなかったとしたら、どんな仕事を選んでいましたか?
A:エンジニア。元々エンジニアだったし、今もそのつもりで仕事をしているから、30年以上やっていることになるね。でも、夢の仕事、と言えば、多分法廷弁護士かアイスホッケーのプレーヤーかな。
A:う〜ん、食料庫に5つしか材料がないとしたらレストランを開くべきじゃないよね。代わりにホーカー(屋台)なら開けるかもしれないけど。でも、材料が何種類であっても、創意工夫と革新で、素晴らしい料理を作れないといけないとは思うよ。
Q:一番のシグネチャー料理は何ですか?そして、いつ、どんな時にインスピレーションを得たか教えてください。
A:これが私の最高の一皿だ、というものはないよ。これから作ろうとしている一皿が、常にそれに相当するんじゃないかと思う。全ての料理は自分の子どものような存在だから、その全てが大切なんだ。
Q:環境への負荷が少ない、持続可能な食材をよく使っていますが、それはなぜですか?
A:全ては、複製ができるように持続可能でなくてはならない。私のレストランの目的は食べ物を複製する為にあるんだ。これは、持続可能な農産物なしには出来ないこと。我々と、我々の子ども達の未来の為にも、環境に気を配ることは重要だ。ただ、「エコだ」とかそういう理由ではなく、材料がもはや存在しないのに、料理を作るなんてばかばかしいことだからだよ。
Q:今、レストランで写真を撮ってソーシャルメディアに載せることを嫌うシェフも少なくありません。ソーシャルメディアについてはどう考えていますか?食事客はいつでも自由に写真を撮ることができますか?
A:みんな、自分がどこに行ったかということを見せたがるし、ソーシャルメディアは大きな影響力を持っていると思う。レストランのサービスや他の食事客の迷惑にならない限り、写真を撮ることについては私はまったく気にしない。
Q:慈善事業等のチャリティーや社会的活動に参加することもあるのですか?
A:自分の信念に合うものであれば、支援することにしている。私の突飛な創作のひとつである、「Sex On A Beach」という一皿は、AIDS調査の為のお金を集める為に作ったんだ。私は糖尿病だから、それに関連するチャリティーにも協力している。有益だと思われるチャリティーは、サポートすることにしているよ。
Q:シンガポールには何度もいらっしゃっていると思いますが、シンガポールのダイニングシーンの印象はいかがですか?
A:中国、マレー、インドネシア、インド等様々な文化があり、格安なホーカー料理と、念入りに作られたファインダイニングの料理が多様に混ざり合っている。シンガポールはとても洗練されたグルメスポットだと思うよ。いつでも素晴らしい料理に出会うことができる。
Q:シンガポールで食べるのを楽しみにしている料理はありますか?
A:全て。ホーカーから完璧なファインダイニングまで、宝石のように特別な料理を探すのを楽しみにしているよ。
Q:シンガポールで見た、又は使ったローカル食材の中で、他の所で見たことがなかったり、使ったことがないという何か特別なものはありますか?
A:シンガポールはとても国際的で、多くの異なる人々と民族が美しく混ざり合っている国だと思う。この文化の融合は、ニョニャ(プラナカン)料理のような食事にも及んでいる。こういった文化が融合した料理のバリエーションは、他の国でも見られないものだと思う。
Q:ここからはAlvinさんの更に個人的なことについてお聞きします。人生の中で最も特別なシチュエーションで、どんなワインでも選べるとしたら、何を飲みますか?
A:どんなワインかを選ぶのではなくて、誰と飲むかを選ぶね。
Q:では、過去や未来にタイムトラベルすることができたら、誰と最も記憶に残る食事をしますか?
A:億万長者になる前のビル・ゲイツかスティーブ・ジョブズかな。そうしたら彼らの会社を買うことができただろうからね。
Q:最もほっとする食べ物はなんですか?
A:香港人としては、最もほっとする食べ物と言えば、熱いスープとお粥だよ。温かくて、美味しくて、シンプルだ。子どもの頃に戻ったような気持ちになる。朝食としても、病気の時にもよく食べたからね。家庭の味、というのかな。
前衛的な料理をアグレッシブに生み出しながらも、ベースにある香港人としてのアイデンティティーを大切にしているAlvinシェフ。今回のイベントも、中華レストランとのコラボレーションをリクエストしたそう。
最後に、今回のイベントについてお聞きすると、
「多くの人に、上質の料理をリーズナブルに楽しんでもらうよい機会だと思う。ぜひ色々な人に来てもらいたいな」ということでした。
ミシュラン三ツ星のAlvinシェフの限定料理を特別価格で楽しめるのは、この7日間だけ。興味のある方はぜひサイトからチケットを予約してみてくださいね。
$100 Gourmetについてはこちらの別記事もご覧下さい。
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※日時が変更(6月10日付)になっています、ご注意ください。
■Eric Neo × Alvin Leung at Man Fu Yuan(インターコンチネンタルホテルシンガポール内)
ランチ:6月26、27日、ディナー:6月24〜27日
■David Liew × Alvin Leung at Tong Le Private Dining
ランチ、ディナー:6月28〜30日
筆者
シンガポール特派員
仲山今日子
趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。
【記載内容について】
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