13基の豪華なカラクリ曳山が競い合う「大津祭」(本祭編)

公開日 : 2017年10月14日
最終更新 :

10月7日の宵山に引き続き、8日の本祭を紹介したいと思います。この日は朝は少し曇っていたものの、徐々に回復して日中は最高の天気になりました。

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なんと、今回ボランティアとして中堀町の曳山、「孔明祈水山」の綱の引き手で参加させていただくことに。

歴史あるお祭りに、観客とは違った立場で関わらせていただく大変貴重な経験をさせていただいたのです。

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この「孔明祈水山」、今年は法被を新調したとのことで、僕にも真新しくビニール袋に入った法被と手ぬぐいが

手渡されました。

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午前9時前、いよいよ曳山出発の時間ですが、その前にみんなで景気づけの献杯!

祭には13基の曳山が巡行するのですが、その順番は9月16日に行われる「鬮(くじ)取り式」にて決まります。

大津祭発祥の元になった曳山「西行桜狸山」は「鬮取らず」といって毎年1番が決まっています。

僕が曳く「孔明祈水山」はこの鬮取り式で一番最後となっており、ややゆっくり目のスタート。

この大津祭、近くにある「天孫神社」の祭礼ということで、引き手と言えども神事に関わる神聖な役割。

ということで、曳山を引いている最中は写真撮影などはもちろんNGです。ブログ取材としては祭りの様子をレポートしたいところですが、こればかりは仕方ありません。休憩中の限られた写真で祭りの様子を伝わればいいのですが。

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曳山はまず、天孫神社の前に集合し「鬮改め」を行い、それから「所望(しょうもん)」といって、各曳山に備えられた「からくり」を動かし演じます。

巡行中には街の25か所に「所望」の場所が決められており、その場所には先を赤く染めた御幣という紙の印が各家の軒先に飾られています。

「所望」自体は1回あたり1分~2分程度の短いものですが、各「からくり」は中国の故事や能楽を元にしたストーリーからシーンを切り取っており、お囃子の音楽に合わせて短い中にも起承転結を感じさせるものとなっているんです。

ではちょっと長くなりますが、せっかくの綺麗な曳山なので13基全てを紹介!

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▲「西宮蛭子山」・・・からくりはエビスさんが鯛を釣り上げる所作で人気

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▲「神功皇后山」・・・日本のジャンヌダルク「神功皇后」の伝説にちなんだもの。岩に弓で字を書く所作により次々と文字が現れる様子を描きます。

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▲「石橋山」・・・からくりは岩が開いて唐獅子が歩み出て、牡丹の花と戯れる様子を再現したもの。

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▲「湯立山」・・・天孫神社の湯立の神事に由来する。その神事の様子を再現。

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▲「月宮殿山」・・・鶴と亀の冠をつけた男女の舞人が皇帝の前で舞を舞う様子を描きます。

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▲「源氏山」・・・紫式部が月を見ながら「源氏物語」の構想を練る様子を描いたからくり。

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▲「龍門滝山」・・・その滝を登った魚は龍になるという登竜門の語源となった中国の故事「龍門山の滝」より、鯉の滝登りを再現。

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▲「殺生石山」・・・能楽「殺生石」より。和尚の法力で割れた石より女官姿の玉藻が現れ、その顔が狐に変わる・・・。

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▲「西王母山」・・・桃が二つに割れて中から童子が。桃太郎?

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▲「郭巨山」・・・中国の故事より。郭巨が鍬で土を掘ると黄金の釜が出てくるというシーンが再現。

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▲「猩々山」・・・能楽「猩々」より。酌めども尽きない瓶を与えられた高風が大盃で酒を飲み干すと、顔が赤くなる・・・。

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▲「西行桜狸山」・・・祭の先導をする守護の山。元は塩売治兵衛が狸のお面を被って踊ったことがこの大津祭の発祥となった。

これら曳山のストーリーを感じながら、それぞれの「からくり」を見て回るのが大津祭の面白さの一つですね。

ここから各曳山は順番に大津の街を巡行し、お昼に再び中央大通りに集合します。

そこまでは本祭の前半、そしてお昼からは中央大通りに設置された観覧席前を通って後半のコースに進んでいきます。

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大津の街は比較的フラットではあるものの、琵琶湖から離れるにしたがって上がっている地形でもあるので、この登りの時は引き手は常に綱引き状態、これが結構キツイんですよね。

また大津の街中の道は非常に狭いので曳山が通るのも目いっぱい。その都度山の方向を変える山方と言われる人たちは重たい曳山の前輪を6人~7人程度で持ち上げて変えます。おそらくこの役割が一番大変でしょう。

この日はフランスのメディアの方の体験取材があり、僕の真後ろに大変お綺麗なフランスの女性が同じく引き手として入ってこられました。

招待したのは大津市なのかな? 大津市長までもが孔明祈水山の引き手に。

ただでさえ貴重な体験なのに、さらにこんなサプライズまで・・・。 フランス人女性になんと話しかけて良いか分からず、少々オロオロしちゃいました・・・。

17時30分には巡行解散となり、順次それぞれの山町に帰っていくのですが、逆にそこが祭りのクライマックスに。

薄暗い中、大津駅前から商店街を下って行く間、祭の終わりを惜しむかのように曳山を取り囲についてくる観客の皆さん。

通りの2階には沢山んの人々が屋根に乗って手をたたき、また曳山の上の囃子手が「ピーヒャラ、ピーヒャララ、ハイ、ハイ、ハハイッ!」(多分...)

と煽りづ付け、その場にいる皆が同じように声を合わせ大盛り上がり!これぞ祭って感じです。

祭を形作っている街や参加者のこういった雰囲気が、由緒あるのに庶民のお祭りとして敷居が低くて大津祭の良いところ‼ だと感じました。

なんか大津の街自体好きになってしまいそうです。

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ボランティアの成果は・・・この雰囲気が味わえたこと、それと粽に手ぬぐい、曳山の皆さんとの記念写真も。

来年も絶対参加したい! けど、これじゃ取材にはならんけどね・・・。まあいいか、楽しいから。

もっと詳しく知りたい方はこちらのサイトが祭りの流れがよくわかります。

筆者

滋賀特派員

フナズシマル

皆様に是非訪れてほしいマニアックな滋賀のマニアックなスポットをご紹介していきます!

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