プンムル(風物)のリズムで元気な夏!

公開日 : 1999年07月10日
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このところのソウルは空梅雨。週末になるとソウル・ノリマダンに出かけている。ノリとは韓国語で遊び、興ずること、マダンは広場を意味する。ソウルで唯一の野外円形劇場だ。ここでは韓国に昔から伝わる音楽や踊り、仮面劇などの伝統芸能を公演している。涼しい風が吹き始める夕方、すり鉢状のマダンに腰を下ろし、農民たちの奏でる打楽器のリズムに心と体をまかせる。辺りを見回すと、観客は心地よさそうに体を揺らしている。いっしょに踊りだしてしまうお年寄りの姿も。クェンガリ(鉦)のけたたましい合図とともに始まり、チャンゴ(鼓)とプク(小太鼓)が力強いリズムを作り、合間にチン(銅鑼)の重い音色が大地に響く。総勢2,30人がそれぞれの楽器を奏でながら、輪になったり交差したりの動きを繰り返す。リズムが次第に複雑で激しく盛り上がってくると、チャンゴ(鼓)やプク(小太鼓)の演奏者はとんぼ返りなどのアクロバットを披露。頭につけた白くて長い紙が動きに合わせて空に舞い、美しい曲線を描き、会場は拍手と喝采にわく。韓国の田舎に今でも残っているプンムル(風物)は、ノンアク(農楽)とも呼ばれる。もとは農村や漁村、商店街などで村人の団結と繁栄を祈願するために演奏された。季節の節目には村にプンムルが響き、村人は広場に集まって宴会をした。田植えが終われば、労をねぎらい、豊作を祈った。村では息抜きのできる立派な娯楽だったわけだ。ソウル・ノリマダンを楽しみにしているお年寄りの中には、農村でプンムルに興じた経験のある人も多いのだと思う。だから都会の一角で公演されるプンムルの音色にも、体がむずむずしてきて踊らないわけにはいかないのだろう。公演にはたいてい各地方の無形文化財に指定された芸能保存会の人たちが招かれ、2時間ほど演奏を行う。そして最後に必ずあるのが、トィップリと呼ばれる出演者と観客がいっしょに踊る、打ち上げのようなもの。このときを待ち望んでいたように我先に踊りの輪に加わるお年寄り、おとなしく見ていた学生風の若者も両手を広げリズムに合わせて踊っている。見ているだけでも心愉快で、元気になれる時間だ。*****プンムル(風物)公演案内*****「ソウル・ノリマダン」日時:4月から10月の毎週土、日曜日 午後5時より(10月は3時から)ただし、雨天や真夏には休演することもあるので問い合わせを。場所:地下鉄2号線蚕室(チャムシル)駅下車徒歩5分。ロッテワールド前の湖畔。料金:無料TEL:02−414−1985「国立国楽院(クンニプ・クガグォン)・土曜常設国楽公演」日時:毎週土曜日午後5時より場所:地下鉄3号線南部ターミナル駅下車徒歩15分、芸術の殿堂内料金:5000ウォンTEL:02−585−0153「貞洞劇場(チョンドン・クッチャン)」日時:毎週火、金曜日午後7時半より場所:地下鉄1,2号線市庁駅下車徒歩10分、徳寿宮(トクスグン)裏手料金:S席30000ウォン、A席20000ウォンTEL:02−773−8960

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ソウル・ノリマダンのプンムル(風物)公演無料でここまで楽しめるところは他にない

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