札幌、雪解けの頃

公開日 : 2022年03月26日
最終更新 :

今シーズンの北海道は記録的な雪の多さで、春は本当に来るのだろうか、と思うほど雪深い冬でした。
そんな北海道にもようやく春らしい陽気が見られるようになり、札幌市内でも道路の雪はおおむね解け、フクジュソウが顔を出し始めたという便りも聞くようになりました。
1日の最低気温は、まだ0度を下回る寒さの日もありますが、最高気温が10℃に近くなり、雨でさらに雪解けが進み始めた札幌の今を散策してきました。

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雪解けは樹木の足元から

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路上の雪はほぼなくなり、乾いた道路が多くなってきましたが、札幌中心部から離れると、まだ雪が残っているところも多くあります。
ふかふかの新雪は姿を消し、ざくざくの固い残雪です。

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雪が積もっているなかでも、木が生えている場所では、雪は樹木の根元から解け始めます。
このため、雪解けの時期には、木の周りだけ円く地面が見えていることも。
この現象は「根開き」といって、北国では春先、この根開きを目にすると春の訪れを感じます。

これは、気温よりも高い水温の地中の水を樹木が吸い上げることで、木の温度が外気よりも高くなり周りの雪がとけやすくなるからだそう。
このため、真冬でも木の周りは雪がゆるんでいることがあり、子供の頃は、木の近くで雪遊びをしていると、思いがけず深い木の根元の雪穴に落ちたりしたこともありました。

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特に黒っぽい色のところは日光を吸収しやすいので、ひとたび地面が見えるとそこから一気に雪解けが進みます。
雪が積もっている中、ある一帯だけぽっかりと雪がなくなっていることがあり、そこだけ春の雰囲気です。

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春の小川と春の池

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よく晴れて気温がプラスになった日には、雪解けが一気に進み、雪解け水が小川のように流れている光景も札幌の3月にはよく見かけます。
特に住宅街では、気温がプラスになると一斉にスコップやツルハシや専用グッズなどを使い、雪解けを促す"雪割り"を始める人もちらほら見かけます。
そうなると、道路の端にちょろちょろと小川のように雪解け水が流れ、それが排水溝に落ちる音がどこからともなく聞こえてくるのも春先の風物詩です。

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雪解けのスピードが速いと、ちょっとした池にも見える水たまりができることもあります。
一般道路での水たまりは歩きにくく閉口することもありますが、この時期は雪解の水たまりを見ても春の訪れを感じ、気持ちがウキウキしてきます。

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冬芽いろいろ

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道外ではサクラが咲く時期ですが、北海道にサクラ前線が到達するのは、まだ1カ月ほど先。

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ところが、よく見ると冬芽が少しずつ膨らんできているようです。

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ひときわぷっくりした冬芽が目立っていたのは"ハシドイ"。
毎年5月に白い花を咲かせます。

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こちらはエゾヤマザクラ。

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細い枝がまっすぐ空へ向かうように伸びていたのはチシマザクラ。
背が低いチシマザクラは、今シーズンの雪の重みで枝が折れているところが散見されました。
少し心配ですが、冬芽はたくさんついています。
花の時期はまだ先ですが、ようやく冬芽の成長が楽しみな季節になりました。

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春はもうすぐ!

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ハシドイやサクラの冬芽を見ながら、若葉の季節はまだ先、と思っていましたが、コンコロールモミからは新芽が出ていました。

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シラカバは、梢が赤く染まって、この時期ならではのシルエット。

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マツの葉は少しずつ強くなってきた日差しを浴びて、厳寒期より葉がふさふさと緩んできたように見えます。

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木の枝と青空のコントラストがくっきり見える期間もあとわずか。

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春爛漫になると目も留めないモス(苔)ですが、春、一番に目にすると、とても鮮やかでまぶしく見えます。

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冬芽が成長するのとは反対に、冬の間、小鳥に実をすべて食べられて丸裸のナナカマド。
この姿も春先の風物詩です。

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この辺りでは、まだフクジュソウをみつけることはできませんでしたが、雪を割って顔を出していたエリカカルネアは、小さな蕾をつけていました。

北海道の春本番は、あともう少し!
道南の松前町からやってくる春を待ちながら、しばし冬の余韻を楽しむ季節の札幌です。

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筆者

北海道特派員

市之宮 直子

小樽生まれ、江別育ち、札幌在住のフォトライター。三度の飯より北海道を撮ることが好きな道産子北海道Loverです。

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