ドミニカ出産物語7 「私の子に会わせて!」

公開日 : 2011年08月16日
最終更新 :
筆者 : monalisita

 8月4日の朝11時頃から始まった誘発分娩は、午後2時前に終了し、前回にも増してさらにスピード出産となった。安産だったのは何よりである。ただ、やはり37週目での出産と言うこともあり、赤ちゃんの体重は2.6kg、身長48cmとやや小さめ。

 その後、私は回復室へと連れられ、そこで2,3時間だろうか、うとうとしていた。ここでようやく、主人と話すことができ、「実は、出産に立ち会うのが怖かったから、逃げたんでしょ!」とからかった。しばらくして、個室へと向かい、早速自分の子供を連れてきてもらえるか看護婦さんに聞いたら、あと30分位したらねと返事があり、自分の赤ちゃんに会えるのをウキウキしていた。

 ところが、数十分後に小児科医師から電話があり、主人が応答したのだが、なんだか顔が神妙。電話を切るや否や「どうしたの?赤ちゃんの様子が悪いの?」と不安になって聞いたら、「鼻が詰まっていて呼吸が速いから、保育器に入っているらしい。肺炎の可能性もあるから、胸部のX線写真も撮って調べているって。だから、ここへはしばらく連れて来れないって。」ショックだった。新生児にレントゲンなんて、「本当に大丈夫なの?」と思わせることを、私たちに説明もなしにやるんだから、たまったもんじゃない。後で聞いたら、呼吸を楽にするための抗生物質も飲ませていたとか。微量であるとは言え、そういうのってちゃんと親である私たちに話してほしいものである。

 「じゃあ、私たちが見に行くことはできるんですか」と看護婦さんに聞いたら、あなたは今日出産したばかりだから、歩いちゃダメよと。「私はちゃんと立てるし、歩けるわ。前回出産した時だって、その日のうちに歩いて自分ひとりでトイレも行けたし、今回も大丈夫よ。」と返したが、「もうしばらく横になってなさい。人手が来たら連れてってあげるから」と結局待つ羽目に。

 赤ちゃんの様子が心配な傍ら、やっぱり出産が早すぎたせいだという後悔の気持ちもあった。あと1,2週間私のお腹の中で成長していれば、何の心配もなく丈夫な赤ちゃんが生まれたかもしれないという思い。そして再び、先生や病院に対する不信感が増してきた。主人も、「病院経営もビジネスだからな。自然分娩だけじゃ儲からないから、誘発剤や無痛分娩を薦めてオプション料金を取っているのかもしれないよ。」私も同感。「全くその通りよ。生まれてくる赤ちゃんが小さければ、保育器や酸素吸入などそれだけ手間とお金をかけなきゃいけないからね。分娩費用だけじゃなく、赤ちゃんケア費用も、患者からできる限り取ろうっていう魂胆よ」と愚痴は止まらない。

 そして、念願の息子への対面が可能になったのは、その日の夜であった。歩けるという私に、歩いちゃダメよとわざわざ車椅子を用意してくれたが、どっちかと言うと会陰切開と痔(脱肛?)のW激痛で、座るほうが辛いんですけど...とは言え、自分の赤ちゃんに合えるのだから、文句は言わずに車椅子で連れてってもらった。

 保育器に入った息子は、他の新生児に比べると、一回り小さいうえ、泣き声もか細い。手の甲に繋げられた管から点滴を受け、顔には酸素濃度を高くするためのケースが被されている。可哀そうにも見えるけど、別に呼吸が速いようには思えないし、ちゃんと力強く生きてるよ。小さい手を握りながら、「また来るね」と言って、自分の部屋に戻った。

 翌日、小児科医が我々の部屋に来てくれて、息子の様子について、「今日の夕方の段階で最終判断しましょう。調子がよければ、今日中に赤ちゃんを連れて帰っても大丈夫よ。また、いつでも会いに行って母乳をあげてもいいわよ。」ということだ。ちなみに、ドミニカでは出産後の入院は1-3日程度。前回は日本の助産院で5日間お世話になったが、その間自分の子供とずっと一緒にいることができたし、新生児の特徴や、母乳の重要性や与え方、沐浴の仕方を説明してくれたり、はたまたマッサージまでしてくれるという、至れり尽くせりのサービスに大満足であった。しかし、「ところ変われば品変わる」。ドミニカではそんなサービスはない。だから、入院期間は1、2日で十分なのかもしれない。私自身、部屋の中で寝て、食べて、TV見ての繰り返しに、1晩で飽きた。生まれたばかりの息子と一緒であれば、話は別だろうが、好きなときに会いに行けないのだから、長居する必要性は感じられない。むしろ、自宅で気兼ねなく療養した方がいい。

 午前中に再び息子に会いに行き、母乳をあげてみるが、くいつかない。3年半ぶりに新生児を抱くので、抱き方を忘れてしまったせいか、母乳を吸ってくれず断念。長男が母乳を飲めるようになるまで3、4日間かかったので、焦らず、午後再びトライすることにした。そして、午後2時頃、再度会いたいから行ってもいいかと看護婦に許可を求めるが、私に同伴する看護婦が不在しているということで、再び待つことに。4時過ぎになってようやく看護婦が戻ってきたので、会いに行って、母乳を与えた。今度は吸い付いた!新生児担当の看護婦はあと1日ここに居させた方がいいわよと言うが、とりあえず小児科医の意見を聞かせて欲しいと言って、直接話したところ、「順調に回復しているし、呼吸も落ち着いているから、今日帰ってもいいわよ」と帰宅許可が出た。うれしくて、うれしくて、さっさと身支度を開始した。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。