長期的な投資が必要―Al Goreの講演より-

公開日 : 2010年11月08日
最終更新 :
筆者 : monalisita

前回のブログにも書いたが、Al Gore氏による講演会に参加した。前米副大統領ということもあって、参加者は400人位いたのではないか。出席者のほとんどが、民間の人と思われるが、環境大臣や副大臣、国家気候変動委員会大臣など、政界トップの顔も見られた。

ホテルの会議室は、ほとんど満席。私は一番後ろの列のテーブルで、講演者の顔は豆粒程度にしか見えなかったが、それでも面白みと迫力のある演説であった。

講演会の様子

さすがに政治家だけあって、話の投入や視聴者のつかみはうまい。野球メジャーリーグのファンであることやドミ共出身のメジャーリーガーを賞賛することで、視聴者に親近感を沸かせ、またジョークを加えることで、演説に旨みを付けている。オバマ大統領もそうであるが、アメリカでは話がうまくできないと、政治家にはなれないだろう。日本とは大きな違いである。

演説のポイントは、地球温暖化は紛れもない事実であり、目をそらさずに取り組む必要があること、気候変動の「危機」は、人類や生態系が被害を受ける「危=Danger」だけでなく、雇用創出を促進させる「機=Opportunity」でもあること、そして短期的な視点ではなく、長期的な視点で投資を行うことが経済産業界に望まれていることであった。Climate Crisisという単語を「危機」という日本語・中国語を用いて話をしているところに「座布団一枚!」と言いたい。日頃、特に気にも留めずに使っていただけに、「なるほどぉ」と私も感心した。

その他、地球温暖化の科学的な事実や、人間活動による温暖化の原因を説明したり、最近の世界における特異な気象現象とその被害について話した。今年2010年は世界各国で歴史的最高気温を記録していることや、サイクロンや台風の規模が年々増大し、それにより被害が大きくなっていることにもふれた。ちょうど今、熱帯性低気圧Tomasがカリブ海諸国を移動中で、数日中にはハリケーンに発達してドミ共・ハイチを通過し、両国に大きな被害を与えると予測されているだけに、彼の演説は真実味を増した。

この講演会が500USドルの価値があったかと言う問いに関しては、回答は人によって異なるであろう。Al Gore著作の本2冊がお土産に含まれているものの、彼の演説を聞くことだけが目的であれば、残念に思う人は多いだろう。しかし、この場を通して企業の様々な環境活動を知ることができ、また同時に人脈を深めることができたのであれば、それが今後の更なる環境活動を兼ねた利益追求につながるため、参加価値はあったと言えるであろう。

私は大衆のどさくさに紛れ、講演直後に控え室に行き、Al Gore氏との会話を試みたが、所詮私は背の低い日本人。握手やサイン、写真を求める高い人垣をぶち抜くことはできなかった。とは言え、最後の最後に握手だけはしてもらった。

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