待望チャイニーズシアターで上映!ハリウッドの新鋭日本人監督

公開日 : 2015年08月10日
最終更新 :

日米両国で上映されている短編映画「The Other Side」(ザ・アザーサイド)を手掛けた、和泉谷晶子(いずみたにあきこ)監督にインタビューすることができました。

Akiko_Directing.jpg

「The Other Side」は、善悪のはっきりしがちなハリウッド映画の中で悪者からの立場も描いた短編力作映画。映画は全て英語で、日本での上映は日本語字幕付き。銃戦から格闘とアクション盛りだくさんの場面に悪役の人間としての素顔を描き、観客を釘づけにします。

「映画を観ていて悪役の人たちの立場で考えたら面白いかもしれないと思いました。悪役にも人生があって、たまたまその日の仕事が他人から見て悪役の領域だっただけかもしれません。」

と、上映会後の登壇質疑で流暢な英語で語る和泉谷監督は、映画監督として脚本執筆にも深く関わるそうです。「The Other Side」はもう一人の脚本家と共同執筆。

8月18日(火曜日)、午後10時からHollyShorts(ホーリーショーツ短編映画祭)主催で待望のハリウッドチャイニーズシアターにて上映予定です。チケットの購入はこちらからどうぞ。

TCL Chinese Theatre

住所:6925 Hollywood Blvd., Los Angeles, CA

電話番号:(323) 464-6266

以下インタビュー。

Akiko_headshot.jpg

筆者:今回のHollyShorts短編映画祭出展おめでとうございます。

和泉谷:ありがとうございます。

筆者:まず、映画監督になろうと思ったきっかけは何ですか?

和泉谷:昔、「シンドラーのリスト」を見て、そして、劇団銅羅による杉原 千畝さんについての劇を見て、素晴らしい話を伝える力を持った映画や劇はすごいと思いました。

(人の人生を変えるなら)医者になるよりは感動する話を伝えたいと思いましたね。人道主義の映画を作りたいです。

あと、「羊たちの沈黙」を何度も見て、俳優に演技指導したり、ショット構成や、色、衣装など、全ての事に決定権を持つ映画監督という職業が面白そうだと思いました。会社の社員だと65歳で退職だけど、監督は一生できることだし。

筆者:で、実際の映画監督になってみた感想は?

和泉谷:うーん。期待通りではあるけれども、なるための努力は(当初の予想よりも)100倍。それはアメリカで監督をしているから英語が大変だとか、ビザの問題で苦労したとか、余分な大変さが入ってるからかも。日本語で演出できたらだいぶ楽なのかなってたまに思います。

筆者:映画業界では名門のUCLA映画学科卒業ですが、大学の映画学科での勉強は期待していた通りでしたか?

和泉谷:4年制大学の後半2年間が映画学科専攻になります。全員で30人の学部です。UCLAの内部から15人、編入生は世界中から15人の枠があります。私は編入生として入学できたのでうれしかったのですが、実際にはアカデミックな教材が多かったのが残念。でも4年生になると実際に映画撮影ができて人生で一番楽しい時期を過ごしました。当時は実際のフィルムからデジタルへの転換期で、デジタルとフィルム制作の両方を学ばされました。両方学ぶのは大変でしたね。

筆者:世界から15人とは難関ですね。選考過程はどういったものでしたか?

和泉谷:脚本、学歴(GPA)、エッセーを提出した後、30人に絞られます。次の面接が最終選考で15人まで絞られました。

筆者:卒業後に映画監督としてハリウッド進出した訳ですが、その後最も苦労することは何ですか?

和泉谷:良い脚本を書くことが大変です。良い映画を作る事。一番大変なのは資金集め。。。監督として脚本を書く場合とそうでない場合がありますが、私は書きます。The Other Sideは考案は私ですが、執筆は脚本家と共同です。

Akiko_Directing_Zoom.jpg

筆者:なるほど。他人にお金を出してもらうのはどの業界も大変ですね。

日本人女性として、ほぼ男性独占の映画監督という職に就いて有利な点と不利な点を教えてください。

和泉谷:当然に文化の違いと言葉の違い、女性である難しさなど、不利が多いけど、日本人女性監督としては有利な点もあると思います。バイリンガル女性監督は、3人ほどお名前を聞いていますが、アクションを撮ってる方は聞いた事がないので、日米合作アクション映画だとお声がかかりやすいかもしれませんね。

脚本を書く上では第2言語で書く事が大変ですし、訛りとか、自分の英語のボキャブラリーの少なさで演出が大変だったり。でもそれらは努力すれば直るので、どちらかと言うと、女性としての不利な点の方がつらいかな。こちらは仕事の話をしようとしていても、デートに誘われたり。撮影現場や映画祭で女優さんと間違われたりと。最近は実績ができてきたので、ましになってきましたけど、最初はそんなのばっかりでした。映画上映後、馬鹿にしてたと謝られた事もあります(笑)また、男性が圧倒的に多い職なので、実際に女性と働くことに不便さを感じる男性が多いのではないかと感じます。差別とかじゃなくて、夜遅くまでミーティングしていたら、相手の彼女さん達に疑われたりとか、実用的な面で必然的に不便なんだと思います。それでも、最近は女性監督が増えてきて、珍しいもので無くなってきたので、良い方に変わってきたと思います。

筆者:映画制作において最も楽しいことは何ですか?

和泉谷:自分のビジョンが映像になる時です。

やって良かったと思う時は観客に見てもらえる瞬間です。そして更に観客に良かったと言ってもらえれば全ての苦労は報われます。

(観客に)観てもらって初めて映画というものになりますから。

観客は神様です。

観客のために映画を作るわけではありませんが、映画を見るために足を運んでくれるのはありがたいと感謝します。

筆者:観客に見てもらうために作っているのでないのですか?

和泉谷:作りたいから作るけれども、見てもらって初めて映画になります。基本的には、自分が見たい映画を作ります。その結果として観客にも喜んでもらえれば嬉しいです。

筆者:有名人と会えますか?

和泉谷:一応会えます。緊張するので私自身が大好きな有名人には、仕事で会いたくないですが(笑)。スターは、一映画ファンの私のスターのままでいてほしいので、仕事するかもしれない人って思うのはあんまり好きじゃないです。私は役者さんより大好きな監督さんに会う方が興奮しますけど。業界の集まりでは、どちらかというと監督同士やプロデューサーさんとの交流が中心になります。

筆者:次の目標は?

和泉谷:校正中の長編脚本の撮影。資金集め。執筆中の脚本は、元戦争捕虜のおじいさんと日本人留学生の友情物語です。

筆者:これからの更なる活躍を楽しみにしています。最後に、映画監督を目指す人たちへのアドバイスをお願いします。

和泉谷:自分のビジョンをしっかり持ってください。大変苦労すると思いますが、ビジョンを映像に仕上げ、観客に届けることができる充実感はとても大きいのであきらめないで頑張ってください。

Akiko_with_Camera.jpg

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。