【ひき逃げ死亡事件】事件からサンフランシスコの現状を探る

公開日 : 2021年01月27日
最終更新 :
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▲ホームレスのテント

さて、先日の記事(今日もお花が供えてあります...)の続きですが、

容疑者のトロイ・マッカリスター(Troy McAllistar・45才)は、盗んだ車で信号無視し、事故後車を乗り捨てて逃げ、最終的には2ブロック離れたところで逮捕されています。容疑者は、昨年4月に強盗で収監されたいたものの当時は仮釈放中でしたし、この2ヶ月間に2回捕まってるが収容されていない事など事件当初からなぜなんだと非難が出ています。

押収された盗難車からは、拳銃と覚醒剤の一種"メタンフェタミン(Methamphetamine)"が見つかっています。

コロナよりもドラッグ過剰摂取オーバードーズによる死亡数が多い街

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▲テンダーロイン地区の一角

実は、近年アメリカ国内は、ドラッグの問題が深刻で、それはサンフランシスコ でも同様です。

2020年12月現在で、"ドラッグ過剰摂取(Overdose/OD)"で、621人の人が亡くなっています(abcニュース)この数は、コロナで亡くなっている173人の3倍以上でまさかと思う事なのです。

とりわけ治安が心配される道端に注射針が落ちている現状です。

ODで亡くなる(発見される)場所は、低所得者のアパートの一室、ホームレス用に確保された宿泊施設の中、歩道や道端、公園など。"野垂れ死に"という言葉がありますが、倒れても誰にも助けてもらえず死んでしまう人もいるわけです。この街は気候もいいので道端で寝てる人いますが、ひょっとして死んでいるかもと考えた時、背筋がぞーーとしました。

多く発生している地域は、テンダーロイン地区、ソーマ地区

*事件現場もソーマ地区でしたが、周辺はIT関連の企業があり比較的安全と言われている場所です。テンダーロイン地区の南側にあたる6th ST〜は注意してください*

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▲歩道に注射針散乱

2020年は、コロナのパンデミックの影響もあり"現実逃避"の為につい手が出てしまうのか、2019年(440人)からさらに増えています。値段が安く効き目が強く、錠剤でも手に入る"フェンタニル(Fentanyl)"がかなり出回っているのも増えた原因の一つと言われています。フェンタニルで意識不明になった人の救急処置した方の話を聞く機会がありましたが、素人でも判断がつくほど瞬時に顔色が青ざめ同時にバタリと倒れ呼吸は停止したそうです。人工呼吸を始める、救急車を呼ぶ...後で分かったのですが、救急車到着時、既に心肺停止だったそうです。(この方、救急措置の知識が少しあったのでできた行動でした)

なぜこんなになっちゃったか考察

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▲観光地でもあるシビックセンター

市は1993年に、HIV患者、C型肝炎患者などの血液感染を防ぐ、薬物による健康リスクを減らすプログラムとして、使用済み注射針の交換を始めました。使った注射針を持っていけば新しい注射針と交換してくれると言う事です。その甲斐があり、2010年のHIV新規感染者106件が、2016年には38件に減りました。新規感染者歯減りましたが、針の交換の明確な規定はなく貰いにいけばもらえる"配布"ばかりになってしまいいていました。2016年には、445万本を配布(その予算が約52万ドル)毎月40万本の針を配り25万本回収(交換)、道路掃除中に1万2千本回収。その回収する人も雇わなければなりません。(それが、ぶっちゃけ私らの税金)

良かれと思ったプログラムが、今や住んでいる私達の悩みのタネ。それどころか仕事や観光でいらした方達には、相当なマイナスイメージとなっています。なので経済的に余裕のある家庭の場合、良い環境を求めて去っていく人さえいます。昨年はコロナでテレワークの環境が整備され、サンフランシスコに住まなければならない理由がない方は、郊外に広いお庭のある一戸建て移り住んだり、今郊外の一戸建ての人気が高まっています。

近年の市の景観の劣化は、正直目に余るものがあります。そして昨年末のひき逃げ事件の容疑者は、ドラッグ使用して運転していたという一部報道もあり、なぜサンフランシスコがこんなになっちゃったのか?今、考えてみないといけないと思いました。

*世界100カ箇所以上の国と地域をコーディネートした凄腕添乗員さんが私に言いました。

「美しい都市の頭文字は、エス(S)が付く。シドニー(Sydney)シンガポール(Singapore)そして、サンフランシスコ(San Francisco)」

*脱サラして世界一周の旅、最後の地に選んだバックパッカーが私に言いました。

「俺、サンフランシスコは最後にとっておこうと思って最後の訪問地にしたんっス^ ^」

*そして、3年前

アメリカ留学中の学生さんが、ご両親に是非見せたくてやってきたサンフランシスコに涙した...

その涙の意味は何なのか?私は聞くことができませんでした...

今回の事件で、サンフランシスコにいらっしゃったご家族の目に写ったこの街はどうだったのか?

ご家族のインタビューを拝見しましたが、思わず「ごめんなさいい」と言ってしまいました。

ドラッグに負けるな、サンフランシスコ!

頑張れや、サンフランシスコ!

これからいらっしゃる皆さんへ

今回、かなり強烈な話で申し訳ありません。

ただ、サンフランシスコ全域に注射針は落ちていませんのでどうぞご安心ください。

ここに限らず、街歩きで気をつけていただきたいのが、治安の悪い場所はどうしてもドラッグユーザーやディラーのたまり場となってしまうので、その場所に行かない事が大切です。この街に限った訳ではありませんが、どこが治安の悪い場所かは"その街の人"に聞くのが一番です。私も初めての街の場合はそうします。

"フェンスや鉄格子が目立つ" "道路が汚れてる"場所は、経験上治安の悪い場所です。また、怖いなと思ったら近づかない事も安全な旅をする上でとても重要ですね。

今しばらく、旅行が難しい状況ですが、ワクチンのニュースなど明るい材料もあります。もうしばらく我慢して安心して旅行ができるようになったら是非"頭文字Sの世界の三美都市"のサンフランシスコにいらしてくださいね。

参考記事(こちら

筆者

アメリカ・カリフォルニア州特派員

美丸(Mimaru)

サンフランシスコ在住ビアジャーナリスト。全米のクラフトビール探求の日々、訪問したブルワリー、タップルーム情報は随時投稿。

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