【アメリカのお葬式】今更聞けない習慣とパンデミックストレス

公開日 : 2020年10月09日
最終更新 :
チャペル1 - 1.jpeg

▲葬儀会場

先日再び葬儀に参列しました。そしてさらに前後して周囲でおふたり、まだ働き盛りの年代で亡くなった方がいます。今年2020年はいまだかつてないほど訃報を耳にしています。

今更聞けないお葬式のこと

チャペル2 - 1.jpeg

▲静かな式場

さて、先日のお葬式で少しわかったことがあったので、私の事例で少しお話しさせていただきますね。多分"アメリカ""お葬式"とかでググるといくつか出てくると思いますが、体験談として紹介します。

まず、日本で言うところの「お葬式」は一般的に"お通夜"と"告別式"を合わせてお葬式と言うと思いますが、こちらは"フューネラル(funeral)"と"メモリアル(memorial)"と別のものだということがわかりました。

*Funeral:葬儀・告別式・葬式

*Memorial:追悼・記念式

若干意味が違います。まわりで今年亡くなった方はすべて日本人(日系人)なので、日米半分半分、日本人参列者の間ではお葬式と言っていました。しかし年齢的にも葬儀とは縁遠く、メモリアルしか参列したことがない人たちばかりだったのです。メモリアルとは、お別れ会・追悼式のこと(なるほど)。

では、フューネラルとはどこまでを言うのか? 一般的なアメリカのフューネラルについて

①ビューイング(棺に収まった遺体のお顔拝見)

②ラビ・神父/牧師・弔辞(社会的立場、遺族の関係でさまざま)

先月亡くなった最高裁判事ルース・B・ギンズバーグさんの葬儀は、最近のアメリカでかなり正式な葬儀だったようです。

③出棺(霊柩車で火葬場に向かう)

という流れ、後日メモリアル(お別れ会)を行います。

先日の友人のフューネラルでは、

①白いお花に囲まれた祭壇の棺に眠る友人のお顔拝見

②職場の上司の挨拶・世話人の方の挨拶・親しい友人の思い出話(2時間ほど)

③棺が閉められ隣接している火葬場で荼毘に伏される

火葬場まで移動しなければならないので、おおむね出棺までで終わりますが、火葬場が隣接していたので火葬場へも希望者は参加できました。火葬炉は陶芸用の窯のようで上下に開いてるドアの向こうにゴーゴーと真っ赤な炎がガラス越しに見えました。ビューイングまでの立派な棺から燃えやすい棺型の段ボールになり、係の方がその棺を炉の中に静かに移動させ、親友がクローズのボタンを押しました。

冷めるまでチャペルの外で待つこと3時間。声がかかりチャペルに入り大きめのトレーに遺灰(遺骨)がのせられ、脇に骨壺が用意され、"収骨・ボーンセレモニー(bone ceremony)"が始まりました。 親しい人からお箸を使い、骨を入れていきました。日本では骨壺に入れる順番があるそうですが、ここではあまり関係ないようでした。アメリカなのでトングで拾うのかと思いましたが......

火葬(Cremation)・収骨まで、その日に執り行われた式でした。

日本のようにきちんと決まった流れはありませんが、わかったことは棺の遺体から火葬までをフューネラル、祭壇に遺骨を祀り故人を偲ぶのがメモリアル。今更聞けないお葬式の話でした。

お葬式についてまとめ

喪服 - 1.jpeg

▲喪服

お葬式の流れ以外にも細かい今更聞けないことをまとめてみました(病院で亡くなった場合)

*亡くなってすぐに葬儀は執り行いません(火葬の日取りが決まってから葬儀の日時を決定)

その間葬儀屋さんが保管しておきます。葬儀までの間、遺体の面会はできません。日本から遺族がいらっしゃって遺灰を持ち帰りたい場合は葬儀場で手配してくれます。遺灰の観念は日米違いますので航空会社によって若干扱いが違います。特に国内線を利用される場合はご注意。

*服装は基本"黒"

日本ほどきちんとした喪服は必要ありませんが、日系人(日本人)のお葬式の服装は、やはり黒が無難です。アメリカ人のお葬式ではグレーやネイビーブルーでもOK。カジュアルでも襟のついたシャツ、ポロシャツにボトムというところでしょうか。意外に困るのが黒のストッキングでした。(日本に帰ったとき、お葬式セットを持ってきました)

*香典

ある葬式の受付をしたとき、日本人以外の参列者の香典は$ゼロ$でした。日本人の方は、香典袋(日系スーパーやダイソーで購入できます)に$20〜40を包んでいました。相場はなかなかわかりにくいですが、参考まで。日本から家族がいらしている場合は、直接渡せるといいですね、日本円を包むのがいいでしょう。この場合の相場は3000〜5000円と聞きました。香典袋が手に入らないときはシンパシーカード(Sympathy Card)で代用できます。香典返しも考え、内袋には英語で名前と住所を書いておく。

*香典返し

アメリカでは、切手のシートを送るが一般的です。日本に比べて支払いを小切手で郵送することが多いのでその名残り。いまはギフトカードも増えているようですが、私1回も香典返しをもらったことはありません。あまり期待せずにいましょう。

パンデミックストレス

2020年コロナ禍。仕事を失った方、仕事が減った方、テレワークで自宅勤務、外出禁止で外にも出れず......とにかく外部との接触が著しく制限されました。最近は経済活動再開に向けて日々リオープンになっていますが、それでも半年間はとても狭く孤独な空間での日常でした。

アメリカ疾病予防センター(CDC)で6月24〜30日、5470人を対象に行われた調べ(こちら)パンデミックによるメンタルヘルス健康悪化を感じている人が41%もいたんです。何ならかの不安状態や鬱の症状を経験した人が31%。パンデミックにより外傷性・ストレス関連障害(Trauma- and Stressor- Related Disorder/TRSD)の症状が出た人が26%。ストレスに対処するために飲酒や薬物を開始あるいは摂取量増加した人が13%。18〜24歳までマイノリティー、エッシェンシャルワーカー、介護(無給)が多いとありました。この不安障害は2019年に比べて3倍以上、鬱病は4倍以上(アジア人で自殺を考えた人は13%)、自殺防止のサービスラインや病院の遠隔治療で悪化の防止もありますが、母国語での対応が孤立感不安感を和らげてくれると思いうのでぜひお願いしたいです。

参列したお葬式や訃報、コロナで亡くなった方はありませんが、飲酒などが原因で緊急搬送で呆気なく亡くなる、心肺停止でICUへ搬送、しかしコロナで面会できない、病気が急変しERに行っても面会はなかなかできず看取られず亡くなる、新天地を求め引越し先へ向かう途中エコノミー症候群での突然死(自宅待機で慢性的運動不足)、直接コロナではないけどコロナが原因の一端のようなものも見られました。家族と離れひとり異国の地で生活、実はそれ自体がたいへんなストレスなのだそうです。そこへ今回のコロナでどれだけの孤独を感じているか胸が痛みます。私も少し違えば同じだなと思います。

本当にもうウンザリです。

1日も早く収束してほしいです。

*お葬式のあれこれは私が今年これまでに経験したことをもとにしていますので、詳細はやはり何度か経験されている方に聞いてくださいね*

筆者

アメリカ・カリフォルニア州特派員

美丸(Mimaru)

サンフランシスコ在住ビアジャーナリスト。全米のクラフトビール探求の日々、訪問したブルワリー、タップルーム情報は随時投稿。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。