終戦の日とゴボウ 〜食の雑記〜

公開日 : 2019年08月16日
最終更新 :
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お盆の最中に、筍を見つけたよ。

大人の二の腕くらい太さで、知ってる人から見たら「硬すぎて食えん!!」という色と大きさ。

試しに買ってみたら、包丁が入らないほど硬かった。

硬いところは削ぎ落としてなんとかお味噌汁の具になった。

アジア系が多いベイエリア・サンフランシスコでは、こうしたアジアの人たちくらいしか食べないだろという食材もファーマーズマーケットで見かける。 以前紹介したウメ、赤シソや"ヤマゴボウ""モロヘイヤ" も名前は違っても売られているんでとっても嬉しい。

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また、フェリービルの市場では、見たこともないような初めて見るような、「これどうやって食べるの?」なんてのがよくある。

ホースラディッシュ - 1.jpg

↑ これなんの根っこ?おろして使うだけってホースラディッシュ、簡単におろせるようで結構硬い><

令和最初の終戦の日

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終戦の日、食に関しての講演会のこぼれ話を聞いた。 

食の文化・食育で先生は必ず話すのが 『ゴボウ(バードック・Burdock)』の話

『第二次大戦中、東京俘虜収容所第4分所(今の新潟県上越市)でオーストラリア人捕虜が虐待を受けた。 戦後横浜軍事法廷で、捕虜虐待の罪で当時の警備員8名がB・C戦犯として死刑となり、処刑された。 どんな虐待だったかというと 捕虜の人達に "ゴボウ料理" を出しこれが虐待に当たるという「木の根っこを食べさせられた」という証言が認められた為だった』

日本人にとっては、ゴボウの香りや食感はとても美味しく感じ、普通に食べられている食材でも、オーストラリア人にとっては木の根っこでしかなかった。 講演者の先生は、食文化の違いの例題としてこの事件を話すそうだ。

実は、「木の根っこなんか食えるかぁ〜!!」話はベトナム戦争を経験した方から聞いた事があった。 

「ゴボウを食べたことない人にゃ美味さは分かんないよなぁ〜」ちょっと欧米人を小馬鹿にした笑い話かと思ってたが、本当にあった話だったとはなんて無知なアタシ。 その方は、当時の衛生面を考えて街中でフォーを食べる気にはなれず一回も食べなかったけど地元の人が美味そうに食ってる様子を今でも思い出し、今度は本場のフォー食べにベトナムに行ってみたいとアタシと同じ夢を持っているベテラン(Veteran)だ。

フェリービルのファーマーズマーケットでも冬場ゴボウを売っていた時期があった。 買う時に農家の方はこの野菜はどうやって食べるか知っているか聞かれたのを覚えてる。 しかし買っていく人はほとんどいなくてよくオマケしてもらった。 よく年からゴボウは売らなくなった...残念

Salsify - 1.jpg

↑『サルシファイ(Salsify)』

ゴボウととてもよく似ていている根菜。 日本では "菊ゴボウ(西洋ゴボウ)" と言われるようだ。 皮をむくと白くて軽く炒めるとシャクシャクとした食感で美味しいといえば美味しいけどゴボウのような香りはない。 ヨーロッパではポピュラーだそうで、特にベルギー・フランスあたりでは "冬のアスパラガス" と言われてるらしい。 こちらではミシュランレストランなどで冬場添え物として見かける野菜。

新潟の第4分所では、他にアメリカ人、イギリス人、オランダ人兵士も収容されていたらしいが、ヨーロッパの食に通じていれば「根っこ」なんて思わなかっただろうな "食の強要" 虐待の罪で処刑され事はなかったかもししれない。

偶然終戦の日に聞いたこぼれ話だった。 

折角、美食都市サンフランシスコにいるんだから、畑と台所が最も近い街にいるんだから、いろんな食材にトライしてみたい、びっくり仰天な食べ物はみんなにシェアしたい。 

知らなかった事で悲劇や喜劇にならないように...

>>> 今回はサンフランシスコからの話題というより食に関しての話でした、読んでくれてありがとうございました(ぺこり)

筆者

アメリカ・カリフォルニア州特派員

美丸(Mimaru)

サンフランシスコ在住ビアジャーナリスト。全米のクラフトビール探求の日々、訪問したブルワリー、タップルーム情報は随時投稿。

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