【大分県】船で10分の離島 大入島で脈々と続く「百万遍数珠繰り」

公開日 : 2020年04月17日
最終更新 :

はじめまして!

2017年に大分県佐伯市に移住してきました、特派員の中村です。
2019年にオープンしたゲストハウスを経営しています。


大分県佐伯市には、絶景スポットや絶品グルメ(主に海鮮)がたくさんありますが、私はおもに
「地元の人が集う」
「あまり知られていない」
「一部のコアなファンに人気」
ということをキーワードに、特派員として情報を提供できたらいいなと思っています。


さて、そんな私が移住当初から注目している超ド級のローカルイベントがあります。

人に紹介したいようでしたくない、でもやっぱり紹介したくなっちゃう、絶妙なユルさのイベントです。

絶妙ポイント
① 島民(しかもおもに高齢者)のみで淡々と行われている
② 知り合いの知り合いでも、初めての参加でも、常連かのようにめちゃくちゃ歓迎してくれる
③ 「疲れたなあ」「あと何回?」とめちゃくちゃ面倒臭そうに行われている
④ なのに開催は「4ヵ月に1回」と高頻度

そうなんです。大入島(おおにゅうじま と読みます)も全国の離島の例に漏れず少子高齢化が進む島。
佐伯市街地から定期船(1時間に約1便)で10分ほどの利便性抜群な離島であるにもかかわらず、やはり若者は島の外へ......。
という課題を抱えつつも島民は明るく、外から来た人にも寛容で優しい。
定年を迎えてUターンで帰ってくる島民も多いです。そのくらい、居心地がよく、地元愛の強い人たちが暮らしています。

毎年行われる島まつりでは、島の人&町の人が一緒にフラダンス。みんな笑顔でゆるーくかわいく踊ってくれるわけです。笑顔に年齢なんて関係ないですね。

島ならではのゆるさが際立つ、「梅干しタネ飛ばし大会」や「絶叫大会」で大いに盛り上がります。

そんなにぎやかな島のお祭りがある一方で、4ヵ月に一度、脈々と行われているイベント。
百万遍数珠繰り(ひゃくまんべんじゅずくり)です。

ひと玉の直径が500円玉ほど、厚み2cmほどの大きさ、数珠の長さは7~8m?くらいの数珠を常時10人くらいの人が入れ替わり立ち替わり廻します(お経を唱えながら......)。

これをノンストップで廻し、真ん中のおじいさんが周回数をカウントします。
その数なんと、1000回......!
(途中で電話がかかってくるとその間は数えていないのでカウントされず......なので実質は1050回くらい廻しているでしょう......笑)
みんな「まだ終わらんのか」「今何回?」「あー腕が痛てぇ」」と早くやめたいムードでおしゃべりしながらもけっこう楽しそうにしています。

この数珠繰りが終わったら、みんなで廻した大きな数珠でお坊さんが一人ひとりの身体の不調な部分を叩いてくれるわけですが、この時も「頭を治してもらおう」とか「全部治したいわあ」とか、楽しそうにはしゃぐわけです。
この空気感は一見? 一感?の価値ありです。


さて、かなり和やかな百万遍数珠繰りですが、「なぜ」始まったのか、詳しく載っている記事があったので引用させていただきます♪

7日、10日と期間を定めて100万回念仏を唱えることにより、自身の往生や願いを叶えたり、亡くなった方を供養したりするものです。

現在では、数珠を持ちながら複数の人々で「南無阿弥陀仏」を唱え、互いの念仏を足して100万回とすることが多いようです。

元々は、「阿弥陀経」の中に記載がある「7日間不眠不休で阿弥陀の陀羅尼と呼ばれる句を唱える行法」だったのですが、知恩寺の善阿空円によって、今のような数珠繰りをしながら百万遍念仏を唱えるものとして変化を遂げました。

きっかけは疫病が蔓延していた鎌倉時代末期の元弘元年(1331年)の頃、当時の後醍醐天皇が善阿空円に対して疫病を鎮めてほしいとの命を下したそうです。その命を受けて7日間の百万遍念仏を行い疫病を鎮めたところ、知恩寺はその功績から百萬遍という名前を授かりました。これが今の京都にある百萬遍知恩寺です。

このような出来事から百万遍信仰が始まり、各地に広まっていったようです。

いい葬儀

7日間で百万遍念仏を唱えて疫病を......(現代でこんなこといったら「根拠は?」とかいわれちゃいそうですね)。
意識していなかったのにまさかのタイムリーな疫病の話になってしまいました!
今も昔も、人間は疫病と戦ってきたのですね。

さて、私はこの百万遍に4回ほど参加したことがあります。

あるとき、私は韓国から来た友人ふたりを百万遍数珠繰りに連れて行ってみました。
私が行きたいという気持ちももちろんですが、言葉の通じない人がいきなり地域のイベントに参加したらどうなるのかを見てみたかったのです。

結果、すんなり溶け込みごはんまでごちそうになっていました!笑

大入島に限らず佐伯の人たちは、すぐに仲良くなります^^
「はじめまして」の人がいても、変わらぬ空気感で接してくれるのです。
なんと居心地のいい場所なのだろう!

有名な観光地でもないし、自分の出身地でもないけれど、行けば笑顔で迎えてくれて、なんとなくゆったり過ごせる「何もしない」をできる場所。

今日は大分県佐伯市の大入島で年3回行われている地域のイベントをご紹介しました。

【百万遍数珠繰り情報】

▶︎年3回
・1月18日
・5月18日 ※新型コロナウイルスの感染予防のため、2020年は開催中止となる可能性があります。
・9月18日
※平日・休日にかかわらず開催

▶︎日向泊(ひゅうがどまり)公民館付近の「普該庵」にて

▶︎スケジュール
朝9:00頃〜数珠繰りスタート (途中参加・途中退場あり)
終わり次第公民館へ移動してみんなで昼食

現代の新型コロナウイルスの場合は、家に留まることが極めて重要といわれていますが、終息した折には古の人々が疫病を追い出すために脈々と行なっていた百万遍数珠繰りを体験しに、ぜひ大分県佐伯市大入島へお越しください♪

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