永遠の都ローマにある緑のオアシス"ボルゲーゼ公園"
こちらローマを州都とするラツィオ州では、2020年10月3日以降より屋外でもマスク着用が完全に義務化されることになりました。そして、違反者は罰金として€400(日本円で約5万円)が科される厳しい措置がなされています。さらにこの措置は、2020年10月7日よりイタリア全土にも拡大されることになりました。
さて、今回は新型コロナ第二波のなか、近場の散策で訪れた永遠の都にある緑のオアシスを紹介したいと思います。その緑のオアシスの名称は、ローマの旧市街の北側の方にあり、自然美を追求したイギリス式庭園のボルゲーゼ公園(伊語:Villa Borghese)です。地図からみてもわかるように80ヘクタール(東京ドーム17個分)の規模を持つ広大なボルゲーゼ公園は、ローマっ子でもよく知られたデートそして、散歩スポットで、まさに都会という名の砂漠のなかにあるとても広大なオアシスです。
このボルゲーゼ公園の歴史は、永遠の都ローマにしては比較的新しく、19世紀頃に大きく改修されたときが現在の姿に近いとされています。さらに歴史をさかのぼると1650年頃にブドウ畑があったこの場所にローマ史上最大の公園にしようとしたことが始まりとされていますが、19世紀頃にイギリス式庭園に改修されたあと、長い非公開期間を経て、ローマ自治体がその土地を買い取り、正式に公園となっています。
ボルゲーゼ公園では、17世紀頃にカトリック教の最高顧問で枢機卿のスピキオーネ・ボルゲーゼ(伊語:Scipione Borghese)が構想したものを建築家のフラミニオ・ポンツィオ(伊語:Flaminio Ponzio)が造成し、枢機卿のヴィラ(庭園)、美術コレクションを収める家として建てられたことから一部ではその遺跡を見かけることができます。
この広大なボルゲーゼ公園もいまはローマで2番目の規模となっていますが、公園の南側にあるピンチョ(伊語:Pincio)の丘から眺めるローマの一望はまさに絶景です。
また、公園内にある小さな池では、手軽なボート遊びをすることができます。その池の景観を飾る神殿はアスクレーピオス神殿と呼ばれ、19世紀頃に純粋に景観の一部として建てられました。アスクレーピオスは、ギリシャ神話に登場する名医で死者を蘇生させるという優れた名医としても知られ、彼の持つ杖は、新型コロナウィルスで近年ニュースになることが多いWHO(世界保健機関)のマークにある杖の由来となっています。そして、池を中心にした景観もイングランドのウィルシャーにあるストウヘッド湖の影響を受けたとされています。
さらにボルゲーゼ公園には、枢機卿のスピキオーネ・ボルゲーゼが夏の別荘として建てられた建物がありますが、現在はボルゲーゼ美術館(伊語:Museo e Galleria Borghese)として使われています。そこではローマでももっとも尊敬を集めるバロック芸術の巨匠のジャン・ロレンツォ・ベルニーニやバロック期のイタリア人画家のカラヴァッジョとイタリア・ルネッサンスそして、バロック美術の鑑賞を楽しむことができます。次回のローマ2特派員の記事では、このボルゲーゼ美術館を取り上げてみたいと思います。
このように想像できないような広さを持つボルゲーゼ公園は、ローマの旧市街に隣接している緑のオアシスでもあり、公園内にあるさまざまな彫刻を眺めるだけでもすてきな時間を過ごすことができ、カフェやレストランも併設されているので、旧市街散策に疲れたときは、ちょっと心が休まるのでいいかもしれません。
筆者
イタリア特派員
田澤 龍太郎
現地でサッカーを中心にしたスポーツ留学サポートや旅行アシスタントやコーディネーター等と現地在住の強みを活かした仕事をしながらどっぷりと濃いローマライフを満喫中。
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