ローマ市民によって建てられた聖母マリアの教会

公開日 : 2019年09月01日
最終更新 :

前回、この特派員ブログでもご紹介させて頂いたローマの北の玄関口と言われたポポロ広場(伊語:Piazza del Popolo)には、ローマ市民が資金を負担し、建てられたサンタ・マリア・デル・ポポロ教会(伊語:Basilica di Santa Maria del Popolo)があります。現在は外観の修復工事が行われている最中ですが、極上の芸術品の宝庫とも言えるこの教会は、礼拝堂ながらも各時代の作品が豊富です。広場の北側のポポロ門(伊語:Porta del Popolo)に建つこの教会がある場所に埋葬され、地縛霊となった歴代ローマ皇帝の中でも悪名高い皇帝ネロの霊を追い払うために1099年に最初の礼拝堂が建築されたのが始まりとされます。

※前回の特派員ブログはこちら

Basilica Parrocchiale Santa Maria del Popolo.jpg

教会に足を踏み入れると、骸骨を使ったモチーフや彫像が目につくこの教会は、何かと不気味で異様な雰囲気に包まれます。数あるローマ教会の中でももっとも独特な雰囲気を感じさせてくれます。

Basilica Parrocchiale Santa Maria del Popolo_3-COLLAGE.jpg

教会の左側の通路沿いにあるキージ礼拝堂(伊語:Cappella Chigi)は、盛期ルネッサンスを代表する画家の一人、ラファエロ(伊語:Raffaello Santi)が手がけ、100年後にやはり、ローマのために生まれたと言っても過言ではないジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(伊語:Gian Lorenzo Bernini)によって完成されています。この二人の巨匠が手がけている礼拝堂は数あるローマの教会の中にある礼拝堂でも最高傑作とも言えます。

Basilica Parrocchiale Santa Maria del Popolo_8.jpg

ダン・ブラウンの小説そして、ミステリアスなスリラー映画「天使と悪魔」の舞台として知られるこのキージ礼拝堂では、やはりベルニーニの作品である「ハバククと天使(伊語:Abacuc e l'angelo)」、「ダニエルとライオン(伊語:Daniele e il Lione)」の彫像が見るものを惹きつけてくれます。

Basilica Parrocchiale Santa Maria del Popolo_9.jpg

そして、教会の右側の通路沿いには、ローヴェレ家の礼拝堂(伊語:Cappella della Rovere)があり、繊細なタッチが絶妙なルネッサンス期のイタリア人画家のピントリッキオ(伊語:Pintoricchio)の作品があります。

Basilica Parrocchiale Santa Maria del Popolo_24.jpg

中央祭壇の左側にあるチェラージ礼拝堂(伊語:Cappella Cerasi)には、ルネッサンス期の後のバロック期に登場したカラヴァッジョ(伊語:Caravaggio)というイタリア人画家が手がけた作品が左右側面に飾られており、光と陰の明暗を明確に分けた表現が見事というべき素晴らしい油彩画があります。作品名は、右の側面が「聖パオロの改宗(伊語:Conversione di San Paolo)」となり、左の側面には「聖ペテロの磔刑(伊語:Crocefissione di San Pietro)」が飾られています。この祭壇の中央に飾られているのが、カラヴァッジョと並ぶもう一人の巨匠のアンニーバレ・カラッチ(伊語:Annibale Carracci)の聖母被昇天(伊語:Assunzione della Vergine)でこの作品もまた、魅力があります。

Basilica Parrocchiale Santa Maria del Popolo_34.jpg

主祭壇には、聖母マリアを祀る教会だけあって、市民のためと言うべき聖母(伊語:Madona del Popolo)が飾られています。また、11世紀創建のこの教会は、ルネッサンス期を経て、16世紀頃に現在の姿のバロック様式となっています。

Basilica Parrocchiale Santa Maria del Popolo_10.jpg

このようにこのサンタ・マリア・デル・ポポロ教会には、各時代の絵画、彫刻、建築が飾られており、まさに美術館というレベルを持つ教会で魅力がたくさん詰まっています。ローマでも有名な観光地であるスペイン広場からも散歩感覚で歩いていける距離にあるこの魅力的な教会そして、ポポロ広場を是非、訪れてみてください。

Basilica Parrocchiale Santa Maria del Popolo_7.jpg

筆者

イタリア特派員

田澤 龍太郎

現地でサッカーを中心にしたスポーツ留学サポートや旅行アシスタントやコーディネーター等と現地在住の強みを活かした仕事をしながらどっぷりと濃いローマライフを満喫中。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。