素朴で着飾らない街"ローマ"で味わう伝統的なローマ料理

公開日 : 2018年06月17日
最終更新 :

美味しい料理を食べたり飲んだりするのはその国の人々の暮らしの中心であるようにここ美食の国の一つであるイタリアでは、イタリア料理そのものが存在しないと言われています。長い歴史の中で都市国家として都市ごとに文化が築かれてきたこの国では、 "ナポリを訪れるならナポリを州都とするカンパーニャ料理"、"シチリアを食べ歩くならシチリア料理"、"ローマならばローマ料理"と謳われるようにその地ならではの料理が存在しています。

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画像提供:Rifugio Romano

このようにイタリアでは地形や歴史的な背景から培われた風土や文化を持ったそれぞれの地域特有の料理が存在します。今回は、ローマ2特派員としてローマ在住の特派員ならではの伝統的なローマ料理をご紹介します。

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画像提供:Rifugio Romano

ラツィオ州を州都とするローマの料理は重たい料理が多いと言われているが、その美味しさは損なわれることなく、癖になる味が多いことからも、世界中からの観光客にとってもその料理に魅入られる人も多いようだ。

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画像提供:Rifugio Romano

その代表的なローマ料理の一つに卵黄と羊の乳から作られたペコリーノチーズ、ベーコンを使ったパスタで日本でも良く知られる"カルボナーラ(伊語:Carbonara)"がある。それ以外にもバターや生クリーム、パルミジャーノチーズを用いた"アルフレード(伊語:Alfredo)"やトマトソースとベーコンのパスタである"アマトリチャーナ(伊語:Amatriciana)、ペコリーノチーズと胡椒だけのシンプルパスタのカーチョ・エ・ペペ(伊語:Cacio e pepe)が代表的なローマのパスタとされています。

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画像提供:Rifugio Romano

労働者向けに作られたと言われるスタミナ満点の"カルボナーラ"やローマを訪れたアメリカ人の観光客に人気だったと言われる"アルフレード"、ローマの北東約100kmの村アマトリーチェ(伊語:Amatrice)が起源の"アマトリチャーナ"、羊飼いが簡単な昼食として思いついた"カーチョ・エ・ペペ"とそれぞれの料理の由来や歴史的背景を探れば、その料理の魅力をより一層感じられる。

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画像提供:Rifugio Romano

また、ローマでは動物の内臓を使った料理が多いとされる。このような食文化が生まれた歴史的な背景には、昔のローマには食肉を提供する屠殺場があり、精肉した後の売れない部分を労働者たちが日当の一部として受け取って、レストランで料理してもらっていたことから内臓等をふんだんに使った独自の料理が発展したと言われています。その代表的な一例が、牛の胃袋を煮込んだ"トリッパ・アッラ・ロマーナ(伊語:Trippa alla Romana)"とトマトとセロリ、玉葱等を赤ワインと絡めて牛の尾を煮込んだコーダ・アッラ・ヴァッチナーラ(伊語:Coda alla Vaccinara)です。

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そして、ローマには野菜の一種として若いつぼみを食用とするアーティチョーク(伊語:Carciofo)が人気のある食材の一つで、この地域のカルチョーフォ・ロマネスコ(伊語:Carcifo Romanesco)は、イタリアの中では一番丸っこく、肉厚で味も美味しいとされています。春先にしか味わうことができない癖のある味が魅力的なカルチョーフィ・アッラ・ロマーナ(伊語:Carciofi alla Romana)は旅行するタイミングが合えば、是非とも味わって頂きたいローマ料理の一つです。

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画像提供:Rifugio Romano

さらにローマ料理のお惣菜類の中にあるスップリ(Supplì)と呼ばれるライスコロッケは、ローマの人たちのソウルフードの一つとして老若男女問わず人気がある。そして、自分好みの量で売る"切り売りピザ"もローマならではで、揚げ物類として干し鱈のフリットやズッチーニの花のフリットもまたローマの街を歩きながら味わってみるのも楽しい食の旅を演じてくれる。

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皇帝の存在から考えても華やかなローマ帝国時代といった優雅なイメージのある永遠の都"ローマ"ですが、それとは裏腹に労働階級に位置する人たちすなわち貧乏人の発想から生まれたローマ料理は、今や世界でももっとも知られる料理の一つとなり、多くの人たちに受け入られています。まさにここでも素朴で着飾らないローマ人の気質を感じることでしょう。

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筆者

イタリア特派員

田澤 龍太郎

現地でサッカーを中心にしたスポーツ留学サポートや旅行アシスタントやコーディネーター等と現地在住の強みを活かした仕事をしながらどっぷりと濃いローマライフを満喫中。

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