古代ローマ時代の保養地。そして、現在のローマの行楽地"ティヴォリ"を訪ねて

公開日 : 2018年05月03日
最終更新 :

ローマの東側にあるちょっとくたびれた住宅街や工業地帯を抜けると、丘の上にあるこぢんまりとした可愛らしく小さな町"ティヴォリ(伊語:Tivoli)に辿り着くことができる。この町は市内や郊外を含めて2つの世界遺産を持ち、それだけでも訪れてみる価値があるが、町自体もローマ市から約30kmのところに位置し、標高235mと自然豊かな丘陵の町で、手軽にゆったりと日帰り旅行ができる穏やかな町です。

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この町の見所の一つである"ヴィラ・エステ(伊語:Villa d'Este)"は、教皇争いに敗れ、1550年からティヴォリで隠居生活を始めたイッポリート・デステが当地にあったベネディクトの修道院を贅沢な屋敷へ改築し、庭園における噴水のあり方の革命を起こしただけではなく、欧州の庭園に大きな影響を与えたとされるイタリアでももっとも美しい庭園です。

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16世紀半ば頃から建てられ始め、45ヘクタールの広大な敷地を持つ後期ルネッサンスの代表的なこの庭園は、2001年に世界遺産に登録され、ギリシャ・ローマ時代をモチーフにした芸術的な噴水がいくつか見られ、その緑豊かな庭園と共に心から癒される場所に出会えます。

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このヴィラ・エステでは、ティヴォリの豊富な水を利用した噴水たちがこの庭園の美しさを醸し出しており、その中でも百の噴水(伊語:Cento Fontane)からゆっくりと流れ出る水音は心を落ち着かせてくれます。

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水を10m以上噴き上げることができる壮大なネプチューンの噴水(伊語:Fontana di Nettuno)、水流を利用してオルゴールシリンダーを回すオルガンの噴水(伊語:Fontana dell'Organo)は、2時間置きに美しい音色を奏でている。まさにここヴィラ・エステの大きな特徴の一つとも言える。

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ローマの街を再現したロメッタの噴水(伊語:Fontana di Rometta)もローマ市内のスペイン広場にある小船の噴水(伊語:Fontana della Barcaccia)を模した噴水があり、それはまさにテヴェレ川に浮かぶ小舟のような感じを受ける。きっとローマを観光した後に当地を訪れると興味をそそられるだろう。

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そして、ティヴォリ市内を流れるアニエネ川に架かるグレゴリアーノ橋(伊語:Ponte Gregoriano)からは、シビッラ神殿(伊語:tempio della Sibilla)の姿を眺めることができる。また、現在は整備され、緑豊かな自然公園になっている"ヴィラ・グレゴリアーノ(伊語:Villa Gregoriano)"は、教皇グレゴリウス14世が1845年に造った迫力のある別荘地でそこではスケールのある大滝を間近で見ることができる。このようにここティヴォリでは日本でまだあまり知られてない美しい景観に出会うことができます。

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ティヴォリ市内から約6km離れた場所にある1999年登録のもう一つの世界遺産"ヴィラ・アドリアーナ(伊語:Villa Adriana)"は、118年より広大な別荘としてハドリアヌス帝が建設したとされる。現在も考古学調査が続けられているこの別荘地は、ローマ帝国の度合いで考えてみてもかなり格別とも言える豪勢さを誇っています。

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別荘地というよりも広さ120ヘクタールという規模とその遺跡から小さな町がしっくりくるハドリアヌス帝の別荘は、旅好きで知られる皇帝が旅先で見かけた建造物を参考にして自ら設計したとされている。

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建物の玄関に導くポルチコのある広大な貯水池(ポイチレ/Pecile)は、皇帝が散歩した場所で知られ、この遺跡のハイライトの一つカノプス(Canopo)はエジプトのアレクサンドリア近くのセラピス神殿をモデルとしており、細長い水路はナイル川を表しているとされている。また、風呂好きで知られるローマ人らしく大浴場や小浴場もこの別荘にしっかりと備えられていた。

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そして、皇帝の趣味そのものが顕著に出ている"海の劇場(Teatro Marittimo)"は、人工池の中に島があり、皇帝の隠れ家のような館が建っていたとされているが、まさに1900年以上も前のものとは思えないユニークで壮大な仕組みを実感することができる。

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別荘地として考えるとまさに想定外とも言えるスケールのあるこの広大な遺跡は、1900年以上の歴史を持つだけに一つ一つ丁寧に見るとなると1日はかかるが、ローマの街の喧騒から離れ、落ち着いた空間に出会えるティヴォリは古代ローマの歴史を学ぶのみならず、美しい庭園そして、自然豊かな空気を身体いっぱいに浴びることで何かと爽快な気分にさせられる魅力を持つ町です。

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皆さんのローマ観光滞在の合間に1日使ってでも行く価値のあるこのティヴォリの町への日帰り旅行は後悔のないローマ滞在と導いてくれることでしょう。

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【ローマ市内からの日帰り旅行においてのお勧めのアクセス方法】

地下鉄B線ポンテ・マンモロ(伊語:Ponte Mammolo)駅よりCotral社の長距離バス(プルマン)にて。但し、ティヴォリ郊外にあるヴィラ・アドリアーナ(伊語:Villa Adriana)付近を経由するバスは本数が少ないため、午前中にヴィラ・アドリアーナを観光されてから午後にゆったりとヴィラ・デステ(伊語:Villa d'Este)を観光する方法が効率良い。

復路はヴィラ・デステに近く、ティヴォリ市内の中心となるガルバルディ広場からは頻繁に出ているポンテ・マンモロ駅行きのバスにて。

※列車でもティヴォリまでアクセスは可能ですが、駅から中心街まで離れているので、長距離バスが一番お勧めです。

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筆者

イタリア特派員

田澤 龍太郎

現地でサッカーを中心にしたスポーツ留学サポートや旅行アシスタントやコーディネーター等と現地在住の強みを活かした仕事をしながらどっぷりと濃いローマライフを満喫中。

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