ロシアのウクライナ侵攻のイタリアへの影響

公開日 : 2022年03月31日
最終更新 :

2022年2月24日に開始したロシアのウクライナへの軍事侵攻から1ヶ月が経ちました。

この1ヶ月に、ローマで見聞きしたこと、感じたことなどを、そのままお届けしたいと思います。

まず、ウクライナへの侵攻が始まった日の24日は、当方はそのことを知りませんでした。というのは、その日、突然家が断水になってしまい、その対応に追われていました。朝に蛇口をひねると水が出ません。急に工事が始まったのかもしれないと思い、住んでいるマンションの玄関のところに行ってみましたが、掲示板には何も貼られていません。お昼頃もまだ水が出ませんでしたので、マンションの管理人に電話をして聞いてみたところ、ローマ市が水を止めたんだ!まったくぅ~っ!といいます。いつまで続くか分からないというため、バケツを買いに行き、近所の歩道に設置されている水飲み場から水を汲んで来ました。その夜、ようやく水が出るようになりました。

翌朝、掲示板のところを見ると紙が貼ってあり「昨日の断水のご説明」などと綺麗にパソコンを使って書かれた紙があります。マンション全体の水道料金は各家庭が管理人に収め、管理人が代表してローマ市に払うのですが、数年前から今月まで、市に請求された水道料金の不足金額がかなりの金額になっており、この滞納分のために、遂にローマ市は水道を止めたとのことでした。しかし、その後、水道会社の計算間違いであったことが発覚し、解決しました。その日の夜に、ニュースを見てウクライナ侵攻を知りました。

Corona 10 marzo 2020 1.JPG

↑【ご注意】2020年3月10日のイタリアのロックダウン初日に撮影したスーパーの画像です。

ウクライナ侵攻から1週間くらいは、小麦の生産地であるウクライナから、今後の小麦の輸入が難しくなる、途絶えてしまうかもしれないという噂が流れました。ローマでは筆者は確認できませんでしたが、ローマ近郊の人口の非常に少ない小さな町に住んでいる友人の情報によると、焦った人達が、スーパーでパスタやパンなどを買い占めてしまったということがあったようです。その後、騒動はすぐにおさまったそうです。

こちらのお写真は、イタリアのロックダウン(イタリア全土封鎖)の開始が宣言された3月9日の翌日の10日のローマのスーパーの開店直後の様子です。

朝一番にスーパーに行きましたが、陳列棚のパスタの部分はもうがらがらの品薄状態です。いつの間にお客さんは買い物をして行ったのでしょうか?! イタリアらしく、パスタやパスタソースコーナーから買い占めが起きています。

Corona 10 marzo 2020 2.JPG

↑この2020年3月10日の様子をもう2枚ご紹介致します。こちらは奥側が、パスタのソースにしたり、ピザに塗ったりして使うトマトソースなどのコーナー、手前が缶詰の豆とコーン類です。いつもは、こちらのスーパーは、商品は隙間がないほど陳列棚にぎっしり詰まっています。ロックダウン開始日は明らかに買い占めが確認されました。

Corona 10 marzo 2020 3.JPG

↑続いて、パンやクラッカー、グリッシーニ、パン粉などのコーナーです。店内にいるお客さんの数もいつもの50%増しに加え、ほとんどの皆さんがひとりふたつずつカゴを持って歩いています。そのほかに品薄が見られた商品は、オリーブオイルや、牛乳、冷凍のピザ、トイレットペーパー、キッチンペーパーでした。

3月5日~25日は、燃料代が高騰しました。ローマでは、この期間はガソリンが1リットル2.3ユーロくらいになりました。1978年以来の高値でした。ローマ近郊の町に住んでいてローマまで仕事に来ている人は、ガソリンの価格が上昇したため、車通勤を止めて電車に切り替えたという話をちらほら聞きました。たくさんの人が電車を使うようになったため、朝も夕方もいつも満員とのことでした。

3月15日は、いくつかの配送会社がガソリン価格の上昇でストライキを行いました。この3日間は、荷物を送れない、受け取れないということがありました。

DSCN3793-1.jpg

3月中旬~下旬は、ローマ市内のホテルの前で、ウクライナからバスで来た人々が降ろされるのを目にしました。 3月27日現在のデータでは、イタリアには、ウクライナから7万人強の人が避難をしてきています。生活を助けるため、イタリア政府から成人には1ヶ月300ユーロ、未成年には150ユーロが3ヶ月間支給されます。

また、インフレで、多くのものの価格が上昇しています。

特に、電気料金、ガス料金は値上がりをしています。昨日、バールの前を通ったところ、入口のところにあるお会計で店長と揉めている客がいました。この店はカプチーノの値段がとても高い。信じられない!この値段なら1時間は店にいたいわ!と抗議をしているようでした。店長の返事は、原材料の価格上昇と店の光熱費などを考えると値上げをせざるを得なかった。1時間といわず2時間いてちょうだい!また来てちょうだい!という説明が聞こえました

今はコロナ禍に加え、世界情勢もとても不安定になっています。

本当に、明日の未来は何が起こるか分からないといった状況です。

確かなものや、絶対大丈夫だと思っていたものも見事に崩れ去って行きます。

私達ひとりひとりが、真剣に自身の人生を見つめ直さないといけない時代になって来たのかもしれません。

筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。