ベルニーニの"蜂の噴水"の修復が終わりました!

公開日 : 2017年06月22日
最終更新 :

先日、ヴェネト通りにある"蜂の噴水"の清掃・修復工事が終了し、真っ白な噴水に生まれ変わりました!

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↑ "蜂の噴水"の置かれているヴェネト通り(Via Vittorio Veneto)は、バルベリーニ広場(写真)から北へ延びるエレガントな通りです。この写真で言うと、右斜め奥の方向から道が始まります。この通りはフェデリコ・フェリーニ監督の映画、"ドルチェ ヴィータ(甘い生活)" の舞台となったことでも知られており、道の両側には高級ホテルやカフェなどが立ち並び、洗練された雰囲気を醸し出しています。バルベリーニ広場には、バロック時代に活躍した、最後の万能の人とも言われるジャン・ロレンツォ・ベルニーニの有名なトリトンの噴水があります。かわいいイルカ(顔は怖い)が上手に尾っぽで海の神トリトンを支えています!

ベルニーニについての過去記事:

2014年4月2日号 やっぱりすごいなベルニーニ。バロック美術巨匠の傑作、天使の矢が聖女の胸を射抜く瞬間 こちら

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↑ こちらが蜂の噴水のある場所です。写真中央に見える白い貝の形のものが噴水で、ヴェネト通りは横断歩道のあるこの位置から写真の左方向へ延びています。この真下が、地下鉄A線のバルベリーニ駅(ローマ中央駅・テルミニ駅から2つ目)です。

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↑ かわいい貝の形の噴水に3匹の蜂が彫られています。広場や地下鉄駅の名称にもある様に、この辺り一帯の広い面積を、ローマ法王などを輩出したローマの名門バルベリーニ家が所有していました。蜂はバルベリーニ家の紋章で、3匹いる蜂のうち、真ん中のものが噴水が造られた当時(1644年)のオリジナルの蜂です。

このすぐ近くの国立古典絵画館(バルベリーニ宮)を訪れた方はご存知かもしれませんが、美術館の大サロンのピエトロ・ダ・コルトーナの素晴らしい天井のフレスコ画、"神の摂理の勝利"にも3匹の美しい蜂が描かれています。ブンブン音を立てて飛んでいそうな蜂です。

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↑ ベルニーニが、当時のローマ法王ウルバヌス8世(在位:1623~1644年)の発注により作成した噴水ですが、元々はこの位置ではなく、二つお隣のシスティーナ通りにあるソデリーニ宮の前に置かれていました。1865年に分解されると、ローマ市役所の倉庫に直行してしまいましたが、1915年にまた出されて今の位置に設置されました。水を汲んだり、噴水の脇で涼んだりする人が多くいる、皆から愛されている噴水の一つだと思います。

噴水の貝殻の部分には、ラテン語で「偉大なウルバヌス8世は、公共の装飾の為に、市民用にこの噴水を含む、トリトンの噴水などを街に作られた。これは1644年の彼の21回目の在位のことである。」と言った内容のことが書いてあります。ところが、噴水の完成時には、"21回目(XXI)"ではなく、"22回目(XXII)"となっていました。

これはベルニーニが、ウルバヌス8世にオマージュで"22回目"と書いたことによりますが、実は噴水の完成当時はまだ21期目で、ウルバヌス8世本人は在位22年目に入る8日前に亡くなってしまいました。当時、"破壊屋"とのあだ名が付けられていたバルベリーニ一族に対して、この件では、「バルベリーニ家は古代の建築物を壊したり吸い上げる(=自分のものにする)だけでなく、時間までも盗む!」と非難が殺到した様で、後にウルバヌス8世の甥っ子、フランチェスコ枢機卿により21年目という表記に戻されています。

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↑ 毎日暑いローマです。この噴水のすぐ近くには、イータリー・ハンバーグレストラン(L'Hamburgheria di Eataly)があります。こちら

この日はアフリカからの高気圧"ユダ"がローマを直撃していたので、ウエイターのお兄さんも暑くてぐったりでした。(が、さりげなくカメラ目線なのでありました)

筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

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