【レンヌ】レトロな雰囲気漂う映画館!シネマ・アルヴォール(Cinéma Arvor)
並んだ円柱を赤いネオンが照らす、そんなレトロな雰囲気の建物はレンヌの映画館。世界中から集めた質の高い映画を上映し、レンヌ市民に愛される場所となっています。今日は、レンヌのほんの少しアンダーグラウンドな世界、シネマ・アルヴォールを紹介したいと思います。
◇人とのつながりを感じるレトロな映画館
メトロ「サン・タンヌ」駅から徒歩5分、1983年からこの場所で運営されている映画館には毎日多くの人々が集まります。一般料金でも9ユーロ、10枚つづりの回数券を使えば1回あたり5.2ユーロ。良心的な価格で楽しめるのもこの映画館の人気につながっています。
切符売り場では、気さくに話しかけてくれるフレンドリーな雰囲気。ちなみに今回観た映画も30分遅れではじまり、そんなおおらかな運営も日本ではあまり体験できないかもしれませんね。
◇多くの市民ボランティアに支えられて運営
実はこの映画館は、市民アソシエーションによって運営されています。建物はレンヌ市の所有で、わずかな賃料で貸し出しをすることで活動を支援しています。
運営ボランティアは現在40名、過去も含めると1200名以上のボランティアの支援を受けながら、今日まで運営を続けてきたそうです。文化・芸術と住民の強い結びつきは、なんともフランスらしいですよね!
◇アンダーグラウンドな映画の実験室
この映画館はフランス語で芸術と実験を意味する「アール・エ・エセ」という認定を受けていて、ヨーロッパの才能ある若者が生み出す独立系の映画や、世界のローカルな映画の上映をおもに行っています。日本では未公開の海外映画や、前衛的な技法の最新映画などを観ることができるため、映画好きの方にはおすすめのスポットです。
◇日本の映画も上映
今回観たのは、「日日是好日」という日本映画。森下典子さん原作の作品で、樹木希林さんの出演する最後の映画としても話題となりました。茶道という日本らしいテーマとあって、満席になるほどたくさんのフランス人の方々が足を運んでいました。繊細で感覚的な茶道の精神。皆さんがとても興味深げに観入っていたのが印象的でした。
上映後には、日本人の方による茶道のお手前のデモンストレーションと、薄茶の試飲が振舞われました。フランス人のお客さん方も、目の前でたてられるお茶の技法に見入っていました。運営している方々とお客さんとの距離が近いのも地域に根差したこの映画館の魅力です!
それでは、次回もとっておきの地元情報をお届けしたいと思いますので、楽しみにお待ちください。
〈文、写真:高津竜之介〉
■今回紹介した場所
【シネマ・アルヴォール(Cinéma Arvor)】
・住所: 29 Rue d'Antrain, 35700 RENNES
・アクセス: メトロ「サン・タンヌ駅」から徒歩5分
・URL: http://cinema-arvor.fr/
筆者
フランス特派員
高津 竜之介
NPO法人「日本で最も美しい村」連合在フランス研究員。レンヌ第2大学言語学部非常勤講師。現在は同大学人文社会学研究科において「世界の最も美しい村の比較研究」をテーマに博士課程在籍中。
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